チャット小説アプリ「peep」運営、海外展開見据えTencent(騰訊)から資金調達——イラストノベルや新規IP創出も

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「peep」
Image credit: Taskey

チャット小説アプリ「peep」を運営する Taskey は30日、シリーズ D ラウンドで Tencent(騰訊)から資金調達したことを明らかにした。同社にとっては、2015年6月の調達、2018年7月の調達、2019年5月の調達に続くものだ。今回ラウンドの調達金額は明らかになっていないが、過去の調達ラウンドなどから考えて、数億円以上に上るものと見られる。

Taskey は2014年、作家でもある大石弘務(大石ロミー)氏らにより創業。2015年2月に小説家やイラストレーターなどクリエイターが創作活動を行える SNS「taskey」をローンチ、2017年12月にチャット小説アプリ「peep」をローンチした。peep はスマートフォンに最適化された、プロの作家・編集者によるテキストコンテンツがウケて、これまでのダウンロード件数は300万件以上。

マンガや動画に比べテキストは地味なようにも思えるが、あらゆるコンテンツ形式の原案になるため、メディアミックス展開にとって非常に有利だ。peep に公開されたコンテンツの数は2,000程度だが、それらを元にした実況動画の再生数は4,500万件を超えており、インフルエンサーが出演したシネマコンテンツで話題づくりにも成功し、Z 世代のオーディエンスを捉えることに成功した。

同社では今回の調達を受けて、新たな視聴体験となる「イラスト​ノベル」を peep に実装の予定。また、peep で公開された日本のテキストコンテンツを翻訳し、これらが読めるアプリを今年8月から英語圏で展開する予定だ。各種ゲームの開発・プロモーションでも力を持つ Tencent と組むことで、ヒット作のゲーム化と世界展開を視野に入れる。

BRIDGE では韓国を中心に、ウェブトゥーンが映画やテレビドラマを生み出す原動力となっている事例を紹介してきた。ウェブトゥーンを制作する Tapas Media は昨年、ポータル大手のカカオに5.1億米ドルで買収。最近では、韓国の短編ドラマスタートアップ WhyNot Media(와이낫미디어)が KDDIから資金調達し、日本進出を明らかにしたのは記憶に新しい。

ピッコマを運営するカカオの日本法人は580億円を調達、時価総額は8,500億円に達しデカコーンクラブ入りが目前だ。日本では、今年1月にアニメイトにグループ入りしたロケットスタッフが日本でウェブトゥーンビジネスの開拓を狙っている。Naver は、今年初めに買収したカナダの小説創作 SNS「Wattpad」をウェブトゥーン事業と統合し、世界展開を本格化させることを明らかにした

このように、コミュニティから生まれたコンテンツを流通させるプラットフォームはいくつも生まれている。日本のマンガは世界的に評価が高いが、漫画家の不足などから創り出すのに手間がかかり、ヒット作が生まれるまでにも時間がかかる。Taksey では作家の発掘コストの安さや面白いストーリーのアウトプット力を強みとして、さまざまなエンタメ形式に変化させられるテキストコンテンツの開拓や IP 開発に注力するとしている。

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