独自路線を進む開発会社 Vivaldi は9月26日、ブラウザのバージョン2.0をリリースした。機能的なウェブ検索ツールを切望するユーザをターゲットに探求を続ける同社はまた、高いプライバシー保護オプションも提供する。
Vivaldi の設立者 Jon von Tetzchner 氏は Opera の元 CEO で、Opera のブラウザ開発を長年監督してきた。数年前の退社以降、無駄を省いたシンプルなブラウザが、より多くのものを求めるユーザを多数置き去りにするのを見てきた。
これが、2016年の Vivaldi 1.0のローンチにつながった。バージョン1.0では、大量に開いたタブの管理に役立つタブスタックや、タイルを使って複数のページを同時に閲覧できる機能、ページから引用して保存できるノート、サイドバーから閲覧できるウェブパネルなどの機能がある。
以降、Vivaldi は100万回以上ダウンロードされている。Google Chrome が豪語する10億超のユーザに比べれば取るに足らないが、ある意味、そこがポイントだ。焦点を絞ることは、ユーザのコアグループには望ましい。
von Tetzchner 氏は次のように語る。
当社が少しずつ行っているのは、ブラウザを磨き上げることです。どこにもないブラウザの深みを目指しています。
Vivaldi の直面する大きな賭けをよそに、ローンチはこれ以上ないタイミングだった。バージョン1.0が本格展開したころ、公的な場ではプライバシーへの懸念が噴出していた。テクノロジー関連最大手企業の個人情報の収集・処理への疑問が高まってきていたのだ。実際に、その問題は今週(9月第5週)再燃している。Google Chrome の最新版で、ユーザがデフォルトで自動的にログインされると発覚したのだ。
一方、Vivaldi は個人情報を収集せず、コンピュータにユーザを追跡するクッキーも埋め込まない。ユーザを収益化するには魅力的なデータだが、Vivaldi はその道には決して進まない、と von Tetzchner 氏は強調する。ここ1年で Vivaldi は、プライバシーに重点的に取り組む検索エンジン Qwant と DuckDuckGo とも提携した。
そのようなビジネスモデルには加わりたくありません。ユーザを追跡すべきか否かという議論があります。当社ではしませんし、すべきとも思いません。(von Tetzchner 氏)
一方、Vivaldi は、半永久的に継続してアップデートをリリースし改良を行っている。しかし、直近の更新は、公式にバージョン2.0のラベルを付すに値する時だ、とチームは考えた。
重要な変更点は以下の通りだ。
- コンピュータ間でのブラウザの同期:バージョン2.0では、お気に入りやパスワード、オートフィル情報、履歴などのデータを同期できる。Vivaldi は、データの保存に自社サーバを使用するが、エンドツーエンドで全て暗号化されている。
- パネル:拡張できるマルチタスクダッシュボードで、サイドバーに開くこともできる。
- タブ管理:追加機能として、タブ経由でより検索しやすくなるとともに、スタッキングしたり、名前の変更もできる。
- 履歴:統計の生成、履歴を可視化できる機能など、新しい利用履歴の追跡方法を提供する。
現在構築中の機能もたくさんあります。それらは全て気に入っていただけるはずです。(von Tetzchner 氏)
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今後数ヶ月の大きなチャレンジは、モバイル版ブラウザの開発や、e メールサービスの開発などだという。
Vivaldi は現在従業員42人で、主に von Tetzchner 氏の自己資金で運営しているという。収益は提携契約から入る。同社はまだ利益が出ているわけではないが持続可能への道のりにいると、von Tetzchner 氏は楽観的だ。
Vivaldi のような会社を構築するには時間がかかります。外部の投資は受けません。売り物や IPO するためのものを構築しているわけではありません。素晴らしいブラウザを構築して、求めている方々に提供したいのです。私たちが作っている会社は、ユーザ重視の会社なのです。(von Tetzchner 氏)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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