2021年も終盤戦、今週はスタートアップイベントと年内上場組の承認が続々【Canvas 11月号(11月13日〜11月19日)】

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2021年も終盤戦、今週はスタートアップイベントと年内上場組の承認が続々

今週の話題(11月13日〜11月19日):チャットコマースと接客DXのZEALS、東証マザーズに上場へフィンテックのFinatext HD、東証マザーズに上場へAIサービス開発のエクサウィザーズ、 東証マザーズに上場へインフルエンサーマーケティングとファンコミュニティアプリのTHECOO、東証マザーズに上場へ

コロナ禍で今年春から夏にかけて予定されていたスタートアップイベントの多くが延期されました。国内では新規感染者数が落ち着いてきたこともあり、11月や12月には多くのイベントがリスケされました。その結果、今週は、栃木・那須で IVS、沖縄で ResorTech Okinawa と Okinawa Startup Festa、福岡で明星和楽と、3つのイベントのスケジュールが重なりました。コロナ禍でスタートアップの皆さんに in-person でお目にかかる機会が少なかったので、今年のラップアップの意味を込め、3都市に足を運んでみました。日本列島を半分くらい横断したのでタフでしたが、どのイベントにも活気が戻りつつあるのは期待が持てました。

各イベントの報告や洞察は追って BRIDGE に掲載していきますが、もう一つ、今週、スタートアップシーンをにぎわせた話題はスタートアップ4社の上場承認のニュースでした。タイミング的には、年内上場組の最終列車といった感じでしょうか。各社の時価総額を有価証券届出書に記された想定価格から割り出して意みると、ZEALS は233.2億円、Finatext ホールディングスは628.9億円、THECOO は145.1億円、エクサウィザーズが832.7億円。上場初値に1,000億円を超える会社が出れば、今年5社目となります。

今週、東証マザーズへの上場されたスタートアップ。左から:ZEALS 清水正大氏、Finatext ホールディングスのエントランス、THECOO 平良真人氏、エクサウィザーズのロゴ
  • ZEALS は2014年4月、会話型ロボットソフトウェアの開発などを主事業として創業。2017年5月、チャットットボット管理ツールとして「fanp」を正式ローンチするも、その後、チャットボットによる対話型広告に事業をピボットしました。同社のチャットコマースは、チャットボットと会話しながら商品が購入できるサービスで、導入先は約400社、エンドユーザはのべ430万人(2021年3月現在)。最近、Walmart が Botmock を買収しましたが、ZEALS は日本における Botmock 的存在で、小売業との事業展開拡大が期待されます。
  • Finatext は、株式や FX の教育アプリ、モバイルアプリを使った FX投信サービス保険事業者向けのクラウドなど、各種のフィンテック関連サービスを提供しています。ここでも最近の金融サービスを語る上で外せないキーワードが「アンバンドル」です。金融サービスの従来プレーヤーを従来事業者が提供する一方、顧客に近いフロントエンドは UI/UX に強いフィンテックスタートアップが担うという構図。銀行系の BaaS はインフキュリオンなどが強いですが、Finatext は株式、投信、FX、保険などの  XaaS を攻めるようです。
  • THECOO は2014年1月に創業。YouTuber と企業を繋ぐマッチングサービス、インフルエンサーマーケティングツール、ファンコミュニティアプリなどを運営しています。現在ファンコミュニティは2100件以上あり、女優の武田玲奈氏、アーティストの宇野実彩子氏、全日本プロレスなどもコミュニティオーナーとして利用しています。昨年には、コロナ禍でリアルイベントを開催できないアーティスト向けにチケット制ライブ配信サービスを開始し、今年3月には、東京・新宿御苑にライブ配信スタジオを開設しました。
  • エクサウィザーズは、社会や経営の課題を解決する AI ソリューションを提供しています。同社は IPO で300億円ほど調達しますが、約4割を海外投資家に親引け(特定者への新株売り渡し)します。親引けは時価より安い公募価格で取引されるため贈収賄を起こしやすく、リクルート事件を発端に避けるのが慣例でしたが、ココナラの南会長の話にもあったように、理解を得られるケースが出てきました。マネーフォーワードも今夏、海外機関投資家から多額を調達しました。国内投資家に比べ、赤字を掘っても売上を伸ばすため投資することに理解を得やすいのかもしれません。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

