「M&Aクラウド」運営、STRIVEらから10億円を調達——買い手から売り手へ、熱意が伝わる仕組みを開発

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左から:執行役員CFO MACAP 事業本部長 村上祐也氏、代表取締役 CEO 及川厚博氏、代表取締役 COO 前川拓也氏、執行役員 CTO サービス開発本部長 荒井和平氏
Image credit: M&A Cloud

オンライン M&A マッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」を運営する M&A クラウドは27日、直近のラウンドで約10億円を調達したと発表した。同社にとっては、2020年6月に実施したシリーズ B ラウンドに続くものだ。今回ラウンドのリードインベスターは STRIVE が務め、Skyland Ventures、インキュベイトファンド、SMBC ベンチャーキャピタル、日本郵政キャピタル、博報堂 DY ベンチャーズ、MS-Japan(東証:6539)、名前非開示の個人投資家が参加した。累積調達額は約13億円。

同社は事業の売り手と買い手をマッチングするプラットフォームを運営。先月(2021年9月)には、売り手から買い手への打診数は1,360件に及び、マッチングは322件に達した。打診数では前年同月比7倍程度、マッチング数では前年同月比3倍程度の成長だ。特に IT 関連の M&A が多く、受託開発会社がエンジニアを増員する目的で同業を買収するケースや、資金調達した SaaS スタートアップが開発力を増強するために受託開発会社を買収するケースなどが顕著だという。

SaaS 企業は比較的バリュエーションが高いので、ある SaaS 企業が別の SaaS 企業を買うのは大変。むしろ、自社の SaaS の機能追加などアップデートの頻度が高いことがユーザの満足度向上につながるが、そのためには開発スピードが重要だ。しかし、エンジニアを採用するのは難しい。M&A を通じて、受託開発会社が SaaS 企業の開発力を上げる受け皿になってきている。(代表取締役 CEO 及川厚博氏)

M&A クラウドが間を取り持った事例として公表されているものでは、SaaS ではないものの、ランサーズ(東証:4484)がオンラインメンターサービス「MENTA」を運営するイリテクを買収した事例は、この文脈に近い。また、DX(デジタルトランフォーメーション)という文脈でも M&A は増えているそうだ。ソフトウェアの品質保証・テストを手がける SHIFT(東証:3697)は2021年3月、フリーランスエンジニアのマッチングプラットフォーム事業の A-STAR を買収している。

M&A クラウドで売り手となる側の企業の経営者は、連絡が来てみて、M&A という選択肢に気づく事例が非常に多いそうだ。特にメールや DM などでさまざまな案内が来る中で、事業の買い手側が潜在的売り手に熱意の伝わる形で連絡を取り続けることで、ディールが成功につながる事例が多いという。M&A クラウドでは、このコミュニケーション手段の開発に注力しており、及川氏は「M&A クラウドからの連絡は必ず経営者に反応してもらえるようなブランディングに注力していきたい」と語った。

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