ロンドンのテック企業に対する2018年の投資動向が判明——VC投資は29%減少も、EU内の都市では依然として投資額合計が最高

by Paul Sawers Paul Sawers on 2019.2.1

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テックシティ、ロンドン・オールドストリート
Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

ロンドンに拠点を置くテクノロジー企業への投資は2018年に29%減少したものの、依然として、他のヨーロッパ諸都市の同種企業が調達した額の2倍近くを集めることができた。

この年間調査はロンドンのプロモーション企業 London&Partners が、データおよびリサーチ企業 PitchBook と提携して発行したものである。

イギリスの EU 離脱という暗雲がイギリスに迫っているにも関わらず、ロンドンの企業は昨年18億ポンド(23億米ドル)を資金調達した。これは、資金調達額2位の座についたベルリン諸企業の調達した9億3,653万ポンド(12億米ドル)の1.9倍だ。一方、パリの企業は7億9,700万ポンド(10億1,700万米ドル)で第3位、その下はストックホルム(2億2,423万ポンド/2億8,600万米ドル)、バルセロナ(1億8,274万ポンド/2億3,200万米ドル)という順番だ。

要するに、ロンドンの企業は、第2位から第4位の都市の企業を合わせた額を調達したということになる。

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ヨーロッパ企業の投資額(2018年)
Image Credit: PitchBook (2018)

ただ、過去のデータを調査するとさらなる洞察が得られる。2017年にロンドン企業は24億5,000万ポンド(31億3,000万米ドル)という巨額を集めており、これは2016年の額の2倍、また同年第2位だったパリの5億6,500万ポンド(7億2,000万米ドル)の3倍以上だった。

つまり、ロンドンのスタートアップおよびスケールアップ企業は、2017年と比べて、2018年に29%調達資金額が減ったということになる。とはいえ、ロンドンとイギリス全体のテクノロジー企業への投資は過去5年間安定して成長を遂げており、2017年の巨額な投資額はおそらく、いくつかの特別に規模の大きいラウンドを原因とする外れ値であろう。その年、Improbable は5億200万米ドル、Deliveroo は3億8,500万米ドルに加え別の9,800万米ドル、そして Truphone は3億3,800万米ドルを得た。

また、調査からは、2018年にイギリス国内のスタートアップの調達した資金総額の72%をロンドン企業の調達資金が占めているということも分かる。この値は2018年以前の数年間ほぼ横ばいだ。

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ロンドンとイギリスのスタートアップ調達額:2013〜2018年
Image Credit: PitchBook (2018)

国別の数値も見る価値がある。イギリスは昨年、25億米ドルをベンチャーキャピタル投資として得た。この額はドイツの約1.8倍である。

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ヨーロッパ各国の調達額
Image Credit: PitchBook (2018)

一方で、2018年に17のイギリス企業が株式を公開した。スウェーデンでは10社、フランスでは8社、ドイツでは6社だった。

EU 離脱の脅威

2018年に目を引く資金調達を行ったのは、デジタルバンキングを扱うロンドン拠点のスタートアップ Revolut(1億7,700万ポンド/2億2,500万米ドルを調達)、同じくロンドン拠点で、人工知能(AI)を用いて適切な旅行情報を提供する Culture Trip(5,900万ポンド/7,500万米ドルを調達)などである。他の地域のものとしては、ブリストル発の AI チップ企業 Graphcore が1億5,300万ポンド(1億9,500万米ドル)を獲得した

実際、PitchBook のデータによれば、イギリスの AI スタートアップへの2018年の投資額は7億3,600万ポンド(9億3,700万米ドル)にのぼり、これは前年との比較で47%の増加である。

London & Partners の CEO、Laura Citron 氏は次のように語る。

2018年は前年に続き、ロンドンのテクノロジー部門への投資にとって素晴らしい1年となりました。そして、今回の数値によって、ロンドンは意欲的で国際的な企業が栄える場であるということが示されました。人工知能、フィンテック、ビッグデータといった成長部門への投資レベルは高く、ロンドンは革新的な企業と世界を変えるアイデアを生み出す都市だということが、私たちの研究から明らかです。

しかし、EU 離脱が2019年3月29日に公式に予定されており、ロンドンやイギリスのテック業界にどのような影響を与えるかは興味深いことだろう。ロンドンはヨーロッパのフィンテックの中心都市として有名であり、フィンテック部門は昨年のロンドンの投資総額の60%を占めた。ヨーロッパにおけるイギリスの役割が不確実性に陥っている中、事態は今年大きく変わるかもしれない。

2018年のヨーロッパの別の諸都市に視点を移すと、ベルリン企業は2017年の調達額4億5,600万ポンド(5億8,100万米ドル)を2018年にはほぼ倍増させ、パリの企業は2018年には前年の1.4倍以上の資金を得た。

こうした数値が何を意味するか述べるのは時期尚早だが、ヨーロッパにおけるロンドンの地位に EU 離脱が与える影響は今後2~3年でより明らかになっていくだろう。

ロンドン市のビジネス担当の副市長 Rajesh Agrawal 氏は次のように述べる。

これらの数値は、ロンドンがテクノロジー、イノベーション、クリエイティビティーのためのグローバルハブとして力をつけているということを示すものです。ロンドンのテクノロジー部門の凄まじい成功の根本は、ロンドン市の寛容さ、そして多様で国際的なタレントプールにあります。EU 離脱の結果に関係なく、ロンドンは世界中からのイノベーション、才能、投資に対してオープンであり続けるでしょう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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