Quantstampブロックチェーンエンジニア、岡洋平氏が目指すPoCの先

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Quantstamp Forward Deployed Engineer 岡洋平氏

Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。

2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。

初回の創業者でCEOのRichard Ma (リチャード・マー)氏、前回Quantstamp Japan代表の小田啓氏に続いて最終回となる本稿ではQuantstampにてForward Deployed Engineerを務める岡洋平氏にブロックチェーンにたどり着くまでのストーリーを伺った。

ブロックチェーンとの出会いは仮想通貨のアービートラージ

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昨年開催のブロックチェーンカンファレンス、NodeTokyoにて

岡氏が初めて仮想通貨と出会ったのは、大学時代。クラスメートに誘われ、日米間の取引所における仮想通貨のアービトラージを始めたことがきっかけだった。

岡氏:初めてブロックチェーン・仮想通貨を知ったのは2013年の秋ごろでした。米国の大学に通っていたんですが、たまたま大学の友達が日本のマーケットとアメリカのマーケット間で仮想通貨のアービトラージが出来ることに気が付いて。僕が日本人で、日本の口座を作れたので、参加することにしたんです。ちなみに、その時作った口座はマウントゴックスでした(笑。

2013年頃には既に仮想通貨やブロックチェーンに投資という形で触れていた同氏。ただ、その時点では単なる投機対象のデジタル通貨という認識で、特に大きくかかわることなく大学卒業を迎える。そしてその後はボストンのスタートアップにて、エンジニアとして働く。

岡氏:大学卒業後はスタートアップにて3年ほどエンジニアとして働きました。卒業後、仮想通貨とのかかわりはなかったんですが、エンジニアとして実践的な力も付いてきた2017年頃から仮想通貨取引の自動化ボットの作成に取り組み始めました。

大学時代は手作業で全て取引していたので毎回”このアドレス、本当にあってるのか?“と緊張しながら取引していたのが懐かしいです。その時価格的にアービートラージがしやすい通貨を色々と探して取引を試していました。その中の一つが、イーサリアムだったんです。

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岡洋平氏とリチャード・マー氏

その流れで、イーサリアムが持つスマートコントラクトの根本的なシステムについて興味を持ち、これを契機にブロックチェーンについてそもそもの存在意義を考えだすようになったという。

岡氏:自分が取引していた仮想通貨の裏にあるブロックチェーンという技術。これを理解すればするほどインターネットが流行りだした時のテクノロジーに近いものがあるなと思ったんです。

インターネットとブロックチェーンとの間に技術的に通ずる何かを感じつつ、その頃は、ボストンのスタートアップを離れ、シアトル本社のAmazonにて無人コンビニとして著名なAmazonGo(アマゾンゴー)の開発に携わっていた。

岡氏:シアトルにいた当時は、Amazonの中でも1,2位を争う未来的なプロジェクトAmazonGoに関わっていました。もちろん、そのプロジェクトはエンジニアとしてすごく楽しくかかわれていたのですが、ブロックチェーンに対する興味やベンチャーの楽しさに戻りたいという考えがあったんです。そういうこともあって、AmazonGoが2018年1月にパブリックローンチを終えた段階で退職する決断をしました。

なぜQuantstampを選んだかーーWHY QUANTSTAMP--

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左・岡氏、右・小田氏

2018年1月にアマゾンを離れる決断をした彼はQuantstampと出会い、メンバーとして活動していくことになる。

岡氏:まずは、そもそものブロックチェーンに関する知識を貯めるためにフリーランスとしてDApps(分散型アプリケーション)の開発などをしつつ、ミートアップなどに参加していました。日本に戻ってきて一番感じたのが、仮想通貨取引所でマネタイズしている企業は多いけど、実際にDAppsなどを開発してマネタイズを目指している企業が少なかったことでした。

たしかに当時(2018年1月)は、仮想通貨に対する投資の熱が最も高まっていた頃だ。仮想通貨といえば、もはや取引所のイメージしか一般的には浮かばなかったかもしれない。

岡氏:取引所にエンジニアとして入ることは、なんとなくAmazonを離れた理由がなくなってしまう気がしたんです。そんな中、2018年4月ごろのミートアップに偶然Quantstampが参加していて、そこでリチャードと会いました。その1か月後位にKeiさん(小田啓氏)と会うことになって。

お互いが海外で育ったバックグラウンドを持っていることもあってすぐに意気投合でき、そこでQuantstampにジョインすることを決めました。

続けて同氏は、Quantstampに提示されたポジションはまさに自分が求めているような存在だったと語る。

岡氏:まずブロックチェーンに関わる上で、マスアダプションに繋げるという意味でもセキュリティーに対して需要と課題があると思っていました。Quantstampとしてオファーされたポジションは、もちろんエンジニアとしてスマートコントラクトの監査をすることが第一にあります。だけれど、ただコードを書くだけでなくそこには”エンジニア+新規市場開拓”といったビジネス面での役割も同様に求められています。まさに、スタートアップ的ななんでもやる感あって楽しそうだな、こう思ったことが最大の決め手でした。

Quantstampとして成し遂げたいこと

PoCからPoCじゃなくなる、そんなプロジェクトを増やしていきたいーーそう語る岡氏は、Quantstampとしてエンジニアとしてセキュリティーを支えていくことはもちろんのこと、PoCを超えていくプロジェクトを手助けしていきたいと話す。

岡氏:いろいろな企業がブロックチェーンを用いたPoCに踏み出しています。だけど、結局PoCが成功して実際に普及していかなければ実証実験の意味がない。ユースケースを一気に沢山生み出すのではなく、まずは一つ “これぞ!“というものを作る。その一歩が大事だと思っています。

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いかにしてPoCを越えて「これぞ」というユースケースを作り出し、セキュリティー監査という役割で支え続ける。岡氏はインタビューの終わり、これからの挑戦についてこんな言葉を残していた。

岡氏:よく、PoCの段階で”ブロックチェーンである理由は?“と言われることがあると思います。試験的に導入して、何かしらのサービスを使ってもらって、何回も改善を繰り返す。その中で、ブロックチェーンである理由というものが見つかるということでもいいのかなと。

正直、これから先100%ブロックチェーンという技術がみんなが期待するほど社会全体的に導入されるか、確信は自分の中にはないんです。だけど、ある程度の割合でユースケースは増えてくると思っていて。だから、僕はブロックチェーンにBETしています。

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