2020年に注目される100のマーケットプレース・ビジネス(概要編)

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ピックアップ:The a16z Marketplace 100

ニュースサマリー:著名VCのAndreessen Horowitz (a16z) は2月18日、急速に成長を遂げるコンシューマー向けサービスプラットフォームをランキング化した「The a16z Marketplace 100」を公開した。同社が定めるマーケットプレイスは、買い手と売り手が商品・サービスによって繋がりを持つプラットフォームと定義されている。

データソースには、クレジット・デビットカードなどのオンライントランザクションデータ(GMV:流通取引総額)から消費者行動を分析可能なサービス「Second Measure」が採用された。また、各社における売り上げ規模は2018年12月から2019年11月を観測期間とし、YoYは2017〜2018と2018〜2019を比較材料としている。なお、データの範囲は米国のみに限るためリスト化された企業は基本米国ベースとなっている。

話題のポイント:今回Andreessen Horowitz によって公開された「The a16z Marketplace 100」のランキングの最大の特徴であり驚きは、「あまり知らない」スタートアップ達が名を連ねていることかもしれません。もちろん、ランキング上位を見ればAirbnbやinstacartなど著名企業も見受けられますが、普段は表舞台に登場しないような企業が数多くありまさにこれから新しい概念を市場にて作るスタートアップたちと言えるでしょう。

また、全ての企業がオンライントランザクション量の確固たるデータに支えられているため、同ランキングが調達額や名声のみでなく着実にユーザー数を抱えている企業であることを意味しています。

さて、ブログでは同ランキングをもとに、以下3つにフォーカスした分析を実施しています。

  • 数年後に業界の新トレンドを定義する
  • どの業界・市場が変革をもたらすか
  • どの業界に集中し、独占市場と化しているのか

まずランキング分析の大前提として、全体GMVの76%が上位4社に占められていることが示されています。最も多くを占めるのがAirbnbの38%、次いでDOORDASHが17%、instacartが15%、Postmatesが6%という結果です。つまり、残りの24%を96社がシェアしているということになります。

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もちろんこれも興味深いデータですが、現段階において誰が独占市場を得ているかはあまり重要ではなく、その他24%の企業が急速な発展を遂げている背景こそ、未来のマーケットプレイスを考えるうえで重要となりそうです。

そこで、a16zのブログでは、同ランキングをYoYと業界カテゴリーごとに分解することで残り24%を占める企業の特異性を導き出していました。

下図がそれをグラフ化したものです。

縦軸がYoYを示しているため、グラフでは左のカテゴリーに行けば行くほど年ベースでの成長率が高いことを示しています。最もYoY高水準となった「Wholesale」のカテゴリーには、2017年創業のセレクトショップ向けマーケットプレイス「Faire」が1社のみ示されています。つまり、同カテゴリ-はFaireのみのYoYを示していることになります。ちなみに、同社Mediumによれば2018年の売上高1億ドルでYoYは3140%を記録したと公開しています

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同社は、セレクトショップ向けに商品の仕入が可能なマーケットプレイスを展開。プラットフォームで販売される商品は、大量生産品でなく一つ一つが個人によって手掛けられているものが多いため、オリジナル商品を取り扱うセレクトショップと相性が抜群というわけです。また、無料返品にも対応していることが大きな特徴として知られています。

次いでYoY成長率の高い「Celebrity Engagement」カテゴリーには2017年創業の「Cameo」がほぼFaireと同様の数値を示し、1社のみで同カテゴリーを占有しています。同社は、著名人によるビデオメッセージのマーケットプレイスとして知られてます。著名人の時間を売買するという面では、人の価値をベースとしてデジタルマーケットプレイスの代表格と言えるでしょう。

Food & Berverges」カテゴリーには11社がノミネート。全体でも2位のDoorDashや4位のPostmatesがカテゴライズされています。もちろん彼らのGMVには劣るものの、同カテゴリー内でYoY率を大きく引き上げているのは新興スタートアップである「Ritual」や「Snackpass」が挙げられています。

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Ritual」は2014年創業で、「Make friends with Food」と称しソーシャル機能を持ち合わせたオーダーピックアップサービスを展開。同機能はPiggybackと呼ばれ、例えば急なミーティングでどうしても外出できない際などに同僚へピックアップを依頼することが出来るサービスとなっています。

