Baidu(百度)、「ERNIE Bot」の推論コストをローンチ1ヶ月で1割に圧縮成功——中国のジェネレーティブAIは価格競争の時代へ

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Baidu(百度)の「Ernie Bot(文心一言)」記者会見で説明をする Robin Li(李彦宏)氏
Source: Baidu(百度)の公開動画から

中国の検索大手 Baidu(百度)は25日、ChatGPT に対抗する「ERNIE Bot(文心一言)」がリリースからわずか1ヶ月で推論効率の10倍向上を達成し、大規模言語モデル(LLM)の推論コストを10分の1に抑えたと発表した。LLM を実行するプロセスを指す推論は、そのほとんどが GPU で行われる。

重要視すべき理由:低価格の AI 製品を提供しようとしているのは、Baidu だけではない。Tencent(騰訊)や Alibaba(阿里巴巴)といった中国の他のテック大手は、最近、この分野の効率化により低価格の AI 製品を導入すると発表している。

詳細:この進展により、より多くの中小企業がテック企業のクラウドサービスを通じて、低価格で大規模モデル技術にアクセスできるようになる。一方、効率化により、テック企業は低コストでクラウド市場のシェアを獲得することができる。

  • Baidu は、3つのサービスを通じて、大規模モデルを展開する企業の敷居を「大幅に下げる」ことを計画していると、同社は26日 TechNode(動点科技)に送った声明で述べている。これらのサービスには、ERNIE Bot の推論機能を直接利用すること、高品質で正確なビジネスデータを介して業界固有の大規模モデルをトレーニングすること、より安定的かつ効率的な運用のために Baidu のクラウドサービス内でモデルを公開することが含まれる。
  • E コマース大手の Alibaba も、新たに公開されたモデル「Tongyi Qianwen(通義千問)」からの収益向上を目指しており、運輸、石油化学、通信業界をカバーする顧客向けに AI 共同開発プログラムを開始することを26日に発表している。
  • また同日、Alibaba のクラウド部門は、中国のクラウドコンピューティング市場が拡大する中、最大の値下げを発表した。主力製品の価格を15%から50%引き下げるという。
  • 同じく中国のテック大手 Tencent(騰訊)は、デジタル人力生産プラットフォームを展開し、24時間以内に生産コストを数百万人民元から数千人民元まで(数千万円から数万円まで)削減できるとしている。

背景:OpenAI の ChatGPT が世界的に人気を博して以来、多くの中国のテック企業が大規模モデルに基づくジェネレーティブ AI の分野に参入する意向を表明している。しかし、そのようなモデルのトレーニングにはかなりの費用がかかる。国有金融サービス会社 Guosheng Securities(国盛証券)の報告によると、GPT-3 のトレーニングには1回あたり約140万米ドルかかり、より大きな LLM をトレーニングする場合は200万米ドル以上必要だ。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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