AnyMind Group、サニーサイドアップ傘下の越境マーケティング支援会社ENGAWAを買収

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左から:AnyMind Group CEO の十河宏輔氏、ENGAWA 代表取締役社長の牛山隆信氏
Image credit: Masaru Ikeda

日本やアジア各国で AI を活用したマーケティングソリューションなどを提供する AnyMind Group(以下、AnyMind と略す)は22日、サニーサイドアップ(東証:2180)傘下のクロスボーダーマーケティング会社 ENGAWA を完全子会社化すると発表した。AnyMind Group は ENGAWA の100%株式を取得する。買収金額は不明。この買収を受けて、ENGAWA の代表取締役社長である牛山隆信氏は、AnyMind の日本法人 AnyMind Japan の取締役に就任する。AnyMind にとっては7社目となる買収。

ENGAWA は2015年、サニーサイドアップの完全子会社として設立。設立直後には、広告制作大手ティー・ワイ・オー(2017年に、同業の AOI Pro. と経営統合)から資金調達している。サニーサイドアップのメンバーに、1970年に創刊された英字メディア「Tokyo Weekender」のチームが加わり、日本各地の自治体や DMO(観光地域づくり法人)などを通じて、地方企業が生み出す商品の海外プロモーションなどを支援している。INITIAL によれば、2018年9月のポストシリーズ A 時点での時価総額は6.8億円。

AnyMind は2019年8月、サニーサイドアップの完全子会社サニーサイドアップパートナーズと合弁で、アジアにおけるインフルエンサーマーケティング事業を展開する新会社 AnyUp を設立している。AnyUp の事業を進める上で、AnyMind は ENGAWA と接点を持つこととなり、事業や人材にシナジーがあるとの判断から今回子会社化するとの判断に至ったという。差し当たって、ENGAWA が全国に持つ700社以上の地方メーカーや地元生産者への AnyMind ソリューションの販売などが期待される。

BRIDGE とのインタビューで、ENGAWA の牛山氏は次のように語った。

クロスボーダーマーケティングで、どうやって事業成長の可能性を最大化するかを考えたとき、デジタルなアセットを多く持っている AnyMind は理想的なパートナー。ENGAWA が成長することはサニーサイドアップにとってもメリットは大きく、AnyMind の子会社になることにサニーサイドアップの理解も得られ話はスムーズに進んだ。

また、AnyMind CEO の十河宏輔氏は次のように語った。

大企業にもユーザが増えてきた AnyMind だが、日本の地方の自治体やメーカーに十分なアプローチができているかというと、まだできていない。そこは、やはり、足の長いウエットな営業力が必要になってくる世界。全国のメーカーや地元生産者にアカウントを持っている ENGAWA が非常に魅力的な存在。

さらには、インフルエンサーマーケティングの分野では、AnyMind は東南アジアに、また、ENGAWA は中国にそれぞれ独自のインフルエンサーネットワークを持っており、これらを統合的に運用管理したり、相互の顧客の提案メニューに加えたりすることもできるようになるだろう。日本法人の AnyMind Japan は社員数が100人を超えており、現在2人の取締役(十河氏と、2020年年初に買収された GROVE の CEO 北島惇起氏)に ENGAWA 牛山氏が加わることで、経営体制を強化する狙いもあると見られる。

AnyMind は昨年、羽田空港でデジタル OOH 広告事業の展開を開始した。これは全国の地方空港のデジタル OOH のネットワークを構築する事業の最初の布石となるものだ。ENGAWA を通じて日本の地方企業のプロモーションやマーケティング支援を強化するという文脈において、この地方空港のデジタル OOH ネットワークの拡大は両社にとって今後の事業展開の好材料となるだろう。

<参考文献>

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