Google、欧州でプライバシーエンジニアリングハブとセーフティ研究ファンドを創設

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ミュンヘンの Google エンジニアリングセンター
Image credit: Google

Google は5月14日、ドイツのミュンヘンに Google セーフティエンジニアリングセンターを設立する計画を発表した。同センターでは、増員されたエンジニアチームが同社のあらゆる製品に設けられたプライバシー機能を監視することになる。それと併せて、デジタルセーフティ問題に関わる組織に資金を提供するため Google.org Impact Challenge on Safety もローンチする。

同社 CEO の Sundar Pichai 氏が投稿したブログ記事によると、ミュンヘンでプライバシー問題に対処しているエンジニアチームの人数を倍増させるという。

Pichai 氏は次のように述べている。

このチームは、ヨーロッパその他の地域にある Google オフィスにいるプライバシー問題の専門家と協力し、また、センターで作られる製品は世界中で使用されることになるでしょう。

今回の発表は、ヨーロッパで一般データ保護規則(GDPR)の施行1周年を数週間後に控えた時期になされた。2018年5月25日の施行以来、GDPR は熱い議論がなされる規制動向となっており、厳格な消費者保護の基準と称賛されることもあれば、イノベーションの障害となると非難されることもある。

ここで明確なのは、企業は今以上にコンプライアンスに投資をしなくてはならず、世界中でプライバシーが大きな話題になるということだ。5月14日には、Facebook が20年に及ぶ監視と数十億ドルの罰金が科される可能性のあるプライバシー関連の紛争で米連邦取引委員会と話し合うという情報が入ってきた。

プライバシーが脚光を浴びている中、Google は5月第2週の I/O デベロッパーカンファレンスで複数のプライバシー関連の発表を行った

Pichai 氏はこう記している。

あらゆる人にとって、さらに役立つ Google になるための取り組みを共有しました。活動の大半は、人々をオンライン上で安全にし、個人情報をプライベートかつセキュアにすることです。プライバシーとセーフティは世界中の誰もが等しく享受できないといけません。また、個人データに関する明確で意味のある選択肢を提供して人々に力を与える製品を市場にもたらしたいと思っています。

さらに、プライバシー問題の規制と政策に積極的に取り組んでいる国の1つであるドイツに、今回のようなセンターを設けることには意味があるとしている。Pichai 氏によると、プライバシー設定を確認する中心的な製品である Google Account などは、従業員が現在750人いるミュンヘンで作られた。2019年末までに1,000人を超える人材を確保する見通しだ。

ただ、同社はプライバシー問題だけでなく、YouTube などの製品にみられるように、危険で誤解を招くコンテンツを拡散したとして注目を集めるようになっている。別のブログ記事において、オンラインかオフラインかを問わず、セーフティへの取り組みに資金を提供するために1,000万ユーロ(約12.3億円)規模のヨーロッパ助成金を創設する計画の詳細が示された。

この資金は、「セーフティ問題に取り組むヨーロッパの非営利団体、大学、学術研究機関、営利社会的企業、その他専門機関を支援するために」活用されると同記事は伝えている。誰であれ、「コミュニティ内での憎悪や過激主義への対処、オンライン上にいる若者の安全確保」に関連する取り組みに最大100万ユーロ(約1億2,300万円)の助成金を申請することができる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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