VCを卒業して「介護」という課題に挑戦した理由

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Photo by Patrick De Boeck on Pexels.com

少子高齢化社会において「介護」という機会を避けて通ることのできる人はわずかです。

厚生労働省が公表している平成29年度の調査(参考資料:PDF)によれば、高齢者(65歳以上)の数は約3500万人(平成30年3月末時点)。人口動態からも分かる通り増加の一途を辿っています。一方、要介護と認定されている方の数も同じく増加を続けており、641万人が支援を必要としています。

今、世の中には便利な情報が溢れています。

もし、自分の家族がこういった支援を必要とする立場になったら、「介護 方法」といったキーワードで検索するだけで、沢山の情報が手に入ります。まずは公的な機関の窓口で要介護認定を受け、実態調査を受けます。そこからケアマネージャーという介護の専門家と一緒にケアプラン(計画書)を作成して介護サービスを受ける、というのがざっとした流れです。

しかし実際は、ここにある情報ほどスムーズにいかないケースもあります。

ベンチャーキャピタルで出会った大きな課題

私は今、みーつけあという介護のマッチングサイトをスタートアップしています。以前は、EastVenturesというベンチャーキャピタルでアソシエイト・インターンとして働いていました。

スタートアップ投資というのは情報戦です。日々、国内外のあらゆる情報を集め、分析し、どこにギャップがあるのか、どこにチャンスが潜んでいるのかを探り当てるのが勝ち筋のひとつでもあります。私もその一員として日々、社会にある問題点を探る旅を続けていたわけです。

もちろん少子高齢化は大きな課題です。特に介護は国家レベルで解決すべき問いであり、簡単でないのは確かです。でも、だからこそスタートアップする価値があるのかもしれません。調べていく中でいつしかこの大きな課題に挑戦してみたいという思いが溢れるようになったのです。

まず、この課題にシェアの考え方で何か突破口が開けるのではと1つ目のアイデアを試しました。それが「介護版のUber」というものです。特に介護の現場では、介護する側・される側のミスマッチであまりよくない体験が生まれる、という課題があります。もし、双方がオンデマンドにマッチングする環境があれば理想的です。しかし、このアイデアはうまくいきませんでした。

次のアイデア:逆算で理想のケアマネージャーを探す

詳細は割愛しますが、介護というのは厳しいルール(規制)に基づいて実施される社会保障の仕組みです。当たり前ですが、民間が勝手にサービスを展開できない分野で、もちろんそのことを理解した上でうまくマッチングできるアイデアを考えたのですが、予想以上に超えるべきハードルが高かった、とだけ書いておきます。

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次です。アイデア実現方法はまだあります。

冒頭に書いたとおり、介護保険サービスを利用するためには、まず介護保険申請後に介護事業所を決めなければなりません。しかし事業所を選ぶ方法は、今のところ、行政の冊子から決めていくしかありません。

さらに言うと、行政の冊子には詳しい情報が載っておらず、ケアマネジャーが働く居宅介護支援事業所の電話番号と住所しか記載されていません。この行政の冊子から、数ある中から最初にケアマネジャー(主にどの介護を必要か判断してもらうため)を決めます。

その中の1人に今後の介護生活(ケアプラン等)を担ってもらうことになるわけです。

実は介護サービスを受ける事業所はこのケアマネージャーの方が決めることがほとんどです。自分で探すこともできますが住んでいる地域によっては、100以上の選択肢があり、介護事業所で働いているヘルパーは平均10名程度です。この中から最適なマッチングを探し当てるのは、情報量の少ない被介護側ではほぼ不可能でしょう。

理想的な事業所と出会えれば結果オーライですが、実際はそうならないケースもあります。であれば、方法はひとつです。事業所から探して、そことつながりのあるケアマネージャーに担当してもらう、というやり方です。

ということで現在、私たちはオペレーションチームを組んで、専門知識があるオペレーターがアドバイスしながら事業所やケアマネージャーを紹介する、という提案をして介護する方々の判断を助けるお手伝いをしています。

さて、いかがだったでしょうか。

こういった社会課題をテーマとした規制事業でスタートアップする場合、課題があまりにも大きすぎて一度に全てを変えることはよほどでない限り難しいでしょう。本当に山登りと同じで、一歩ずつ、もし道が違っていたら別のルートを探る。ただ、登るべき山頂だけは見失わない、こういった基本が大切なんだと実感しています。今後、同じような大きなテーマに挑戦する方の参考になれば幸いです。

<参考情報>

本稿は介護相談・マッチング「みーつけあ」を開発・提供する株式会社みーつけあ代表取締役、洞汐音氏によるもの。Facebookアカウントはこちら。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい