スタンドアロンのVRヘッドセット、ついに大きな飛躍へ(前編)

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QualcommのSnapdragon XR2コンセプトモデル・VRグラス
Image Credit: Qualcomm

テック企業によるメディアイベントには大きく分けて2つの種類がある。真新しい製品を店頭に並べる直前に発表する「Appleスタイル」と、実際に入手できるようになるずっと前、ともすれば製品名さえまだ付けられていない時期に新しいテクノロジーを発表する「Qualcommスタイル」だ。どちらのスタイルが優れているということはなく、どちらも有益だと思う。Appleが発表するのは「今」であり、Qualcommが発表するのは「未来」なのだ。

昨年12月にQualcommは複合現実デバイス向けの革新的チップセット、「Snapdragon XR2」を発表した。コンシューマー向けのOculus Questやエンタープライズ向けのHTC Vive Focus Plusといったデバイスに使われるスマートフォン用のSnapdragon835に対し、XR2はスタンドアロンのVR/ARヘッドセット用に作られており、世代間で性能が大幅に改善した。CPU・GPU性能は2倍、ピクセルスループットは4倍、ディスプレイ解像度は6倍、AIのTOPSは11倍も向上した。XR2ベースのオールインワンVRヘッドセットは、モバイルフォンというよりもPCにかなり近い性能を持つ。

Qualcommの問題(ひいてはすべての企業の問題)は、このスペシャルなチップを搭載したプロダクトそのものを持たないという点だ。「ポケモンGO」の開発元であるNianticは、スケジュールや画像は非公開ながら、XR2搭載のARグラスを計画中だとしている。QualcommはOEMの発表をパートナーであるNianticのスケジュールに従うと示唆している。

そして今年2月、フランスを拠点とするスタートアップのLynxは、初となるXR2搭載ヘッドセット「Lynx R-1」を夏に1,500米ドルで発売することを発表した。9月半ばになってもまだR-1は出荷されていないが、同社は予約した人々に対し「初出荷の製品」を届けることを保証している。

Lynx R-1
Image Credit: Lynx

この件に関してQualcommは問い合わせに一切答えていないが、R-1が市場に出る初のSnapdragon XR2搭載ヘッドセットではなさそうな兆しが見られている。というのも9月の第2週、未発表のXR2搭載HTC Vive Focusに関して、Geekbench 5と思われるベンチマークテスト結果が浮上した。そのスペックは1.8GHz、8コア、Android10と、チップセットの新仕様と合致している。

テスト結果はシングルコアスコアが924、マルチコアスコアが3415で、Snapdragon835搭載のヘッドセット、例えばOculus Quest(同267、746)に比べ数倍速い。一般的にXR2は6GB RAMと組み合わせられることが想定されるが、メモリ情報はこの結果を裏付けるもので、前世代ソリューションよりも4GB向上している。

エンタープライズユーザは新しいFocusに興味を惹かれるかもしれないーーFocus PlusはLynxがR-1に予定していた価格のほぼ半値だ。しかし、近い将来に入手可能なSnapdragon XR2ヘッドセットはこれらだけではないと思う。Qualcommが昨年VentureBeatに予告したように、XR2は間もなくコンシューマーVR/ARヘッドセットメーカーに採用されるだろう。これは、スタンドアロンの複合現実が待望の大きな飛躍を遂げる準備が整ったことを意味している。(後編へつづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】