編集会議のアイデアをペルソナAIが評価「KABEUCHI AI」: #出版ハックデイ /Hogetic Lab

Hogetic Labの取締役COO、白石裕人氏

Creators × Publishingは「テクノロジーから見える編集のミライ」をテーマにした勉強会をお送りします。雑誌の定期購読サービスを展開する富士山マガジンサービスと連携し、旬のテクノロジーと雑誌社を組み合わせた話題を提供いたします。本稿は9月1日に開催した出版ハックデイのレポートの一部。

出版ハックデイ、最初の登壇者はHogetic Labの取締役COO、白石裕人氏だ。同社はディー・エヌ・エー(DeNA)などソーシャルゲーム出身のエンジニアが中心になって2020年に設立されたデータ分析を得意とするスタートアップだ。データプラットフォーム「Collectro」では自社データやSNSなどのデータを自動収集し、自社環境に合わせて活用できるようにしてくれる。今回の出版ハックデイでは彼らが得意とするデータ収集・分析の力を使って出版編集部の「壁打ちAI」を提案してくれた。

「みなさんは編集会議で『最近のスイーツのトレンドは?』とか『来月の対談で誰と話すのか』など、さまざまなテーマで次の話題を探していると思います。情報収集し、その情報からアイディアを発掘し、最後にそれを企画に反映させる、という流れです。特に、情報収集は予想以上に手間がかかると考えています。なぜなら、情報が非常に多く、整理する作業が大変だからです」(白石さん)。

白石氏は「約70億人がSNSやYouTubeを通じてメディアを持ちうる」超複雑な情報化社会になっていると指摘し、こういった状況下における情報は有名人や出版社など、影響力の大きなインフルエンサーに紐づいた構造になっていると解説する。趣味や情報が世代やエリアなどでクラスター化する中、これを的確に見つけ出すことができれば、出版社の企画会議は随分と楽になる。

KABEUCHI AIで壁打ちした編集企画を自動生成したペルソナAIが評価してくれる、というアイデア

白石氏が提案した「KABEUCHI AI」は、読者のペルソナを生成型AIで作り出し、話題のアイデアが本当に「刺さるのか」評価してくれる。ベースになるのはHogetic Labが強みとするデータ収集技術だ。彼らはソーシャルメディアや出版社の持つオリジナルのデータによって訓練したAIを用いることで、意見を聞きたい読者のペルソナイメージをリアリティあふれる形で多様に生成することができるという。

「操作は非常にシンプルです。ChatGPTと同様に最近流行っている旅行先や、最近話題になっているホテル、注目されているアクティビティなどについて尋ねると、勝手に裏側で情報収集し、さらにペルソナに沿った形で答えてもらえます」(白石さん)。

例えば企画会議で検討した旅行企画案を「KABEUCHI AI」に打ち込むと、生成された旅行好きの女性ペルソナは5点満点中4点と評価し、別のペルソナは3点と評価するなど、想定する読者イメージに合わせて企画のヒット予想をしてくれる。

白石氏は、このペルソナAIを活用して企画会議の壁打ち相手を作ったが、応用することで自動でコンテンツを作り出したりすることもできるとした。

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