創業期の起業家向けピッチステージ「Monthly Pitch」は11月14日に76回目となるイベントを開催しました。これまでに登壇した企業は570社で、今回は6社が新たにステージに登壇しています。会場とオンラインに集った投資家に向け、起業家たちはサービスのプレゼンテーションを披露しました。
本来は投資家と起業家のみの招待制・非公開イベントですが、本誌BRIDGEではメディアパートナーとして参加しております。本稿では登壇したスタートアップの内、公開できる6社の情報をお届けいたします(一部のピッチ内容は非公開となっています)。
(執筆協力:園田遼弥)
職場診断で女性採用を促進する「Waveleap」 by bgrass

bgrassはIT業界のジェンダーギャップを解消するマッチングサービス「Waveleap」を開発しています。急速に技術が進化するIT業界ですが、ジェンダーギャップは非常に深刻です。女性比率は約20%、管理職比率は約6%以下といわれています。多くの企業は女性に向けて、働きやすさや活躍しやすさを十分にアピールしきれていません。
「Waveleap」は登録企業に対して、独自の職場診断を実施し、女性求職者に働きやすさをアピールします。また、「Waveleap」を活用した採用活動自体が、ダイバーシティを推進している証明になります。さらに女性の離職率低下や女性社員のロールモデルが増加し、次の女性採用につながっていく効果もあるそうです。
競合優位性として、意識の高い女性エンジニアが集まるコミュニティを運営しているところが挙げられます。今後は蓄積したデータを活用し、DI分析や組織改善も提供できるSaaSプラットフォームに成長していく展望です。
海外企業との決済や債権管理を一元管理する「RemitAid」 by RemitAid

国内市場が縮小傾向にあるなか、企業が成長する手段のひとつが外貨獲得です。しかし、海外企業との取引においては、決済手段が多様化していることもあり、入金確認や債権管理がしにくい課題があります。
「RemidAid」は決済手段や通貨を問わずに、決済や債権を一元管理できるサービスです。日本のサプライヤーが支払い情報を入力すると、リンクやQRコードが発行されます。それらを海外バイヤーに送り、決済情報を入力してもらうことで決済や債権管理を効率化します。
ユーザーからは「決済業務が圧倒的に簡易化された」「決済を実行してもらうまでのスピードが速まった」などの声が届いているそうです。現在のデジタル・クレカ決済に加え、今後は銀行振込にも対応し、支払期日に対して決済がなされているかどうかも一元管理していくといいます。
従業員の作業時間をリアルタイムで共有・分析する「TimeCrowd」 by タイムクラウド

タイムクラウドは行動履歴を自動集約する業務管理ツール「TimeCrowd」を展開しています。企業は従業員の業務管理について、大きく2つの課題を抱えています。1つ目は、働き方改革で残業が規制されるなか、いかにメンバーの生産性を向上するか。2つ目は、リモートワークでチームメンバーが何をしているのか見えにくくなったことです。
「TimeCrowd」はさまざまなクラウドツールと連携し、誰が何の作業をどれぐらいの時間したのかをリアルタイムで自動収集、共有できるツールです。また、蓄積したデータを分析することで、一顧客に対して何のアクションをした結果、どれぐらいの人件費がかかったのかも可視化します。
工数管理ツールでは競合も多く存在しますが、「TimeCrowd」はあくまで時間管理にこだわります。むしろ他社の工数管理ツールと連携して機能拡充に貢献するなど、独自のポジショニングを築いていく展望です。
3Dプリンター活用のマウスピース型歯科矯正サービス「DPEARL」 by Philduct

東京医科歯科大学認定ベンチャーのPhilductは、歯科技工DXを推進してオーラルヘルス領域を革新することを目指します。まず、第1弾のサービスとして3Dプリンターを活用したマウスピース型歯科矯正サービス「DPEARL」を提供中です。
歯の80歳の残存指数はスウェーデンが平均25本である一方、日本は8.8本です。また、人口の約50%以上が歯並びの改善が必要にもかかわらず治療できていない状態だといいます。原因は治療が高額かつ長期間にわたり、医師によってクオリティのばらつきもあるためです。
「DPEARL」の特徴は、歯科矯正の価格が従来の2分の1になることや、通院だけではなくアプリでのサポートも提供できることなどです。顧客の7割は品質や価格に強いこだわりを持つ20代から40代の女性だといいます。今後は蓄積したデータを活用し、オーラルヘルス領域における新たな課題解決に取り組む展望です。
CRM運用支援で店舗のマーケティングを自動化する「Grooby」 by GoMA

東工大発ベンチャーのGoMAは、人材やコンサル、プロダクト開発などの領域で、幅広く事業を展開しています。今回のピッチでは、CRMの運用・支援を行うSaaS「Grooby」を紹介しました。「Grooby」は企業が既存のCRMに蓄積してきたデータを活用し、マーケティングを自動化します。
たとえば、LINEをインターフェースとした電子クーポンやスタンプカードを、年齢や性別、店舗ごとの会員ランクなどでセグメント配信することで、店舗の来客数やLTV向上を狙います。また、コンバージョン率をはじめとするアクティブユーザーの行動データを分析し、施策改善に活用可能です。
現在は店舗を保有する企業に向けてサービスを提供していますが、今後はECサイトで商品を販売する企業にも提供していくそうです。運用の簡単さやカスタマイズ性能を向上することで、リアルタイム経営を促進し、競合との差別化を図っていくといいます。
安価で柔軟にクライアント社内にコンサル人材を育成し事業課題を解決する「Experty」 by Qolony

Qolonyは社内外人材DBを活用したコンサルティングサービスに加え、クライアントの内部人材育成をチームでサポートするサービス「Experty」を展開しています。人口減少が加速するなか、日本企業は社外人材の活用やリスキリングなどに取り組みますが、短期間でコストに見合う成果を得られる企業は少ないそうです。
「Experty」は社外人材のデータベースを元にクライアント社内にコンサルタントを育成することで、現場が自走する仕組みを確立します。コンサルティングファームに依頼するよりも、安価かつ柔軟、スピーディーに課題解決が進むため、クライアントの約8割がリピートするそうです。
従来のスポットコンサルとの比較優位性は、社内にコンサルの能力を持つ人材が育つところにあります。今後はデータベースに登録した人材をスコアリングし、企業とのマッチング性能を高めることで、サービスの自動化を進めていく展望です。
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