Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)は、リアルの仮想通貨マイニング?【Canvas 11月号(11月20日〜11月26日)】

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Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)は、リアルの仮想通貨マイニング?

今週の話題(11月20日〜11月26日):Niantic、時価総額90億米ドルでCoatueから3億米ドルを調達——現実世界のメタバース構築FoldとNiantic、拡張現実でビットコイン報酬を獲得できるアプリを開発

メタバースという言葉もある種のバズワードなので、この領域の頂上にはいろんなルートからアプローチするプレーヤーがいます。SNS、AR、VR、ライブ、ゲームなどの領域にいたプレーヤーが、続々とメタバースへとシフトを図っています。大きな動きとしては、SNS の大家(たいか)だった Facebook が Horizons World や Oculus をかつぎ、社名の変更までしてメタバースへの舵切りを明らかにし、また、AR ゲームで世界を席巻する Niantic も、AR からのメタバースへのアプローチに鼻息が荒いです。

もう一つ興味深いのは、メタバースの中で生活が完結できるかもしれないという世界観。これまでも、ネットを通じて誰とも会わずに仕事をしたり、金を稼いだりすることはできましたが、YouTuber にせよ、TikToker にせよ、基本的には得られる報酬の原資は広告収入やコマース売上に基づくものでした。Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)できるメタバースが出てきたことで、経済市場から疎遠な地域(例えば発展途上地域など)でも、ゲームしながらお金を稼げる仕組みが出てきたことは、興味深い経済スキームです。

Fold AR が開発中の現実世界メタバース
Image credit: Fold
  • Niantic が目指すのは、VR(仮想現実)ではなくあくまで AR(拡張現実)。つまり、完全にリアルじゃない場所ではなくて、リアルにバーチャルをオーバーラップさせることで強みを見せる戦略です。ポケモン GO につづき、10月にはピクミン ブルームが日本上陸したのもご存知の通りです。Niantic が目指すリアルのメタバースの全体像はまだ明らかになっていませんが、「Lightship AR Developer Kit(ARDK)」の配布を通じて、サードパーティーにも AR メタバースへの参入を促すようです。
  • ビットコインで報酬やキャッシュバックが得られ、VISA 加盟店で決済に使えるカードとアプリを提供する Fold は、Niantic と共同で「Fold AR」を開発しました。このアプリを使えば、AR でゲームを楽しむ中でビットコインを集めることができます。かつて、ポケモン GO が普及したことで、出不精だった人々が出かけるようになり健康が改善するという副次的効果も報じられました。Miles の日本上陸などと相まって、街を健康的に出歩く理由を人々に与えてくれるかもしれません。
  • いろいろな観点で、世界のそれ以外の地域とは異なるインターネットエコシステムを持つ中国ですが、今年に入りビットコインマイニングが禁止されました。Fold AR を使ったビットコイン集めは、まさにリアルのビットコインマイニングと言えるわけですが、果たしてどうなっていくのか、中国のメタバースのゆくえにも興味津々です。今週に入り、仮想通貨で収入が得られる機能とメタバースを掛け合わせたサッカーゲームを開発する MetaSoccer が、200万ユーロ(約2.6億円)を調達しています。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

シリーズ F で124億円を調達したアストロスケールのスペースデブリ除去衛星「ELSA-d」
Image credit: Astroscale Holdings

和歌山発・電動ハイブリッドバイク開発のglafit、シリーズBで10億円を調達(11月24日)

  • glafit(グラフィット)は24日、シリーズ B ラウンドで10億円を調達したことを明らかにした。このラウンドはスパークス・グループがリードインベスターを務め、三菱 UFJ キャピタル、南都キャピタルパートナーズ、みずほキャピタル、りそなキャピタル、池田泉州キャピタル、パナソニック(東証:6752)、ヤマハ発動機(東証:7272)、個人投資家として、細野昭雄氏(アイ・オー・データ機器 代表取締役会長)が参加した。

オーディオストック、サブスク音源で世界展開へ——SIGなどから6億7,000万円を調達【日経報道】(11月24日)

  • 24日の日経報道によると、岡山を拠点として、クリエイターによる音源の配信・販売マーケットプレイス「Audiostock」を運営するオーディオストックが、直近のラウンドで6億7,000万円を調達した。このラウンドに参加したのは、Susquehanna International Group(海納国際集団)、セレス(東証:3696)、HBCC Technology Investment(港京共創科技投資)など。

