台湾発のライブ配信アプリ「17 Live(17直播)」運営、IPO中止から1年経過を前に売上70%増と黒字化を発表

SHARE:

Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


デートアプリ Paktor の親会社で、シンガポールと台湾を拠点とするソーシャルメディアスタートアップ M17 Entertainment Group は、過去12か月で70%の売り上げ増加を達成し、今年度は現在までのところ黒字になっている。

CEO の Joseph Phua(潘杰賢)氏によると、M17 の今年の年間ベースの収益と、「ライブコマースとソーシャルコマース」ビジネスの年間ベースの流通総額(GMV)はともに3億2,300万米ドルに達する見込みとのことである。これらの年間ベースの数値の算出方法は明かされていない。

同氏が Tech in Asia に語ったところによると、純収入の予測値は、ライブストリーミング、デーティング、広告など M17 のエンターテインメント分野に関連するもので、その収入はサブスクリプションやスポンサー契約、バーチャルギフティングから来ているという。

M17-CEO-Joseph-Phua.jpeg
新サービス「HandsUp」を公式ローンチした M17 CEO の Joseph Phua(潘杰賢)氏
Photo credit: M17 Entertainment

GMV の数値はそれとは異なり、M17 のサービス部門からのものである。GMV の数値には、同社の e コマースプラットフォーム上の取引や、ソーシャルインフルエンサーネットワークとともに開発した化粧品とファッション製品のほか、インフルエンサーが自分の製品を販売できるインフルエンサー向け販売ビジネスも含まれている。こうしたサービスの収益は、サブスクリプションや GMV の取り分、売り上げマージンなどから来ている。ただし、これらの要素は M17 全体の収益予測計算には含まれていないと Phua 氏は明言した。

同社は「コンテンツ投資」と呼ばれる第三のビジネス部門の明確な数値は明らかにしていない。

Phua 氏によると、M17 の最新の年間ベースおよび四半期ベースの損益と収益は「現在公開していない」という。

これらの予測値が発表される1年前、M17 はニューヨーク証券取引所への上場申請を取り下げている。同社は当初、IPO による調達額を1億1,500万米ドルとしていたが、その後、機関投資家向け会社説明会でこれを6,010万米ドルに引き下げる発表をしていた。

IPO は株式取引開始予定日に中止されたM17 によると、「特定の IPO 投資家による米国預託株式の譲渡に関連する問題」によって、株式公開は無期限で延期されたという。

同社はその後、Convergence や Global Grand Capital、Infinity Venture Partners、Majuven など、既存および新規の投資家からプライベートファンドで3,500万米ドルを調達した。さらに、昨年12月にはシンガポールの政府系ファンド Temasek の子会社である Pavilion Capital などの投資家から2,500万米ドルを調達している

Phua 氏が Tech in Asia に語ったところによると、より多くのリソースを事業部門と様々な地域に投入して投資収益を上げたこと、および多額の利益を達成した部門の「輝かしい功績」によって、M17 の財務改善が達成されたという。

同氏は次のように付け加えている。

弊社は主要な市場における投資フェーズを完了しました。ここからは、収益ベースで50%以上の市場シェアを得ている日本や台湾などにおける市場のリーダーシップの立場を活用して収益を上げていきます。

さらに、新たな「B2B のライブコマースとソーシャルコマース」のサービスである「HandsUp(挙手購物)」の公式ローンチの一環として最新の予測を発表した。

HandsUp では、動画のライブ配信やオンラインコミュニティなど、複数のソーシャルメディアチャネルから販売会社がリアルタイムで製品を販売することができる。HandsUp は、Taobao(淘宝)だけでなく Lazada も参入して競争が過熱しているライブ動画による e コマースのトレンドに乗じるものである。

HandsUp に使われている技術は、2018年後半に M17 が買収した台湾のスタートアップ Migo(熱鬧点科技)によるものである。同社サービスビジネスの成長の大半は Migo の買収後から始まっていることから、M17 の売り上げ増加の少なくとも一部と、年間予測は Migo の獲得に直接起因するものであると Phua 氏は語っている。

業績に関する前向きな数値が出たことで、改めて行われる IPO 申請の見通しについては、M17 は「常にさまざまなコーポレートアクションを視野に入れているが、すぐに実行する計画や明確な計画は今のところない」としている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する