米中に次ぐユニコーン大国インドの「Jugaard(ジュガード)精神」に学ぶーーJapan Venture Awards受賞者が注目する「テックトレンド」/KMユナイテッド 竹延氏(リレーインタビュー)

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編集部注:本稿は中小企業基盤整備機構主催のイベント「Japan Venture Awards(JVA)」による寄稿。18回目となる2019年の受賞者が発表されている

前回からの続き。本稿では今回受賞された起業家の方々と協力し、今のテック・スタートアップのトレンドをまとめてみました。受賞者の彼らがどのような視点を持っているのか、今後の事業参考になれば幸いです。

最終回はGlobal Mobility Service代表取締役、社長執行役員・CEOの中島徳至氏からバトンを受け取った、KMユナイテッド 創業者・取締役社長の竹延幸雄氏です。(太字は全て筆者による質問、回答は竹延氏)

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受賞おめでとうございます。最近では建築・建設現場の課題解決を手がけるスタートアップも増えてきました。特に人手不足の問題は大きな課題になっているようです

竹延:高齢化が進む建設業では、若い職人が地域・会社の垣根を越えて、一流の技能を習得し、短期間で成長できる仕掛けが必要なんです。人をいかに育てるか、その育った人をどう活かすか。その結果が、人材不足の解消や技能伝承の仕組みづくりに繋がると考えています。

伝統的な業界で新しい潮流を目指している竹延さんの目に映る注目すべきトレンドは

竹延:デジタル新潮流を支えるインドのスタートアップです。人口13億人を有するインドは巨大市場としての魅力が話題となる一方、ハイテク・AI(人工知能)人材の宝庫としても世界中から熱い視線が注がれています。

中でも「インドのシリコンバレー」と呼ばれる南部の都市・バンガロールでは、マイクロソフトやグーグル、アマゾンといった欧米のトップIT企業をはじめ、中国通信機器大手のファーウェイや、サムスン電子などの韓国企業も開発拠点を設立しています。

インドで1000億円以上の評価額を持つ未公開企業、いわゆるユニコーンは米中に次いで3番目に多いという調査結果もあります

竹延:各社、高いレベルの人材獲得を背景に、最先端テクノロジーの研究・開発を加速しています。エネルギー溢れるバンガロールのスタートアップの現場と、斬新なイノベーションを可能にする同地のエコシステムとは一体どういうものなのか、その秘密を知りたいものです。

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先日も、インド拠点の不動産スタートアップ「OYO」がヤフーと合弁で賃貸住宅事業に参入というニュースがありましたし、100億円キャンペーンで話題になったQR決済サービスもインドのスタートアップが由来になっています。

竹延:電子決済大手のPaytmですね。海外のトップ企業に育てられたインドのIT人材はグローバルに通用する知識と能力を身に付けて多数のスタートアップを生み出す原動力になっています。

Paytmを始め、米ウォルマートに160億ドル(日本円100円換算で1兆6000億円)で買収されたECサイト運営のFlipkartや配車大手のOla Cabsなど、複数のユニコーン企業が輩出されて注目しています。

スタートアップが生まれる要因をどう見られてますか?

竹延:インドには限られた資源のなかで身の回りのものを活用し「斬新な工夫」と機知で新しいモノを創り出す「Jugaard(ジュガード)精神」というものがあります。

元来、起業家マインドが強いと言われるインドの人々です。インフラの未整備、貧困、社会格差や環境汚染など山積する社会問題は、逆に言えばイノベーションの宝庫とも言い換えることができます。

インドという巨大な新興国で生まれたイノベーションは、今後、同様の課題を抱える国々や、先進国にまでも逆流して広がる大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

知見の共有ありがとうございました。

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