Y(良い人を)J(自分たちで)C(ちゃんと採用する)ーーサイバーエージェントに学ぶ組織論【対談・1/3】小澤政生×諸戸友

image_1.jpg
写真左:TechBowlの小澤政生さん、クルーズの諸戸友さん

企業の命運を握る「事業成長」。過去に大きくなってきた企業はどのようなストーリーを経て巨大組織を作ったのでしょうか?

前回に引き続き、組織や採用の中心にいたキーマンへのインタビューにて巨大組織に作り方に迫る対談シリーズ、2回目はTechBowl代表取締役の小澤政生さんに登場いただきます。

対談者プロフィール

小澤政生さん:1986年生まれ。2010年にサイバーエージェントに入社し、出戻りで2012年から同社の技術職採用を担当。7年間で述べ1.5万人の採用候補者と面談。それまでの会社説明会を廃止し、オンライン動画でチェックできる「サイブラリー」を企画するなど、一味違う採用のあり方を提案した。2018年にエンジニア採用のTechBowlを創業。代表取締役に就任。

聞き手・諸戸友さん:1980年生まれ。2003年に新卒でリクルートの代理店に入社、2007年にベンチャー企業に特化した採用コンサルティングを行うアイ・パッションの立ち上げに創業メンバーとして参画、1,000人以上の起業家との出会いを経て、2012年クルーズ株式会社に入社後、執行役員に就任し、社長室、広報、ブランディング、新卒採用などを担当。現在は最高広報責任者CBOとしてグループのPR/IRを担当する。

諸戸:早速ですが、今度お願いしているイベント(詳細は最下部)の目的もそうなんですが、大枠のコンセプトとしては「スタートアップが明日からでも真似できること」っていうのをシェアしていきたいです。

サイバーエージェントとかソフトバンクとかDeNAとかベンチャーを代表する有名な会社がたくさんあって、でもどうやってベンチャーを代表するような会社になっていったのかを紐解いていき、その中で「これは自分たちも明日から使えるな」というものを提供できたら最高です。

例えば前回インタビューさせていただいた渡邊大介氏のメッセージヴィークルのお話とか。今回僕が一番小澤さんに聞きたいのは「なぜサイバーには優秀な人材が集まってくるのか」です。

特に優秀なエンジニアは非常に採用しづらい市況なのにサイバーには優秀なエンジニアが集まってくる。もちろんエンジニアに限らずなんですけど。その辺のポイントを紐解いていきたいなと

そもそも優秀な人が集まっているって僕は思っているんですけど、小澤さんが実際に採用しているときはどう感じてました?

小澤:そうですね、優秀な人がどんな人か、採用活動の中で正直僕は分からなかったですね。優秀かどうかより、“会社に合う人”を採用したっていう感じですね。

諸戸:会社に合う人ですか。

小澤:はい。サイバーで新卒採用を7年間やらせていただいたのですが、藤田社長からは、「能力が高い人じゃなくて一緒に働きたい人を採用して」「去年よりいい採用してね。よろしく」という2つだけしか言われなかったです。

そして、直属の上司だった曽山(哲人)さんからは「素直でいいヤツを採用しよう!いい採用と強い組織!滑ってもいいから全部やってね!」と言われました。

採用の仕事を始めた頃は、藤田社長と曽山さんの言葉が自分の中でよく理解できなくて、優秀な人材やそういう人に求められる能力をあれこれ言語化してみたり、いろんな人事採用系の本に書いてあるフレームワークを読み漁りましたが、なんか芯を食っていないというか、サイバーっぽい採用ではなかったんですよね。

その後、現場社員や事業のキーマン、経営陣から声を拾って分けて聞く、これを徹底的にやり込んでやっていくうちにだんだんサイバーっぽい採用になってきました。数年前からはYJCが始まり、さらに採用が強くなってきたと思います。

諸戸:YJCは小澤さんが考えたの?どんな狙いではじめたんですか?

image_2.jpg

小澤:Y(良い人を)J(自分たちで)C(ちゃんと採用する)で、YJCです。そのネーミングや大枠の方向性はあした会議で決まりました。あした会議が終わった直後に「YJCをやることが決まったから考えてみて!」みたいな感じでお話をいただきました。

決まっていたのは「良い人を自分たちでちゃんと取る」「玉入れみたいな感じでやって」
という2つだけ。

諸戸:玉入れ、みんなで?

小澤:玉入れみたいな感じって最初は意味が分からなくて、画像検索しまくって、「あ、なるほど、きっとチームに分かれて競争はするけど、全体としては楽しくやれってことだな」という感じでした。

とりあえずいろんな社員にヒアリングしながら、チームを複数作り、各々が「良い人を自分たちでちゃんと採用する」ことができるような体制、ゲームルール、達成後のイメージ、進める中で起こりうる障害や不満の洗い出しをするなど、ガシガシ前に進めました。

諸戸:玉入れという1キーワードからのその汲み取り方はさすがですね(笑)そうなると、サイバーって具体的にあんまりあれしてこれしてと言われることとかないんですか?基本的には採用責任者が大方針やそのメッセージを汲み取って、自分たちで作っていくという感じですか?

小澤:そうですね。採用を始めた頃、関西エリアのエンジニア新卒採用の立ち上げを1人でやらせてもらたんですけど、当時も「2年で100個アプリを作る。エンジニアが足りない。なので採用強化します。オザマサ関西のエンジニア採用よろしくね!」みたいな感じでした。

諸戸:でも藤田さんはそういう意味で言うと採用まで下りてくるってこと?要は、この2つだけ頼むねとか、採用には割と絡むというか、採用の会議とかにも出てくるの?

小澤:いや、藤田社長と採用のためだけに会議をすることはほぼ無いです。ただ、役員会でやっぱり採用が大事だっていう話題が頻繁に上がるんですよね。「採用は一丁目一番地」とか「全ての事業の仕入れが採用」とか、そういうパワーワードは何度も出てくるので採用に関する経営メッセージは明確に伝わってきました。

まるでじっくり話したかのように経営メッセージが降りてくるし、アップデートもされる。755とか社内向けのサイトでも頻繁に目にするので、採用担当だけではなく、社員も会社の方向性を知る機会が多いし、採用に興味を持ってくれることが多かったのはとてもありがたかったです。そこを具現化していくのが採用人事の仕事なので、その辺りは曽山さんと相談しながら一緒にやらせていただきました。

諸戸:総じてスタンスとしては、採用が凄く大事で、採用から始まるんだみたいな文化はサイバー全体であるんですか?

小澤:「採用リクルーターに選ばれることが誉れ」みたいなカルチャーがあります。採用リクルーターに選ばれるためには当たり前ですが、まず本業で結果を出して活躍していることが条件。その上で未来の人材を一緒に探してくれる社員の力は絶大でした。会社の規模も大きくなって、社格も変わってきた今だからこそ、改めて「全ての事業の仕入れが採用」という強いメッセージで襟を正し、YJCを通じてさらに採用を強くしていこう、みたいな大きなパワーを感じました。(つづく)

お知らせ:諸戸さん・小澤さんは9月25日のイベント「サイバーエージェント大解剖スペシャル」に登壇予定です。すでに定員オーバーなので、どうしても参加したい方は主催者やパネラーに直接お尋ねください

----------[AD]----------