Snackpass」は2017年創業で、こちらも事前オーダーのピックアップサービスを展開。特徴的なのは、大学との連携をフォーカスして進めておりキャンパス付近の学生街を中心としユーザー体験が増え続けています。

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さて、これらYoY成長率を比較すると、そのどれもが「ミレニアル世代」・「ジェネレーションZ世代」をターゲットとしている点で共通点が見出せます。「Faire」はターゲットがB向けですが、最終的に商品が行きつくのはオリジナリティー性を求める意欲が比較的強い同世代という点で結びつけていいでしょう。

YoY成長率4位のカテゴリー「Streetwear」には、この共通点を象徴する「StockX」がカテゴライズされています。同社は「モノの株式市場」と称し、実際の株式と同様に洋服やスニーカーを売買できるマーケットプレイスを運営していることで著名です。オリジナリティー性を求め、希少性の高いものに価値を表現していった結果、モノの株式が成り立つようになったというわけです。

冒頭に述べた3つの分析観点に一度視点を戻してみます。

1つ目と2つ目の疑問は「数年後に、マーケットプレイスを通して新トレンドが勃発する業界・市場はなにか?」でした。この点に関しては、上述したようにミレニアル世代などの若者が中心ユーザーとなるマーケットプレイス市場ということが言えるでしょう。

例えばRitualやSnackpassに共通して見られた、マーケットプレイス内におけるコミュニティー形成は若者世代を起点にあらゆる世代へと拡散していくことが想像できます。また、StockXのようにマーケットプレイスにて新しい概念を作り出すスタートアップも同様の流れでユーザー層が広がりを見せていくでしょう。

下図は、各カテゴリーを横軸にGMVを縦軸にYoY成長率を置いて比較したものです。ここから、やはり現状若者が中心ユーザーとなっているカテゴリーはGMVの伸びが非常に低く、YoYが高いという傾向が分かります。

こうした若者を中心ユーザーにおくスタートアップは上記で見てきたように、2015年以降に創業されたものがほとんどで、まさにこれからユーザー層拡大のフェーズに入る時期なのではと思います。

GMV最大に入るAirbnbに関して言えば、初期は旅のコアユーザーによる利用が中心だったのではと思います。マーケットにYoYを保ちつつ、継続運営することで時間と共に全世代へユーザーが浸透していく流れはいずれのカテゴリーにも当てはまるでしょう。

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「Food & Berverge」カテゴリーは、グラフで中心に位置していますが、まさにYoY急増からGMV増への過渡期を表わしているといえます。そのため、WholesaleとCelebrity Engagement分野はこの数年でFood & Bervergesと同じ変化を遂げていくことが想像できます。逆に、StreetwearなどはさらにYoYを増の。グラフでいえば左上へ移動する流れとなるでしょう。

もちろん、この企業成長のフローはどのスタートアップにも言えることかもしれません。しかし、ある一定層のGMVを既に獲得しつつ、一気にYoYを伸ばし、さらにGMVを伸ばす流れを持てるのはマーケットプレイス型の特徴だと思います。

さて、最後の観点は「マーケットプレイスは既にモノポリ市場なのか?」でした。これに関しては、業界によるともいえますが、やはりGMVが全体に低いカテゴリーであれば参入余地はまだ大いにあるといえます。

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未だYoYが伸びきっていないが、同ランキングにノミネートされている企業が取り組んでいる事業は、知っている人だけが利用しているような隠れたマーケットプレイスな性質であると言えます。グラフでいえば左下のスタートアップ達ですが、少なくとも彼らは既にオンライン上での確かな売り上げソースを得ており、これからグロースへと入る段階です。

面白い点は、そのような企業達はカテゴリー分けをすると母体数が比較的少ないことが分かります。つまり、同じカテゴリー内にて大きく差別化をしたマーケットプレイスを打ち出すことで今後のYoY急増が見込める市場へ切り込む指標となりえると感じます。

今回は、a16z Marketplaceをもとに分析されていた同ランキングをカテゴリー別でマクロ的に分析してみました。次回以降は、各カテゴリーの中で、特にYoY急増前の企業達がどの様な課題に対しどういったマーケットプレイスを通したソリューションを考えているのか調べていきたいと思います。

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