宇宙ゴミを掃除するアストロスケール、シリーズFで124億円を調達——累計調達額は334億円に(11月25日)

  • アストロスケールホールディングスは、シリーズ F ラウンドで約124億円を調達したと明らかにした。このラウンドは、昨年10月に実施したシリーズ E ラウンドに続くものだ。今回ラウンドを受けて、アストロスケールの累計調達額は約334億円に達した。

地銀や信金経由で使える調達支援SaaS「補助金クラウド」運営、自らも補助金・地域金融機関活用で7,500万円を調達(11月25日)

  • Stayway は、補助金と地域金融機関から7,000万円、ベンチャーキャピタルから500万円を調達したことを明らかにした。補助金は、事業再構築補助金採択に基づく地域金融機関(神奈川県)からの融資と、日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンによるもの。なお、具体的な金融機関名やベンチャーキャピタル名は明らかにされていない。

元Paidyのエンジニアら、手数料・利子不要のBNPL「Smartpay」をローンチ——SMBC VCらから資金調達も(11月22日)

スマホ充電器レンタル「ChargeSPOT」運営、59億円を調達——累積調達額は108億円に(11月22日)

  • INFORICH は18日、直近のラウンドで59億円を調達したことを明らかにした。ラウンドステージは不明だが、同社が開示している範囲で4回目の調達となる。本ラウンドでの調達を受けて、INFORICH の累積調達額は108億円に達した。本ラウンドに参加したのは、シンガポールの MRA Investments、物流大手の SBS ホールディングス(東証:2384)、NEXTBLUE、ネクストユニコーン第2号(GP、LP は不明)、P&E ディレクションズなど。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

Avocado Guild のメタバース(イラスト)
Image credit: Avocado Guild

上海の検察院が仮想通貨詐欺を警告、デジタル人民元で初のマネロン事件など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(11月26日)

  • 上海市松江区の検察院は、2021年に起きた偽通貨事件の報告をもとに、犯罪者が伝統的な通貨に比べて偽の仮想通貨を使う傾向が高まっていることを確認したと発表した。
  • 中国北部の内モンゴル自治区は、包頭市の警察の報告に基づいて、初のデジタル人民元のマネーロンダリング事件を報告した。

韓国Startup Alliance、12月2日に日本向けデモデイをオンライン開催へ——新進気鋭の韓国スタートアップ9社が登壇(11月25日)

  • Startup Alliance(스타트업 얼라이언스)は、年に一度の頻度で、日本市場への進出を希望する韓国スタートアップを複数招き、東京各所のスタートアップハブでピッチするデモデイイベントを開催。オンラインデモデイは、12月2日の朝10時から正午(日本時間・韓国時間共通)、Zoom ウェビナーで配信される予定。日本語⇄韓国語の逐次通訳が提供される。なお、視聴参加にはこのフォームから事前登録が必要だ。

Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)のAvocado Guild、Animoca Brandsらから1,800万米ドル調達——時価総額は2億米ドルに

  • Play-to-Earn(P2E)企業の Avocado Guild は、Animoca Brands がリードしたシリーズ A ラウンドで1,800万米ドルを調達し、時価総額が2億米ドルに達したと CoinDesk が報じた。このラウンドには、Three Arrows Capital、Golden Tree Management、Solana、Hashed、Binance Capital Management も参加した。

おとり物件無しのオフィス不動産ポータル「R・SQUARE」が82億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月24日)

  • プロップテックスタートアップ R Square(알스퀘어)が850億ウォン(約82億円)を調達。国内最大規模の商業用不動産プラットフォームとしてのポジションを確立。調達した資金を使って、プロップテックの高度化と東南アジア進出拡大に注力。

中国発のコーディングプラットフォーム「Box.Game」、青少年向けメタバース開発で500万米ドルを調達(11月24日)

  • 中国を拠点とする青少年向けコーディングプラットフォーム「Box.Game」は、エンジェルラウンドを500万米ドルの調達でクローズした。同社は、青少年ユーザが創作、プレイ、交流できる 3D 仮想世界の構築に向けて取り組んでいる。

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