現場をデジタル化する「tebiki」がシードでGCPから3億円調達、著名投資家と連続起業家がタッグ

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tebiki(テビキ)・素材提供:ピナクルズ
tebiki(テビキ)・素材提供:ピナクルズ

ニュースサマリ:現場教育のデジタル化を手掛けるピナクルズは9月15日、第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は3億円で、ラウンドはシード。引受先になったのはグロービス・キャピタル・パートナーズ。同社は今回の調達にあわせ、2019年に実施したエンジェルラウンドにおける増資で、有安伸宏氏、辻庸介氏、赤坂優氏の3名から合計5,000万円の出資を受けていることも明らかにした。なお、有安氏がその内3,000万円を出資している。

ピナクルズが提供するのは小売や飲食、製造、物流など人手がかかる「現場」のオペレーションを教育するための動画プラットフォーム「tebiki(テビキ)」。現場のOJTをスマートフォンアプリで撮影することで、短い動画マニュアルを作成することができる。特徴は音声認識と字幕作成で、撮影した動画から自動的にテキストを抽出し、外国人労働者などに向けての翻訳や、検索しやすいデータ構造を持たせることが可能。

短いコンテンツを一連のマニュアルに編集し、閲覧した社員・アルバイトがどこまで習熟したかを可視化できるので、管理者は評価などの面で定量的なデータを参照することもできるようになる。

ピナクルズの創業は2018年3月。翌年8月にtebikiを公開し、現在8名のチームで開発・導入を進める。具体的な導入数は公開していないが、不二家やアスクルなどの大手を中心に導入が加速している。利用料金は基本料金とユーザーID毎の課金で、詳しい金額は公表していない。

tebiki(テビキ)・素材提供:ピナクルズ
tebiki(テビキ)・素材提供:ピナクルズ

話題のポイント:創業者の貴山敬さんはシリアルアントレプレナーで、以前、サイタの副社長としても活躍していた人物です。個人投資家として出資した有安さんとはサイタ含めて15年のお付き合いということで、強い投資家と起業家のタッグという面でも注目株になっています。

tebikiはその貴山さんがずっと以前に経験していたチーズ工場での経験が元になってできています。彼は食品メーカーでチーズを製造していたのですが、その際、社員教育に苦労していたそうです。経験の必要なオペレーションはどうしてもベテランが手掛けてしまい、かつ、緊急性を要するようなケースだと、新人にはなかなか経験する場面が回ってきません。結果、ベテランと新人で差が生まれてしまう。

こういった「現場」のオペレーションは経験という名の下にデジタル化がなかなか進まなかった分野です。最近では、ClipLineやTeachme、soeasy、TANRENなどの「動画マニュアル」サービスが増えてきましたが、そもそも「動画を撮影してマニュアルを作る」という行為自体に大きなハードルがありました。いわゆるオンボーディングの壁です。

tebikiは実際、私も作成の過程を見せてもらったのですが、撮影自体はスマートフォンを使ったことがあれば短い動画メッセージを作るのとほぼ同じで、問題ありません。そして何より、音声認識と字幕表示、翻訳、さらに正誤ケースにはスタンプ的に「マル」「バツ」をつけたりする簡易な編集が非常に軽い印象でした。オンボーディング自体も初月に2、3時間程度のレクチャーだけだそうで、あとの動画撮影など、ピナクルズのチームは一切手を出さないそうです。実際、大手に導入が進んでいることからもかなり使いやすいのだと思います。

そしてtebikiが目指す先はもう少し向こうにあります。

tebikiには「できるボタン」という仕組みがあって、OJTが終わった社員についてはスキルマップが可視化されます。これまで現場の上長が把握していたスキルをデータ化することで可能になるのが「配置」です。誰が誰をどう成長させたくてどう企業として人材を配置するか。この現場仕事でなかなか進まなかった組織課題を解決することで、企業はより効果的な人材活用ができるようになります。

目下「敵はワードとエクセル」と語る貴山さんでしたが、久しぶりに急成長しそうなスタートアップに出会いました。Meetrip時代のグローバルな視点もお持ちなので、アジア圏含めたノンバーバルな展開も楽しみです。