
Image credit: Turn Capital(龍丞資本)
ストリーミング・エンターテインメント・プラットフォーム「17LIVE(17直播) 」は2日、SPAC(特別目的買収会社)を通じて VTAC(Vertical Technology Acquisition Corporation Pte Ltd)と合併しシンガポールで上場すると発表した。時価総額は、9億9,910万〜11億6,190万シンガポールドル(およそ1,080〜1,260億円)の範囲になるとみられる。
合併には、シンガポール証券取引所と VTAC の特別株主総会での承認が必要で、2023年末までに完了する予定だ。
17LIVE はどんな会社か? その収益性は?
17LIVE は常にライブストリーミング技術を中心に据えており、現在アジア最大のライブ・インタラクティブ・エンターテイメント・プラットフォームである。世界133カ国で利用可能で、5,000万人以上の会員と87,000人のライバーを擁し、多くのトラフィックを持つことから、才能のある素人がインターネット上のスターになることができる。
2022年の業績を見ると、17LIVE の総売上高は約3億6,370万米ドルで、EBITDA(利息・税金・減価償却前利益)は1,580万米ドルとなっている。また、市場調査会社 Frost & Sullivan のデータによると、17LIVE の日本での売上が約20.8%、台湾での売上が26.9%を占め、残りは香港、シンガポール、アメリカ、フィリピン、インド、マレーシアなどだ。
17LIVE が提供する情報によると、2023年度上半期の月間アクティブユーザ数は約550万人、ユーザの1日平均閲覧時間は約93分、ユーザの17LIVE での月間平均利用率は16.1%となっている。
今後、17LIVE はライブストリーミング技術を中核事業とし、「バーチャルライバー(V-Liver)の採用拡大」、「ライブストリーミング中のインタラクティブゲームの開発」、「ライブストリーミング e コマースの構築」の3つの大きな方向に向かっていくと確認している。
17LIVE の会長兼共同創業者でシンガポールの起業家 Joseph Phua(潘杰賢)氏は、今回の上場のニュースについて、次のようにコメントしている。
技術ドリブンのライブストリーミング企業として、17LIVE は研究開発能力を強化し、コンテンツとデータのセキュリティを確保するための製品を効果的に革新するための拡張性のある技術を蓄積するために多額の投資を行ってきた。
ライブストリーミングのエコシステムを作るというビジョンの下、いつでもどこでもより良い接続を可能にしながら、コアコンピテンシーを磨き続けてきた。
現在、VTAC の強力な技術的専門知識により、このビジョンが実現する可能性が高まっている。イノベーションのリーディングブランドとして、このパートナーシップは当社のリーダーとしての地位を強化するものだ。
シンガポールを選んだ理由は? Phua 氏は、次のように答えた。
シンガポール証券取引所への上場により、17LIVE は東南アジア、そしてグローバルに事業を拡大することができる。これは投資家にとってユニークでエキサイティングな投資機会だと考えている。
また、シンガポール政府、さまざまな国営企業、資本環境とイノベーションへの投資が、シンガポールが新しいアイデアのインキュベーションのメッカである主な理由であると付け加えた。
Joseph Phua 氏が設立した Turn Capital(龍丞資本)は、2021年の設立以来、積極的に台湾に資本を注入し、台湾スタートアップの海外進出を支援してきた。Turn Capital は3日、最新の目標を発表し、今後18ヶ月間でアジアのテクノロジースタートアップに15億ニュー台湾ドル(約69.5億円)を投資することを明らかにした。
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Turn Capital 出資先の最近の動向を見ると、ポッドキャストプラットフォームを展開する SoundOn Group(声浪集団)は、韓国やアメリカなどの海外市場に積極的に攻勢をかけ、韓国オフィスを正式に設立し、9月には TikTok のシニアエグゼクティブだった Christine Kim 氏を韓国市場 GM に任命した。
Phua 氏は17LIVE の個人筆頭株主兼会長であり、日本や東南アジア市場への進出に成功している。昨年設立した「Nextapple News(壹蘋新聞網)」は今年シンガポールに支店を開設した。仮想通貨取引所「Coinomi」と暗号資産投資プラットフォーム「OMO Finance」はいずれもインドネシア市場に積極的に進出している。
一方、17LIVE が提携する SPAC 運営会社 VTAC の CEO Jiang Hong Hui(姜泓匯)氏は次のようにコメントしている。
17LIVE は中核のライブストリーミング事業と、2020年から黒字を計上している新事業の V-Liver 事業で強い成長性を示している。17LIVEは前向きな企業だと考えている。我々は、17LIVE を、ダイナミックなエコシステムの発展に貢献する専門知識とビジョンを持った強力な経営陣に支えられた、転換期にある企業と見ている。
SPAC 合併が完了すると、VTAC は 17LIVE Group Limited に社名変更される。取引コードは未定だ。
<17LIVE のこれまでの軌跡(主要なもののみ抜粋。全てを見るにはこちらから。)>
- 17LIVEが新Vライバー「武士来舞(BUSHILIVE)」発表 #IVS2023 ーー拡大するVTuber市場で独自ポジション狙う #IVSPRWeek
- 台湾発のライブ配信アプリ「17 Live(17直播)」運営、IPO中止から1年経過を前に売上70%増と黒字化を発表
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- 台湾発、中華圏随一を誇るライブ配信アプリ「17 Live(17直播)」が日本市場に上陸
【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup
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