TikTokを創った男ーー中国第10位に登りつめたリッチなCEOの原点(1/2)

SHARE:
morning-brew-RxQ2ylHUz-4-unsplash
Image Credit : Morning Brew

本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

創業からたった8年で、中国約14億の人口の中で10番目に富を得た人がいます。TikTok(中国での事業はDouyin・抖音)の親会社「ByteDance」創業者のYiming Zhang(張一鳴)氏です。2019年の資産額は162億ドルと言われています。

同氏は2012年にByteDance(字節跳動)を創業。2020年5月時点では1,000億ドル以上の企業価値があると報道されています。指数関数的な成長の結果、TikTokの月間アクティブユーザー数は8億を突破したというデータもあります。

最近では米中問題の渦中のど真ん中にいる企業。大国を巻き込むほど注目されるサービスを作ったことは、どんな捉え方をされようと“偉業”に間違いありません。ただ、誰にも「始まり」があります。Zhang氏の場合、4部屋のアパートの個室から始まりました。今回は同氏の半生を簡単にまとめて紹介していこうと思います。

kon-karampelas-PDsms2sXG3c-unsplash
Image Credit : Kon Karampelas

Zhang氏は1983年に中国福建省生まれの37歳。市の科学技術委員会に勤務した後、電子機器の加工工場を開業した父と看護師の母の間に育ち、今となってはTIMESが選ぶ2019年世界で最も影響力のある人トップ100にも選ばれる人となっています。

子供の頃、両親が話していたのは海外で出会った新しい技術や、新規製品開発をする友人の話。起業家精神を幼い頃から話をしてくれたおかげで、ビジネスやイノベーションに強い興味を小さい時から持つようになったそうです。

中学時代には科学者を志し、サイエンス好きの少年に。しかし持ち前の所有する感覚を満たすためには、科学の研究では満足しなかったと言われています。そして、行動したアウトプットを即座に得られるコンピュータへと興味が移り始めます。

大学ではソフトウェアエンジニアリングを学び、卒業後には旅行サイトを運営する「Kuxun」という企業に参加。5番目の従業員としてキャリアを歩み始めました。同社は「TripAdvisor」によって1,200万ドル以上の額で買収されており、Zhang氏はいきなりスタートアップの成功を目の当たりする経験を収めます。

当時は一般的なエンジニアとして参画していたようですが、製品全体会議には積極的に参加し、2年目には40〜50名をマネージするバックエンド技術の業務を請負います。ビジネス分野も担当し、そこで製品販売のノウハウを得て、これが後のキャリアに活かされたようです。

ここで逸話があります。ある時彼は電車のチケットを予約して帰りたいと思ったことがあるそうです。当時は駅でチケットを買うのが難しく、ネットで再販されるチケットがいつ発売されるかわかりませんでした。また、Kuxunのサイト検索では、他の検索サービス同様、ユーザーが欲しいものを検索するために毎回情報を手動で入力しなければならず、再販チケットがリアルタイムで確認できないという課題がありました。

そこでZhang氏は、オンラインで何度も検索するのではなく、チケットが出たときにすぐに通知してくれる検索エンジンを作りたいと考え、昼休みに1時間かけて小さなプログラムを完成させます。プログラムを書いた後、30分もしないうちに新しいチケットが発売されたという通知が来たため、無事に駅で購入することができました。

通知システムを搭載した検索エンジンの開発を通じ、どうすればより効率的に情報を発見できるかを常に考えるようになったといいます。これをきっかけに大企業ではどのような情報管理がされているのかを意識するように。そこで選んだのがMicrosoftでした。

pexels-photo-298018
Photo by Fabrizio Verrecchia from Pexels

2008年にはMicrosoftへと入社。しかし、大企業色に埋もれてしまうと考え、あっさりとすぐにスタートアップの道へと戻ります。そのため、昨今TikTokの米国部門がMicrosoftに買収される噂が出ていますが、Zhang氏にとって2回目の接点となることに因縁を感じます。

次のキャリアとして選んだのが中国版Twitterを開発していた「Fanfou(饭否)」です。同社は残念ながら2009年には閉鎖されてしまったこともあり、すぐに次の道を選択せざるを得なくなります。

そこで前職のKuxunから不動産検索事業を引き継ぐ形でスタートアップしたのが「99fang.com(九九房)」。モバイルアプリ開発を担い、5つのサービスを立ち上げ、150万以上のユーザー獲得へと至ります。ただ、完成された事業を成長させるものであることから、結局2年後の2011年には代役の社長を雇い、99fangの経営全てを任せて離れることに。

99fangの経営に携わっている間、彼はユーザーがモバイル上で情報を得ることに苦戦していることを目の当たりにします。ここにAIを織り交ぜたソリューションを当てることで、次の事業を立ち上げようと練っていたそうです。振り向けば、動画情報の閲覧にAIレコメンデーションを駆使したTikTokの原点とも言える着想です。

2011年当時、ユーザーがパソコンからモバイルへとプラットフォーム移行を始めた変革が起き始めていることに注目し、さらに中国検索エンジン「Baidu(百度)」とは別の、AIを使った検索プラットフォームを作りたいと考えていました。モバイル上の情報検索をキーワードとしてアイデアを練り続け、解像度を上げていきました。

こうして2012年に誕生したのが「ByteDance」です。北京の4ベッドルームのアパートで設立された同社で、AI検索のビジョンに沿って最初にローンチした製品がニュースプラットフォーム「Toutiao(今日头条)」です。2017年には1.2億デイリーアクティブユーザーを持つほどの人気アプリへとなっており、1つ目のプロダクトから大成功を収めることになります。(後半へ続く)

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した