クロスリバ、映画・小説・ゲームを世に出す前にヒット解析予測できる「StoryAI」をβローンチ

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Image credit: Xrosriver

コンテキスト解析技術を開発するクロスリバは14日、ストーリー・シナリオ分析 SaaS「StoryAI」をβローンチした。このサービスは映画・ドラマ・ゲームなど、シナリオ形式のストーリーを自然言語解析しストーリーに内在する感情を数値化。得られた数値を時系列に配置することで、ストーリーが持つ感情抑揚をグラフ形式で見える化するものだ。クライマックスにはグラフの波に高まりが見られる。

映画・ドラマ・ゲームなど、創作コンテンツは映像や音楽など多様な要素で構成されているものの、発案者や創作者がプロデューサーや編集者に企画を通す際には、企画書・プロット・シナリオだけで判断されていることが多い。

つまり、ストーリーを見れば、そのコンテンツがヒットするかどうかがわかる。(クロスリバ 代表取締役 川合雅寛氏)

目を見張るような SFX も、ドキドキ感を誘う BGM も、そして、登場する俳優やキャラクタさえ、すベてはメインコンテンツであるストーリーを引き立てる添え物でしかない。ヒット作が素晴らしいシナリオに支えられていることは、近年の有名映画やドラマを見ていても明らかだ。

川合氏は現在、StoryAI がターゲットとできる市場をいくつか捉えている。

一つはシナリオライター養成市場。日本には現役シナリオライターが約4,000人にいて、この職業に憧れてライター養成学校に通ったり講座を受けたりしている生徒が毎年2万人生まれている。彼らは安くない授業料を支払っているが、そこから文章を書くことを生業にできるのはほんの一握りだ。

StoryAI を使って、プロが書いたヒット作のシナリオの感情変移と比べてみれば、自分の書いた作品が人に感動を与えられる可能性があるかどうかは一目瞭然。クロスリバでは脚本家団体などと連携し、シナリオライター候補生向けに、プロのシナリオの感情変移と見比べられるサービスの提供を検討している。シナリオそのものと違い、演算処理されたシナリオの感情変移データにはシナリオライターの著作権は存在しないが、クロスリバではシナリオライターに収益を還元できる仕組みも検討している。

プロが描いた作品(上)と素人が書いた作品(下)で、シナリオが持つ感情抑揚を比較
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ビジネスパーソンのスピーチやプレゼンテーションにも応用できるだろう。例えば、孫正義氏をはじめ有名人のプレゼンテーションのストーリーを StoryAI に食わせれば、ビジネスパーソンは自分のプレゼンテーションと比較して、話す内容に緩急をつけたり、感情の抑揚を促す工夫を加えたりすることができるようになる。スピーチや対談の書き起こしサービス「ログミー」などとの連携も考えられる。

またクロスリバが大きな可能性があると考えているのはゲーム市場だ。ストーリー重視型のゲームであれば、ヒット作の如何はシナリオで決まることが多い。当たるか当たらないかの振り幅が大きく業績を大きく左右する要素であるため、ゲームデベロッパからは StoryAI にとって安定的な法人需要を見込めるだろう。クロスリバでは、大手ゲームデベロッパとも交渉を始めているようだ。

StoryAI には、ニューラルネットワークとディープラニングを使った演算処理の技術が用いられている。現在特許を出願中で、技術の詳細についてはまだ明らかにされていない。

クロスリバは2017年、共創型アクセラレータ「Supernova」第2期デモデイで、世の中に受け入れられやすいストーリーを作れるようにしたクリエイティブ・プラットフォーム「ficta」を披露。そこから3年の歳月を経て、今年春には PR TIMES の「April Dream」で StoryAI の構想を明らかにしていた