日本のウェブデザインはなぜこんなにも世界と違うのか?

ゲストライター by ゲストライター on 2013.11.13

本記事は、ブログ『RANDOMWIRE』の運営者の許可を得て、翻訳しています(元記事)。

静寂が満ちる禅庭園、美しい神社、静穏な寺、洗練された茶道。日本の伝統建築、現代建築、書籍、雑誌は世界中のデザイナーの羨望の的だ。

だが、どうしてか、こうした巧みな技術はデジタルプロダクトには生かされていないようだ。特にそれが顕著なのは、ウェブサイトだ。その多くが、1998年のスタイルから変化していないように見える。

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例1:楽天市場

有名な日本のサイトの多くを見てみると、次のような傾向が見られる。(例えば、 Yahoo Japan楽天ニコニコJR東日本読売新聞…)

  • 隙間なく敷き詰められている文字
  • 小さく、画質の悪い画像
  • 数えきれないほどのカラム
  • 色同士の調和に欠ける派手な色使い、きらきら光るバナー
  • Flashのような、過剰に使用される時代遅れのテクノロジー

美しい俳句、質素なわび・さびとはかけ離れている。なぜこうしたウェブデザインがあふれているのか、以下に私の考える理由を紹介したい。

言語的な違い

文字のデザインー日本で使われている、象形文字がベースの文字には、1つの字の中に多くの意味が含まれている。欧米人からすれば、ごちゃごちゃしていて、まとまりのない文字に見えても、日本人にとっては馴染みがよく、短時間で多くの情報を処理することのできる文字である(中国語についても同様のことが言える)。

文字を強調する手法が限られているー日本語はイタリックや大文字がないため、アルファベットであれば可能であるような、視覚的に強調するための技が限られている。このため、文字の入力方法だけで生み出せるコントラストが限られ、多くのデザイナーは装飾を加えたり、画像テキストを使うことで対応している。

言語の壁:ウェブ用の言語やプログラミング言語は、英語話者や欧米企業によって設計されたものが多い。したがって、多くの文書や教育用リソースは英語で書かれている。翻訳されているものも多いものの、新しいテクノロジーやトレンドが輸入されるまでに時間差が生じてしまう。

文化の違い

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リスクを忌避する文化 – 一般的に、日本社会ではリスクを取ったり、集団から目立つことが好まれない。どのような見た目や振る舞いをすべきかという慣習が一度作られれば、周囲は皆、それに従う。たとえ、他により良い方法があったとしても。日本のサブカルチャーでさえ、自分たちのファッションスタイルやルールに従っている。

消費者行動 – 消費者は物を買うとき、長文で書かれた商品の説明書きや技術仕様を見て、高い安心感を得てからでなければ買う決断をしない。キャッチーな宣伝文句やきれいな画像だけでは簡単に心を動かされないのだ。「より少ないことは、より豊かなこと」という格言は、日本では通用しない。

広告戦略 – ウェブサイトは単なるツールというよりも、多くの日本企業にとっては広告プラットフォームであり、企業のメッセージをできるだけ多くの消費者に届けるための場である。そのため、多くのウェブサイトは詰め込める限りの情報を載せる。インタラクティブなツールというよりも、むしろパンフレットのようなものだ。

都市景観 – 渋谷など、東京の主要スポットを歩いてみてほしい。とにかく多くのネオン広告、騒音の激しいパチンコ店、騒がしいサラリーマンや高校生たちにあふれている。こうした、街の混沌さ、忙しさはウェブにも反映されているように思える。加えて、日本では物理的な空間が限られているため、少しでもスペースがあれば無駄にしない。同じ姿勢は、ウェブサイトのスペースの少なさにも表れている。

職種と仕事環境 – 日本の求人サイトをのぞいてみてほしい。きっと「ウェブマスター」や「ウェブ管理者」といった職種を目にするだろう。こういう職種を見ると、かつて、ひとりのIT担当者がプログラムを手で書いて、サイト全体を運用していた時代を思い出す。日本では、こうした運用方法がいまだ存在するのだ。一方で、クリエイティブな人々はクリエイティビティを発揮するための自由を求めるため、日本の大企業を選ばない傾向にある。彼らは、どこか他の場所を選ぶ。

技術的な違い

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携帯電話時代の名残 – 日本ではiPhoneが登場する以前、高性能の折り畳み式携帯電話が長いあいだ使用されていた。その数はパソコンの数を越えていたほどだ。当時は、携帯電話の画面がとても小さかったため、多くのウェブサイトは小さなスペースにコンテンツを詰め込んでいた。その当時の影響が今も残っていると言える。

ウェブ用フォント – 非ラテン語系言語 (中国語、日本語など)用のウェブ用フォントは限られている。これは、何千もの文字を個別にデザインするのは、とてつもない費用と時間がかかり、ダウンロードするのも大変だからだ。そのため、デザイナーは標準のフォント以外の文字を使いたいときには、画像を使うことになる。

Windows XP & IE 6 – 旧式のマイクロソフト製ソフトウェアを使う人は急速に減少しているものの、いまだに結構な数の人がこうした時代遅れのものを使っているのも事実である。特に企業において。これだけ言えば十分だろう。


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東京を歩いていると、私はしばしば1980年代当時に描かれていたような未来像の中に押し込められている感覚にとらわれることがある。その感覚は、日本のデザインシーンを特徴づけている矛盾と通じるものがある。すなわち、巨大企業が退屈な大量生産品を生み出し続ける一方で、信じられないほど美しく、機能的なものを生み出すものづくりの職人も存在するという状況だ。

最後に前向きな意見を述べよう。 ユニクロ無印良品クックパッド紀伊國屋書店といった企業のサイトは、日本企業でも美的かつ機能的に優れたサイトをつくることができる事実を示している。他の企業もこうした例から学び、追いつくことを期待しよう。


補足: 多くの方からのコメントで、上記のポイントの多くは、中国と韓国のウェブサイトにも当てはまるという意見をいただいた。以下に、比較材料として両国のサイトを記載しておきたい。

中国本土:Sina, 163, 51job, SouFun, Eastday

韓国:Naver, Daum, Tistory, Nate, Chosun

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