eコマースが発展するナイジェリアではじまる「シェアリングデリバリー」の理由

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waeyウェブサイト

ピックアップ:Hybrid-delivery startup, WAeY Hailing, launches to help users get delivery on their own terms

ニュースサマリー:ナイジェリアのWAeY Technologiesは7月15日、バイクによるハイブリッドデリバリーサービスWAeYをローンチした。WAeYのデリバリーサービスではUberなどのサービス同様に、依頼者が荷物を取りに来てほしい場所を指定すると、近隣にいる最適なデリバリースタッフを割り当て指定の場所へ向かう。

指定場所で荷物をピックアップしたデリバリースタッフは、アプリ上の指示に従い配送先へ荷物を届ける仕組みとなっている。依頼者は配送が完了するまで、アプリ上から荷物の追跡(デリバリースタッフの位置確認)が可能。最大6つの配送を同時に依頼出来る。

詳細情報:配送はスピード優先かコスト節約か、都合に合わせて2種類のタイプが用意されている。

  • 専有デリバリー:近隣にいる手の空いているデリバリースタッフが荷物をピックアップし、そのまま配送先へと直行する。
  • シェアリングデリバリー:配送ボックス内に空きスペースのあるデリバリースタッフが近隣を通過する際に荷物をピックアップ。ピックアップ後は他の荷物の配送先と組み合わせて、アプリの指示する最適なルートに従いデリバリースタッフが順番に配送を行う。
  • 現在は、ナイジェリア経済の中心地であるラゴス州のみでサービスを提供しているが、将来的にはナイジェリア全土でのサービス展開を計画している。数カ月以内に他の州でもサービスの提供を開始し、8カ月以内にナイジェリア全州でのサービス提供を予定。
  • ラゴス以外の州では同プラットフォーム上からバイク配車サービスも提供する。なおラゴス州では、2020年の2月から物流関係車両を除き商用二輪車及び三輪車の主要地域への乗り入れを禁止したため、バイクを利用した配車サービスの提供が困難となった。
  • 1年以内で1,000人を超えるデリバリースタッフを獲得することが当面の目標。サービスの品質確保のため、デリバリースタッフ志望者には金融機関と同等のKYCや、接客トレーニングなどを含めた研修を実施する。
  • 新型コロナウイルスの影響によりeコマースの利用者が増加し物流サービスへの需要が高まる中、ラストマイルロジスティクスサービスを開始したWAeYには注目が集まる。また、新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人や、商用二輪車乗り入れ禁止措置の影響で失職したラゴスのバイクドライバーの雇用の受け皿になり得るのではないかとの声もあがっている。

背景:ナイジェリアではここ数年eコマース産業が成長し、新型コロナウイルスの影響で利用者はさらに増加したため、物流ロジスティクスや配送サービスへの需要も高まっている。ナイジェリアは道路や鉄道などのインフラが貧弱で、世界銀行による2018年度のLPI(物流パフォーマンス指標)スコアは2.53で世界160ヵ国中110位と非常に低く、物流・ロジスティクス産業の成長の妨げとなっている(日本はLPIスコア 4.03で世界5位)。

その一方で携帯電話の普及率は8割を超えeコマース産業も普及し始めているため、物流の品質を向上し配送スピードをあげることは非常に重要な課題となっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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