
Image credit: Masaru Ikeda
DNX Ventures と日鉄興和不動産は28日、シードスタートアップのコミュニティ醸成とインキュベーションのためのスペース「SPROUND(スプラウンド)」を設立したことを発表した。場所は東京・品川駅港南口のインターシティ A 棟22階で広さは約400坪、最大収容人数は300名。入居対象は、DNX Ventures が投資対象としている B2B のシードスタートアップで、DNX Ventures から投資を受けているかどうかは問わない。DNX Ventures は大手町にあったオフィスを SPROUND に移転しており、同社のディールソースの場としての機能も兼ねる。
日鉄興和不動産は、首都圏や国内主要都市にオフィスビルを開発・展開する不動産デベロッパ大手。品川駅港南口側には、1998年11月に竣工したビル群のうち、品川インターシティ4棟を有する。東急(渋谷)、三井不動産(日本橋)、東京建物(八重洲)、森ビル(六本木)、森トラスト(神谷町)など、デベロッパ各社がそれぞれの〝城下町〟をスタートアップハブ化しようとする中、日鉄興和不動産は、羽田空港アクセス線開通などでさらに利便性向上が期待される品川を、新たなスタートアップハブに位置付けたい意図があると見られる。
なお、今回の SPROUND での協業に先立ち、日鉄興和不動産は8月、DNX Ventures の3号ファンドの LP になったことを明らかにしている。

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SPROUND の内装設計・施工・管理には、アメリカのスタートアップで、需要に合わせてフレキシブルなオフィス環境を実現する Knotel が参加。SPROUND では同社の日本初の事例として、チーム成長や事業形態の変化が激しいスタートアップの需要に合わせフレキシブルな運用が可能だという。SPROUND には、DNX Ventures が投資するスタートアップ7社が既に参加しており、今後、新たなに応募のあるスタートアップ(審査あり)のほか、アメリカの投資先の日本進出拠点として活用される可能性もある。
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、リモートワークにシフトしたスタートアップ各社は次々にオフィス閉鎖を発表した一方、オフィス貸主との間で締結された契約の解約予告期間の縛りから、即座にはオフィスを縮小したり閉鎖したりできず、苦虫を潰している経営者も少なくない。また、リモートワークであっても、イノベーションを起こす場としてチームが集まるオフィスの重要性を訴える声は大きい。

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SPROUND はフリーアクセスエリアと入居スタートアップの占有エリアで構成されている。敷金や礼金を求められず、解約予告期間が設定されず、オンデマンド的またはアドホック的に生じたニーズに合わせてスペースが確保できるため、スタートアップには利用しやすい。日鉄興和不動産によれば、SPROUND 単体で大きな利益を出すことは考えておらず、付近の同程度の物件と比べても賃料は割安に設定しているとのことだった。
SPROUND は物理的なオフィスであるのに加え同時にコミュニティ機能も有している。さまざまなスタートアップシーンで活躍する人々が外部から起用され、彼らは所属会社に籍を置きながら、副業の形で SPROUND のコミュニティマネージャーを務める。入居するスタートアップ同士の人材交流の活性化のほか、SPROUND でオンライン・オフライン開催されるミートアップやワークショップの運営にあたる。日鉄興和不動産や DNX Ventures 以外の人材がコミュニティ運営に関わる点は興味深い。

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