ジェネレーティブ AI が主流になるにつれ、業界大手はビジネス課題の解決に AI を最大限に活用しようと考えている。その一例でとして、ERP のリーダー SAP は、Microsoft の AI Copilot と Azure OpenAI Service を連携して、顧客の人材管理を効率化するという最新の動きを見せている。

SAP の説明によると、このコラボレーションにより自然言語を分析・生成する大規模言語モデル（LLM）で SuccessFactors のアプリケーション群を強化し、組織が人材を惹きつけ、維持し、スキルアップする方法を改善するための新しい AI 主導の体験を可能にする。

これは、データ管理大手の Informatica が Claire GPT を、Salesforce が Slack GPT と Tableau GPT を発表し、それぞれ異なるユースケースをターゲットにジェネレーティブ AI に賭けた1週間後のことだ。

Microsoft の AI の賢さは、具体的にどのように SAP を助けるのか

2001年にローンチした SAP の SuccessFactors スイートは、コア人事や給与計算、タレントマネジメント、人事分析、人員計画、従業員経験管理などの機能をサポートするクラウドベースの人的資本管理アプリケーションを含んでいる。

タレントマネジメントを容易にするソリューションもあるが、それでも、職務記述書の作成、市場やスキルニーズの変化への対応、既存社員の将来への準備のための適切なプログラムの提供など、プロセスの一部は手作業のままだ。

SAPは、SuccessFactors と Microsoft AI Copilot および Azure Open AI サービスとの連携により、顧客のこうした課題に終止符を打つことを目指している。

例えば、OpenAI サービス API（GPT-4 を含む）と SuccessFactors 採用ソリューションのデータを使用して、チームは簡単な自然言語プロンプトにより、高度なターゲットと市場に関連した仕事内容を生成できるようになる。その後、Microsoft 365との統合により、Copilot を Word で実行し、これらの職務経歴書を微調整して公開することができる。

また、Azure OpenAI API は、Microsoft Teams 内で面接官にプロンプトを提供し、候補者の履歴書、職務内容、類似の仕事に基づいた質問を提案すると SAP は述べる。

一方、よりスマートなキャリア開発を支援するため、SAP SuccessFactorsの提供するサービスは、Microsoft Viva Learningでループする。これにより、従業員は Viva Learning でCopilot を使用し、データと SAP SuccessFactors のコースに基づいて、キャリアと開発目標に沿ったパーソナライズされた学習提案を受けることが可能だ。コースが完了すると、SuccessFactors のポートフォリオが自動的に更新され、リーダーは組織内の現在のスキル状況を垣間見ることができるようになる。

SAP の CEO 兼執行役員 Christian Klein 氏は次のように述べた。

SAP は以前から AI を当社のソリューションに組み込んできましたが、ジェネレーティブ AI が我々の業界とお客様に展開する機会について、非常に期待しています。本日の発表は、50年にわたり世界中の企業に信頼されるイノベーションを積み重ねてきた私たちが、ジェネレーティブ AI の力をビジネスにもたらす方法の一例です。

AI レースが始まる

SAP とのパートナーシップは、Microsoft が AI Copilot と Azure OpenAI Service の採用を促進するための最新のものだ。つい先日、同社は Aisera との提携を発表し、これらのツールで企業のサービス体験を変革すると発表した。Google がこの分野で動きを見せているように、ここでの最終目標は、これらのAI機能をできるだけ広く利用できるようにすることだ。

Goldman Sachs Research によると、ジェネレーティブ AI ソフトウェアの総アドレス可能市場（TAM）は1,500億米ドルと推定されている。そして、これらのツールが企業や社会全般に浸透することで、10年間で世界のGDPを7％（約7兆米ドル）増加させ、生産性を1.5％ポイント引き上げることができるという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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