シリーズ F で124億円を調達したアストロスケールのスペースデブリ除去衛星「ELSA-d」
Image credit: Astroscale Holdings

医師のインフォームドコンセントを支援する「MediOS」運営、プレシリーズAで1.4億円を調達(11月16日)

  • コントレアは、プレシリーズ A ラウンドで1.4億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、千葉道場ファンド、名前非開示の個人投資家。これは同社にとって、昨年7月に実施したシードラウンド(East Ventures が参加、調達額非開示)に続くものだ。

現場向け動画教育SaaS「tebiki」、GCPから8億円をシリーズA調達——コロナが追い風、問合せは1年半で10倍に(11月16日)

  • tebiki は、シリーズ A ラウンドでグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)から8億円を調達したと発表した。これは、tebiki にとって、昨年9月に実施したシードラウンドに続くものだ。今回ラウンドに調達した GCP は、シードラウンドでも参加していた。

VRイベント&メタバース開発・運営のHIKKY、シリーズA1でドコモから65億円を調達(11月15日)

  • HIKKY は、シリーズ A ラウンドのファーストクローズで NTT ドコモから65億円を調達していたことを発表した。HIKKY の時価総額や NTT ドコモの取得持分は明らかになっていないが、HIKKY は資金調達後も同社の経営の独立性が維持される予定としている。両社は先月、資本・業務提携を締結していた。

福岡発、学校弁当モバイル注文の「PECOFREE」が6,100万円をシード調達——RKB毎日、テノ.HD、Sun*らから(11月15日)

  • PECOFREE は15日、シードラウンドで約6,100万円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、RKB 毎日放送、テノ.ホールディングス(東証:7037)、Sun Asterisk(東証:4053)が参加した。金額には後述の NCB ベンチャーキャピタルからの調達を含む。

感情分析で新製品開発を支援するSandBox、3,000万円をシード調達——日本スタートアップ支援協会、ディープコアらから(11月15日)

  • SandBox は、シードラウンドで3,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、日本スタートアップ支援協会、ディープコア、名前非開示の個人投資家複数。同社では、商品パッケージ等のデザインをより手軽に分析したいというニーズの高まりを受け、今回の調達で、視線・感情推定サービスの開発加速を図る。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

Avocado Guild のメタバース(イラスト)
Image credit: Avocado Guild

仮想通貨マイニング禁止の裏に、地方政府幹部の汚職事件が影響か——中国ブロックチェーン界週間振り返り(11月17日)

  • 江西省の政治諮問機関である中国人民政治協商会議の前副委員長 Xiao Yi(肖毅)氏は、権力を濫用し仮想通貨をマイニングする企業を設立したとして起訴された。共産党員の汚職などの不正行為を監視する中央規律検査委員会の11月13日の発表によると、「法律と党の規律に違反した」として解雇され、党から除名された。

デジタル国際物流「YESBEE」、韓国ブランドのD2C日本進出支援を開始——シリーズBで9.7億円を調達(11月15日)

  • AIO&CO KOREA(아이오앤코 코리아)は、シリーズ B ラウンドで約100億ウォン(約9.7億円)を調達した。このラウンドに参加したのは、KB Investment、KB 証券、韓国投資パートナーズ、SJ 投資パートナーズ、The Wells Investment、Crit Ventures、新韓キャピタル。

韓国発、イラスト描画や映像編集などのビデオ講座サービス「Coloso」が日本進出(11月15日)

  • Day 1 Company(데이원컴퍼니)の社内創出スタートアップ Coloso(콜로소)が日本市場に進出した。Coloso は、イラストや映像編集などの自営・フリーランサー向けの講義をオンラインで提供する。2019年にサービスを開始した Coloso は今年に入って売上高100億ウォン(9.7億円)を達成しており、日本に続き、年内にはアメリカにも進出する計画だ。

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