ドイツで進むローカル5Gの普及と日本の現在地

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ピックアップ―:Germany likely to see many more private 5G networks

ニュースサマリ―:2020年9月に、ドイツの通信産業を監督する連邦ネットワーク庁(BNetzA)が、ローカル5Gネットワークを展開するべく、公共部門民間部門合わせて74件のライセンスを付与したと発表した。この数字は同年4月発表時点の33件の2倍以上に及び、ローカル5G活用が積極的に推進されている。

重要なポイント:ここで付与されるローカル5Gネットワークは、基本はドイツが国家を上げて推進するインダストリー4.0のシナリオでの活用が期待されているが、農業や林業といった他の領域での活用の期待もされている。

詳細情報:上記のようにライセンスを付与された企業には、NTT DATA Deutschland GmbHのようなSI企業、ローデシュワルツのようなエレクトロニクス企業、AudiやMercedesといった自動車メーカー、Bayerischer Rundfunkのような放送局など多岐に渡る。

  • ドイツでは、大企業や研究機関によって既にコネクテッドな都市交通やスマートグリッド、スマート工場といった様々なトピックで5G関連のプロジェクトが走っている。
  • 日本の総務省によるとローカル5Gとは、携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に、地域の企業や自治体等が自らの建物や敷地内でスポット的に柔軟に自営のネットワークを構築するシステムを指す。キャリアの提供する5Gサービスとの相違点は、(1)携帯事業者によるエリア展開が遅れる地域において5Gシステムを先⾏して構築可能(2)⽤⽤途に応じて必要となる性能を柔軟に設定することが可能(3)他の場所の通信障害や災害などの影響を受けにくいといった相違点がある。
  • 日本国内では富士通が2020年3月に国内初で商用のローカル5Gの無線局免許を取得し、ローカル5Gシステムの運用を開始したことを皮切りに、ローカル5Gを活用した実証実験が活発化しつつある。ここでは、多地点カメラで収集した高精細映像のデータ伝送にローカル5Gを活用し、AIによる人の様々な動作解析で、不審行動などを早期に検知するセキュリティシステムを実現し、建物内の防犯対策強化を目指す。
  • 2020年10月に「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」における実証内容が決定。既に、トヨタ自動車株式会社のMR技術を活用した遠隔作業支援やNTTデータ経営研究所の遠隔医療を始めとして、製造業・医療・農林水産業・流通業・観光業など様々なインダストリーで実証実験の実施が決まっている。
  • 富士通が日本マイクロソフトとローカル5Gを活用してリアルタイムに施設内のデータを可視化するシステムの有効性を検証したが、これはローカル5Gとクラウド環境を結合することでネットワークやアプリケーション処理の負荷に応じた最適なシステムを実現した点が特徴。
  • 川崎重工業、オプテージ、べニックソリューションでスマートファクトリーの実現に向けた実証実験を10月から開始。川崎重工播磨工場で運用中の遠隔操縦で熟練作業者の動きを再現するロボットシステム「Successor(R)-G」で、高精密画像の無線伝送による操作性の検証。将来的には、ローカル5Gを整備した工場間や工場と建設現場間を高速の光通信で接続し遠隔地でのロボットの操作を目指す。
  • 東京都とNTT東日本、NTTアグリテクノロジーの3社はローカル5Gを活用した最先端農業の実装に向けた連携協定の締結をしたように、企業同士の提携はもちろん自治体と企業が提携する事例も出てきている。

背景:電子情報技術産業協会によると、ローカル5Gの市場規模が、国内では、2020年時点で62億円のところが2030年には1兆3千億円とCAGR71.3%で成長し、グローバルでは、2020年時点で1,000億円のところが2030年には10.8兆円へとCAGR65%の成長が見込まれ、いずれも非常に大きいビジネスポテンシャルが想定されている。

執筆:國生啓佑/編集:岩切絹代