SpaceXライバルOneWeb、目指すのはインターネット網の再構築ーー初の人工衛星発射に成功

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Image Credit : One Web

ピックアップ:OneWeb is about to launch its first internet satellites to connect the unconnected

ニュースサマリー:複数の人工衛星を通して、全世界に低額な高速インターネットの提供を目指す「OneWeb」は27日(現地時間)に同社初となる人工衛星の発射に成功した。OneWebは2012年創業。米国バージニア州に本社を置く。2016年12月にはSoftbank Vision Fundから10億ドルを調達し、約2年をかけて人工衛星の開発・生産を進めてきた。

話題のポイント:OneWebはインターネット普及率拡大に焦点を置いているプロジェクトです。ただ宇宙産業には、この分野以外にも多岐にわたってミッションが立ち並んでいます。

下図は、Mobile World Congressなどを主催するGroupe Spéciale Mobile Associationが公開した宇宙産業を分野ごとに整理したものです。分野は全部で「Communication」「Earth Obervation」「 Navigation/GPS」「Space Observation」「Tech Development」の5つに分解されています。

LEO(Low Earth Orbit)、MEO(Medium Earth Orbit)GEO(Geostationary Orbit)はそれぞれ人工衛星の地球からの距離を表しており、LEOが一番近くGEOが一番遠くなっています。円の中の数字は人工衛星の数で、OneWebや、その競合であるSpaceXなどが分類される「Communication」がが比較的多く人工衛星が打ち上げられるセクターになっています。

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Credit: Groupe Spéciale Mobile Association

では、なぜ人工衛星を通した世界規模のインターネット環境構築が重要視されているのでしょうか。その答えは、私たちが思っている以上にインターネット環境が身近にない国・地域が多いことにありました。

以下も上に同じくGroupe Spéciale Mobile Associationが2017年に発表した、インターネットに繋がっていない人の数を国ごとにあわわしたグラフです。

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Credit: Groupe Spéciale Mobile Association

例えば、インド。同国は人口約13億ですが、そのうち約8億7000万人は充分なインターネット環境が身近にないという統計結果が出ています。つまり、国民の7割はインターネットを自由に使える環境がない、ということになります。

総務省発表の統計によれば2016年時点でインターネット普及率83.5%を誇っていることが分かります。このため日本に住んでいるとインターネットの不便を感じることは少ないかもしれません

Credit: 総務省平成29年度調べ

2020年までには、全世界におけるインターネット普及率は60%に達すると予想されています。しかし、それでも残りの40%、約30億人はインターネットと離れた生活を送ることとなります。

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Credit: Groupe Spéciale Mobile Association

この実情があるからこそ、OneWebやSpaceXの取り組みは大きく期待されているのでしょう。メジャーどころでは今回人工衛星の発射に成功したOneWeb, SpaceX, GoogleのLoon, FacebookのDronesと多岐にわたってプロジェクトが推進されています。ただ、彼らが目指す先には同じゴール「Rebuilding the Internet」があり、全世界にインターネットを届けようとしています。

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Credit: Groupe Spéciale Mobile Association

 

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