Mirrativの新境地「ライブゲーミング」が月商1億円のヒットにーー配信者が稼げる国産スマホメタバースは拡大フェーズへ

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ニュースサマリ:スマホゲーム配信「Mirrativ」を提供するミラティブは1月13日、ゲームとライブ配信を融合させた「ライブゲーミング」関連売上が月間1億円を突破したことを公表している。同社が開発・配信するライブゲーミングタイトル「エモモバトルドロップ」はイベント開催期間中の9日間で売上が5,000万円を記録しており、同社ではこれを機会にライブゲーミングに大幅投資を実施し、規模拡大を狙う。

具体的にはミラティブと共同で新ゲーム開発を担う開発パートナーの募集や、リリース済みのタイトルをライブゲーミングに対応させるゲーム運営会社の募集、これに関連する人材の強化を実施する。

話題のポイント:ミラティブが長いトンネルを抜け、大きく爆発しているようです。ライブゲーミングはこれまでのゲーム実況と少し異なり、視聴者側も一緒にゲームに参加できる体験を提供するものになります。

ミラティブでは通常、他社のゲーム会社が開発したタイトルを配信者がプレイし、その実況に視聴者がコメントで参加する、というものが一般的な使い方でした。しかし、ある時、一部のユーザーがゲーム中(テーブルゲームのようなもの)に視聴者を巻き込んだ遊び方をしていることに気づいたそうです。これが2017年から18年頃の話です。

同社代表取締役の赤川隼一さんは今後、ゲームとゲーム実況がさらに融合する世界が確実にやってくると確信し、Mirrativのアバター機能「エモモ」をタイトルにしたミニゲームに着手します。今回、月商5,000万円を記録したエモモバトルドロップはその内のひとつです。

2021年2月から毎月期間限定でリリースされているアクションレース型のライブゲームで、配信者は視聴者と4人チームを組んで他のチームと対戦するバトルロワイヤルのタイトルです。一緒に遊んでいる視聴者以外の視聴者もゲーム内で使えるアイテムをギフトとして贈れるので、「このアイテムで生き残ってくれ!!」という一体感が持てる、というワケです。胸熱。

そしてこの一体感がヒットし、2021年12月1日から9日に開催された「Season10」では単体ゲームとして約5,000万円の売上をあげるタイトルに成長しました。開発チームは10人以下ということで、「一本開発するのに数十億円規模に膨れ上がった現在のスマホゲームタイトルとは異なる成功」(赤川さん)とお話されていました。しかも、この売上はMirrativの収益化の仕組みを使うので、一部は配信者に還元されています。

海外ではAxie InfinityなどNFTを活用したタイトルがゲームプレイで稼げる「Play to earn」を掲げて大きく躍進しています。ライブゲーミングにはアイテムトレードなどの要素はないものの、配信者と視聴者が一緒に遊んで、プレーアーにも還元される、そんなMirrativ独自のエコシステムがこのライブゲームで出来つつあるのです。

ミラティブはずっと昔からメタバースでした。

「そこには、きっと、それぞれがなりたい自分を表現して、お互いの好きなことをきっかけにわかりあえるような、現実とは違う世界=「サードプレイス」が広がっていくと信じています。そして、そのサードプレイス、居場所の存在が、それぞれの現実の世界にも前向きな力を与えると信じています」(2018年のリリースに掲載された赤川氏コメントより)。

赤川さんはディー・エヌ・エー時代にモバゲーのヒットを直近で見ていた張本人です。当時を振り返り、この1タイトルで5,000万円を超えたあたりから大きく波がやってきた、と語っていました。ここから大きくなったと。

赤川さんたちがやっていることはずっと前から変わっていません。ただ、こういう話はいつ波がやってくるのかわからないものです。波が来てからでは遅い、だから沖に出ておく。ミラティブは現在のメタバースの「波」を掴む、その最前線にポジションしたと言えるかもしれません。

さて、今後ですが、ライブゲームのタイトルを拡充するため、二つの戦略を取るようです。ひとつはエモモシリーズにあるようなオリジナルを自社で見本のように開発しつつ、協力会社と新タイトルをリリースすること。もうひとつは既存タイトルの「ライブゲーム化」です。

エモモバトルドロップは一緒に対戦できる、ライブゲーム体験が「深く組み込まれた」ネイティブタイトルと言えるでしょう。一方、既存タイトルでも例えばFPS(一人称のシューティングゲーム)で「もうヤバい無理!」となった瞬間、弾薬のギフトを贈ってもらえる、そんな「ギフトを組み込む」体験は比較的ハードル低く実現できるようです。

このグラデーションの中、昨年来タイアップしてきた75社のゲームタイトルと連携し、ライブゲームのエコシステムを拡大させていくとされていました。

なお、赤川さんには19日から開催するBRIDGE Tokyoにも急遽、ライブ出演していただくことになりました。ライブゲーミングのもう少し詳しいお話、特にスマホメタバースとPlay to earnの文脈はぜひお聞きしたいと思っております。

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