一周回って対話型が本流になるかもしれないモノの売り方【Canvas 11月号(11月6日〜11月12日)】

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一周回って対話型が本流になるかもしれないモノの売り方

今週の話題(11月6日〜11月12日):Walmartが「音声ショッピング」拡大に向け、ノーコードのBotmockを買収へ

テクノロジーが進歩する過程では、ユーザ体験が振り子の揺り戻しのように、かつての体験が違った形でデジャブの如く繰り返されるケースはよくあります。

130年前に日本で初めて電話が開通した頃には、電話番号など覚えていなくても受話器をとって「渋谷の田中さんに繋いでください」と交換手に伝えれば電話が通じました。その数十年後に電話は自動交換となり、以来、私たちは電話をかける相手の番号を覚えるかメモしておくことが必要になりました。それが今では、スマホに相手の名前を言うだけで電話やボイスコールを繋いでくれます。体験は130年前に戻ったことになります。

モノを買う体験にも、同じことが言えるという友人がいます。スーパーは欲しいものが揃う近代的な仕組みですが、自分からモノを買いに出向かねばなりません。江戸時代は行商が長屋の軒先まで商品を持ってきてくれました。今ではこの商品が向こうから家に届く体験を、e コマースやフードデリバリが担っています。ショッピングカートはスーパーでの買い物に最適化されていて、ソーシャルコマースの方が元来の体験に似ていると思うこの頃です。

「Botmock」
Image credit: Botmock
  • Walmart は先頃、音声対応可能なチャットボット対話プロトタイピングを実現する Botmock を買収しました。簡単に言えば、Google Assistant や Amazon Alexa で我々が普段体験するような、ユーザとシステムとの音声でのやりとりが、プログラミングスキルを必要とせず、誰にでも簡単に作れてしまうというものです。フローチャートを作りながらシナリオを作成することでき、数多くのプラットフォームとの連携に対応します。
  • Walmart は昨年、従業員向けに商品の店内の場所や在庫などが調べられる音声 Q&A アプリ「Ask Sam」をローンチしています。このアプリは将来的に一般消費者にも開放されることが期待され、また、スーパーマーケットである Walmart は最終的には消費者に、音声入力による商品の検索や購入ができるようにしたいのだと思います。数多くの商品を扱う Walmart では現場担当者がシナリオを作成できる必要があり、ここでプログラミングスキルを必要としない Botmock に白羽の矢が立ったというわけです。
  • 日本で言えば、フリークアウト HD(東証:6094)傘下の ZEALS がこの分野の雄で、同社は9月14日に東京証券取引所への上場申請しました。人から紹介を受けたり、説明を受けたりして、オンラインでの商品購買に結びつけるライブコマース、ソーシャルコマース、チャットコマースはもともと中国やアジアに端を発したものでしたが、明らかに世界のトレンドになりつつあります。結局は皆、古くは「バナナの叩き売り」のような啖呵売よろしく、人から対話の延長でモノを買いたいという思いが根底にあるのでしょう。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

ネクステージ元COOが創業、プロ任せの自動車C2C「カババ」運営がシリーズA調達(11月12日)

  • アラカンは、シリーズ A ラウンドで資金調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、三菱 UFJ キャピタル(MUCAP)、Z Venture Capital(ZVC)、名古屋テレビ・ベンチャーズ。アラカンはシリーズ A ラウンド単体での調達額は開示していないが、創業来の累計調達金額は4億円に達したことが明らかになっている。

オーダーメイド介護「イチロウ」運営、プレシリーズAで1億円を調達(11月11日)

  • LINK は、プレシリーズ A ラウンドで1億500万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズ、LITALICO、コムレイズインキュベート。なお、調達金額には政策金融公庫からのデットファイナンスが含まれる。

子供向け読書習い事「ヨンデミーオンライン」、プレシリーズAで1億円を調達——選書から読書習慣化へ力点シフト(11月9日)

  • Yondemy は、プレシリーズ A ラウンドで1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは XTech Ventures がリードし、D4V、W Ventures、F Ventures が参加した。これは、昨年12月に明らかになったシードラウンド(実施は昨年8月前後)に続くものだ。

iPaaS「ActRecipe」提供のアスタリスト、EVらから5,800万円を調達——SaaSのデータ連携でDXを支援(11月8日)

  • アスタリストは、East Ventures などから5,800万円の資金調達したと発表した。なお、調達ラウンドと East Ventures 以外の投資家名は明らかにされていない。

自動搬送ロボット開発のLexxPluss、プレシリーズAで資金調達——ロボット量産化、事業拡大へ(11月8日)

  • LexxPluss は、プレシリーズ A ラウンドで資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は明らかにされていない。このラウンドに参加したのは、Logistics Innovation Fund(セイノーホールディングスや Spiral Innovation Partners による運営)、インキュベイトファンド、SOSV、三井住友海上キャピタル、みずほキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル。このうち、インキュベイトファンドと SOSV は、LexxPlus が今年3月に実施したシードラウンドにも参加していた。

医療向け画像処理やXRのHoloEyes、医薬品卸売最大手メディパルHDから資金調達(11月8日)

