経費精算の手間を無くす法人向けカード「paild(ペイルド)」が正式ローンチ——既に150社が利用、リアルカードの発行手数料も年内無料に

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Image credit: Handii

東京を拠点とするフィンテックスタートアップ Handii は24日、VISA 加盟店で使える法人向けカード「paild(ペイルド)」を正式ローンチする。

これは2019年6月、Handii がプレシリーズ A ラウンドでの資金調達を発表した際、明らかにしていたものだ。正式サービスのローンチは当初昨秋が予定されていた。フィンテックサービス周辺では、7pay(セブンペイ)事件などの影響で、金融庁の一部審査プロセスが厳格化されているとみられ、paild の正式サービス開始の遅れもこれが背景にあると推測される。

Handii は、JP モルガン証券でテック企業向けの M&A や資金調達アドバイス業務に従事していた柳志明(Jimyeong Yu)氏(現 CEO)と、三菱東京 UFJ 銀行でデリバティブのプライシングライブラリ開発に従事していた森雄祐氏(現 CTO)らにより2017年創業。創業来の調達総額は約4億円。

Image credit: Handii

Handii が手がけるのは法人向けカード(Handii ではウォレットサービスと呼んでいる)paild で、企業が経費精算や出張予約、取引先への支払などに利用できるものだ。従来の法人向けクレジットカードと異なり、企業の担当者は専用管理画面を使って、任意で必要な枚数のカードを発行し社員に配布できる。リアルカード(プラスチックカード)以外に、番号のみのバーチャルカードの取扱えるので、発行後即座にその番号を使って取引をすることも可能。

会社の必要情報登録後は、1クリックか2クリックでカードを発行できるシンプルな UI も売りだ。paild ではユーザ企業の担当者が paild のウォレットに銀行振込で入金し、専用管理画面で社員毎に割当額を任意設定できる。事前仮払や精算業務が発生せず、どこで何に使ったかもクレジット明細に基づいて管理画面から吸い上げることができるので、経理業務が圧倒的に省力化できる。

既に150社が paild を利用しており、数名程度のスタートアップから数百名程度の中小企業まで、ユーザはさまざまだそう。柳氏によれば、想定もしていなかったようなレガシーな企業からも利用申込が寄せられているとのことで、企業の規模や業種にかかわらず潜在需要があることを認識させられているそうだ。

また、新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモート勤務の増加と相まって、需要はさらに増しているという。認知度向上と普及スピード加速のため、同社では初期費用とシステム利用料を無料、バーチャルカードはもとより、リアルカードも年内は発行手数料を無料で提供する(2021年1月以降は1枚580円を予定)。

「paild」の担当者向け管理画面
Image credit: Handii

この分野では、Kyash がファンディングソース(カードに引き当てる資金源のこと。デビットカードであれば引落に使う残高のある銀行口座、クレジットカードであれば与信枠など)を自由に引き当てられる「Kyash Direct」を昨春発表。また、クラウドキャストはこの Kyash Direct を使った企業向けの経費精算用 Visa プリペイドカード「Staple カード」を昨秋リリースしている。機能面で paild と Staple カードは非常に似ているが、先行するクラウドキャストはモバイルコンテンツ等大手のエムティーアイ(東証:9438)の傘下に入ったことで、この市場への営業展開を加速させている。

先行する Staple カードと比べたとき、それを追う paild の優位性はカードの発行機能に加え、オーソリゼーションなどのプロセシングの仕組みを自前で開発しているため、何かしら新たな機能を追加する場合には一気通貫であるため柔軟性が高いとみられる。また、paild はほとんどのサービスを無料化しており、これはカード利用時に Visa 経由で得られる薄い加盟店手数料だけで事業が回るよう、コスト構造が最適化されていることがうかがえる。

日経によれば、Handii では今後1年間で5,000社の導入を目指すとしている。