キャンセル料の請求・回収業務DXのPayn、1.4億円をプレシリーズA調達——「また来てもらえる」機能追加へ

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Image credit: Payn

ホテルやレストランのキャンセル料請求の業務をデジタル化するサービス「Payn(ペイン)」を提供する Payn は8日、プレシリーズ A ラウンドで1.4億円を調達したと発表した。このラウンドはジェネシア・ベンチャーズがリードし、Gazelle Capital 、GxPartners、SMBC ベンチャーキャピタル、山口キャピタル、ヨシックスキャピタル(「や台ずし」を運営するヨシックスホールディングスの CVC)が参加した。

これは、Payn にとって2022年10月に実施したシードラウンドに続くものだ。累積調達額は2.3億円に達した。ジェネシア・ベンチャーズと Gazelle Capital は、以前のラウンドに続くフォローオンでの参加。調達資金は機能開発などに充て、サービスの飛躍を図る方針だ。ホテルやレストランを中心に導入店舗数を着実に伸ばしており、今後さらに加速させる。

Payn は、以前、宿泊権利売買「Cansell」を創業・運営していた連続起業家の山下恭平氏によるスタートアップ。2022年10月に Payn をローンチするに至った経緯については、山下氏が以前のインタビューで語ってくれている。このサービスは主に、ホテルやレストラン業界での無断キャンセル(ノーショー)、キャンセル料を請求するための業務負荷、未払い問題などの解決を念頭に置いたものだ。

ローンチから1年半、数ヶ月に一度のペースで、大手ホテルやレストランチェーン、宿泊施設にサイトコントローラーと連携や協業を図るなど、顧客や顧客獲得のためのチャネルは大きく拡大した。山下氏によれば。プロダクト開発の考え方もローンチ当初から変化してきているという。

当初は単なるキャンセル請求の効率化が目的だったが、お客様のところでは、これ(Payn)を使ったら、もっとこういう形でできないかとか、顧客とのよりよい関係構築をするための仕組みとして意識するようになってきた。キャンセル料をいただくのは契約ルールではあるけれど、宿泊施設もそれが目的というより、また都合の許す時に来てほしい、と思っていることがほとんど。(山下氏)

お客によっては、キャンセル料を請求された時に、「決まりなので全然払いますよ」と言う人もいれば、ネガティブに捉える人もいる。今回はキャンセルになってしまったけど、次、また行ってみたいとお客に思ってもらうためにはどうするべきか。今回調達する資金で追加開発されるのは、まさにそうした環境づくりのための機能ということになる。

Payn では先月、予約管理サービス等と連携してシームレスにキャンセル料を請求する仕組みで特許を取得した。この仕組みは、キャンセル料の請求・回収機能を追加できる「Payn Connect」にすでに実装されていて、ユーザ(宿泊施設など)は、PMS(ホテル管理システム)やサイトコントローラーなどと連携してキャンセル料を請求できる。

山下氏によれば、現時点で導入店舗数などの具体的な実績は明らかにしていないものの、PMF を経て、今年は、サービス導入を大きく伸長させる計画だという。事業者にとってキャンセル料請求は避けられない課題である以上、Payn のサービスへの需要は根強いはずだ。Payn では、宿泊以外の事業分野にも積極的に営業展開していくとしている。

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