  • HoloEyes(ホロアイズ)は5日、医薬品卸売最大手のメディパルホールディングス(東証:7459)の CVC(通称 MEDIPAL Innovation Fund、メディパル HD と SBI インベストメントが運営)から資金調達したことを明らかにした。調達金額は非開示。今回の調達と合わせ、メディパル HD と HoloEyes は業務提携も行う。

治験・臨床研究DXのアガサ、3.6億円を資金調達——リモートワーク需要追い風に、ユーザは1万名以上増(11月6日)

  • アガサは、直近のラウンドで3.6億円を調達したと発表した。このラウンドは One Capital がリードインベスターを務め、IT 大手の パイプド HD(東証:3919)のほか、既存株主のモバイル・インターネットキャピタル(MIC)と GMO VenturePartners(GMO-VP)が参加した。ラウンドステージは不明。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

Avocado Guild のメタバース(イラスト)
Image credit: Avocado Guild

タイのGuildFi、ゲーム・NFT・コミュニティをつなぐWeb3インフラ開発で600万米ドルをシード調達(11月12日)

  • GuildFi が、シードラウンドで600万米ドルの調達を完了した。このラウンドは、シンガポールを拠点とする暗号資産ファンドの DeFiance Capital と、韓国のアーリーステージ VC であるHashed が共同でリードした。また、Pantera Capital、Coinbase Ventures、Alameda Research、Animoca Brands、Dapper Labs、Play Ventures、SkyVision Capital、Coin98 Ventures などの著名な投資家も共同出資している。

GojekとTokopediaの統合会社、プレIPOラウンドの調達額が13億米ドル超に——Google、Fidelity、Tencentが参加(11月12日)

  • GoTo Group は、プレ IPO ラウンドのファーストクローズで13億米ドル超の資金を調達した。投資家には、アブダビ投資庁(ADIA)の完全子会社、Avanda Investment Management、Fidelity International、Google、Permodalan Nasional Berhad(PNB)、Primavera Capital Group、SeaTown Master Fund、Temasek、Tencent(騰訊)、Ward Ferry などが名を連ねている。

銀行がデジタル通貨の研究者採用へ、ロシアがデジタルルーブル計画など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(11月11日)

自動運転の42dot、韓国のシリーズA史上最大の100億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月10日)

  • 42dot(포티투닷)が1,040億ウォン(約100億円)を調達しシリーズ A ラウンドをクローズ。シリーズ A ラウンドとしては韓国最大規模。累積調達額は1,530億ウォン(約150億円)。

MasterCard、アジア太平洋地域で仮想通貨決済カードをローンチ(11月9日)

  • MasterCard は、アジア太平洋地域に拠点を置く仮想通貨サービスプラットフォーム「Amber Group」「Bitkub」「CoinJar」と提携し、決済カードをローンチした。このカードを使えば、世界中のユーザがデジタルトークンを従来の法定通貨に変換できるようになる。

ベトナム版Amazon「Tiki」、シリーズEで2億5,800万米ドルの調達を確認(11月9日)

  • Tiki は、保険大手 AIA がリードしたシリーズ E ラウンドで、2億5,800万米ドルを調達したことを確認した。Tech in Asia は、Tiki の時価総額が今回の資金調達後に10億米ドルに近づき、ベトナムでは珍しいテックスーニコーン(まもなくユニコーンになる会社)の1つになったと報じていた。今回のラウンドでは、他にもTaiwan Mobile(台湾大哥大)、Mirae Asset-Naver Asia Growth Fund、STIC Investments、Yuanta Fund(元大基金)などが注目の投資家として名を連ねている。

「独身の日」のネット爆買、今年は地方都市から初参加の人が増加か【米ベイン&カンパニー報告書】(11月7日)

  • 経営コンサルティング会社 Bain & Company が3日に発表した報告書によると、今年の「独身の日(光棍節)」では、一級都市や二級都市よりも下級都市(都市部以外の地方都市)からの初めての買い物客が多くなるとのことだ。

ストックフォトと画像編集ツール大手Inmagineが始める、NFTを使ったデジタル美術館「Pixlr Genesis」とは【CEOインタビュー】(11月7日)

  • デザインと写真編集のエコシステムである Inmagine 傘下の Pixlr が、非代替トークン(NFT)を使ったムーブメント「Pixlr Genesis」を発表した。このプロジェクトは、ルーブル美術館、MoMA(ニューヨーク近代美術館)、ナショナル・ギャラリーに匹敵する世界最大の分散型美術館をメタバース上に建設することを意図している。

BTSの所属事務所、仮想通貨取引所「Upbit」運営に出資——NFT共同事業とウェブトゥーン制作を発表(11月6日)

  • K-POP ヒットメーカー BTS(防弾少年団)が所属する韓国企業 Hybe(旧 Big Hit Entertainment)はソウルで記者会見を開き、新たなポップアクトを立ち上げ NFT に投資することを明らかにした。今後、韓国最大の仮想通貨取引所「Upbit(업비트)」を運営する「Dunamu(두나무)」に非公開額の投資を実施し、BTS やその他の Hybe アーティストをフィーチャーした非代替トークン(NFT)発行するジョイントベンチャーを立ち上げる。

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