多言語化サービス提供のWOVN、TybourneやMPowerらから36億円を調達——累積調達額は54億円に

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2019年に開催された WOVN のイベント「GLOBALIZED」
Image credit: WOVN

Web サイト多言語化ソリューション「WOVN.io(ウォーブン・ドットアイオー)」を提供する Wovn Technologies(以下、WOVN)は28日、直近のラウンドで約36億円を調達したことを明らかにした。2019年5月に実施した(発表は6月)14億円の調達に続くもので、ラウンドステージは、シリーズ F 相当と見られる。今回ラウンドを受けて、WOVN の累積調達額は約54億円に達した。

このラウンドは、香港の Tybourne Capital Management(以下、Tybourne)がリードインベスターを務め、MPower Partners Fund(以下、MPower)、Eight Roads Ventures Japan、インキュベイトファンド、凸版印刷(東証:7911)、SMBC ベンチャーキャピタルと、名前非開示のアメリカのロングオンリー型機関投資家(独立系資産運用会社)が参加した。

今回参加した投資家のうち、Eight Roads Ventures Japan、インキュベイトファンド、SMBC ベンチャーキャピタルは、過去のラウンドに続くフォローオンでの参加。

リードインベスターを務めた Tybourne は日本の非上場企業への出資を積極化させつつあり、先ごろユニコーンとなった日本の BNPL スタートアップ Paidy のシリーズ C および D ラウンドへ参加したのは記憶に新しい。今回は、WOVN の持つ「Localize the Internet」の市場性が評価された。

MPower は今年5月にローンチしたキャシー松井氏(ウーマノミクス提唱者、ゴールドマン・サックス証券元副会長)、村上由美子氏(元 OECD 東京センター所長)、関美和氏(ファクトフルネスの翻訳者、元ファンドマネージャー)らによるグロースファンドだ。WOVN では以前から関氏と親交があり、今回の出資では ESG 観点での多言語化が評価された。

WOVN は2014年に MVP(実用最小限製品)をローンチ、Java Script 1行をウェブサイトに挿入することで、多言語対応できる機能を提供してきた。2017年にエンタープライズ対応を充実させた「WOVN.io PRIME」を公開し標準機能を実質無料化。2018年にモバイルアプリ多言語化 SDK「WOVN.app」、2019年にオンラインストレージでの文書多言語化「WOVN Workbox」、2020年にあらゆるサービスに多言語環境化する「WOVN.api」をローンチした。

コロナ禍においてインバウンド需要は激減した一方、海外からの流入をオンラインで取り込んだり、オンラインでの市場進出に取り組んだりする動きは企業において活発化している。WOVN では調達した資金を、VUCA(予測が困難な現代)とされる環境下において、クライアント企業へ付加価値の高い多言語化ソリューションを提供していくための社員の育成とスキル強化、採用強化、マーケティング・販促活動の強化、Web サイト・アプリ多言語化以外の新事業ドメインへ拡張するための新規事業開発などに用いるとしている。

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