金融アドバイザリー・スタートアップZUUのCTOに、ベストティーチャー元CTOの後藤正樹氏が就任

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2014.10.8

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左から:ZUU CEO 冨田和成氏、新たにCTOに就任した後藤正樹氏

東京に拠点を置く金融アドバイザリー・スタートアップ ZUU が、夏野剛氏ら4人のエンジェル投資家から1億500万円を資金調達したのは8月のことだ。その ZUU から新しいニュースから飛び込んできた。

ZUU は先頃、ベストティーチャーのCTOを以前務めた後藤正樹氏が、ZUU の CTO に就任したと発表した。後藤氏は2010年度の「未踏IT人材発掘・育成事業」でスーパークリエイターに認定琉球フィルハーモニックチェンバーオーケストラではタクトを振る異才の持ち主だ。

去る7月以降、後藤氏は ZUU に技術顧問として参画していたが、今回の CTO 就任により ZUU への本格的なコミットメントとなる。ZUU の設立は昨年4月だが、以来彼らは目立ったメディア露出をしておらず、筆者も CEO の冨田和成氏とは以前から面識があったものの、これまで ZUU について詳しい話を聞く機会が無かった。

後藤氏のような優秀な技術者を招いて、ZUU は何をしようとしているのだろう? ZUU のオフィスに冨田氏と後藤氏を訪ね、後藤氏のCTO就任を機にどのような展望を描いているのか話を聞いてみた。

目指すは、リテール金融におけるインダイレクト・チャネルのプラットフォーム

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ZUU ONLINE 英語版

銀行、証券、保険など、消費者向けに金融商品を販売するサービスを「リテール金融」と呼ぶ。インターネットの普及により、これらのサービスはオンラインで取引できるようになった。ネットバンキング、オンライントレード、ネット保険などはその最たるものだろう。事業者にとっては営業コストが圧縮でき、ユーザは店舗に出向く必要のない利便性がメリットだ。

しかし、この種のダイレクト・チャネルで販売される金融商品には、購買判断や発注にあたって、ユーザに高いリテラシーが求められる。好意的な見方をすれば、それは選択の自由度が高いと表現できるが、他方、ユーザはどの会社と取引し、どの金融サービスを利用するかを全て自分で判断しなくてはならない。

世界的に見ても、金融サービスがダイレクト・チャネルで提供されているのは、取扱高ベースで全体の2割に過ぎない。残りの8割のサービスは、フィナンシャル・プランナー(FP)から、保険会社の外回り営業のおばちゃんまで、さまざまなインダイレクト・チャネルで提供されている。つまり、大多数のユーザは金融サービスの購入や利用にあたり、誰かの説明や助言を必要としているということだ。時代がどんなに進化しても、インダイレクト・チャネルでの金融サービスの需要が無くなることはないだろう。

ZUU が提供するのは、インダイレクト・チャネルで金融サービスを享受したいユーザと、そのユーザらに助言や販売をするフィナンシャル・プランナーのような人々のマッチング・プラットフォームだ。これまで、ユーザはアドバイザーを探す上で人の紹介などに頼るより他に方法がなく、アドバイザーも自分が顧客としたい層にアプローチする効果的な方法がなかった。

今回、後藤氏をCTOに招いて ZUU が取り組もうとしているのは、このマッチング・プラットフォームのコア部分のようだ。

我々は BとCをつなぐビジネスを目指しているわけですが、そのために、アドバイザー(B側)を束ねられるシステムを作り、他方、ユーザ(C側)を集めるためにメディアを10サイト立ち上げました。現時点で詳しいことは言えませんが、この年末から年始のローンチを目指して、ユーザをつかんで放さないためのしくみを作っていきます。(冨田氏)

ITの力で、金融資産のボリューム・ゾーンを取りに行く

出典:ZUU ONLINE
出典:ZUU ONLINE

ZUU がターゲットとする消費者は、純金融資産額3,000万円〜5億円の層だ。つまり、ものすごいお金持ちでもなければ、貯金が無いというわけでもない〝中の上〟の領域に位置する人達。数で言えば、日本の5,000万世帯中1,000万世帯、つまり5軒に1軒の家庭は、ZUU の想定顧客に含まれるということになる。

ここまで ZUU の話を聞いていて、ふと気づいたのは、Fintech のスタートアップに見られる一定の傾向だ。以前、クラウドキャストに話を聞いたときもそうだったが、ユーザ層のピラミッドで見たとき、最上部の層には既にソリューションを提供している業界の巨人が居る。最下部の層はユーザが自分でなんとかしてしまうので、サービスの需要が無い。最上部でもない最下部でもない中間層がホワイトスペースで、そこに大きな市場可能性を見出せるというものだ。

しかし、中間層は最上部の層ほどは客単価を高く取れないため、ビジネスに載せるには、インターネットやクラウドの力を使って、効率的にサービスを提供する必要が生じる。ZUU が狙っているのは金融サービスを求める中間層であり、ちなみに、例として引用したクラウドキャストが狙っているのは経費精算の中間層ということになる。

コンテンツ主導から技術主導へ

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他メンバーと共に、開発作業にいそしむ後藤氏。

メディアを10サイトも構えたことからもわかるように、ZUU はこれまでユーザを集めるためにコンテンツ開発に力を入れて来た。月間ユニークユーザ数では既に100万人を超えており、お金に関する情報を提供するウェブサイトとしては国内最大規模になりつつある。

ZUU には、正社員やインターン・アルバイトをあわせて約25名程度のメンバーがいるが、後藤氏の配下で開発に特化する技術者は現在5〜6名程度。同社はコアとなるプラットフォームの構築に注力すべく技術者の採用を強化しつつあり、そう遠くない将来、コンテンツ制作メンバーと技術者の人数割合が逆転するだろう。

トレンドを追いかけたいエンジニアの傾向として、SI-er でキャリアをスタートし、Google に代表される巨人企業に転職、その後ゲーム・デベロッパで面白いことをして、今は Fintech スタートアップに流れて来ている、という気がしている。この次は、ヘルスケアや IoT といった分野に流れて行くかもしれないが、今のところ、新しいことをしたい技術者は Fintech 周辺に集まってきているように思う。(後藤氏)

とかく技術者の採用が難しいスタートアップ業界において、Fintech のスタートアップは比較的優秀な人材を集めやすいのかもしれない。起業家や投資家にとってのみならず、技術者にとっても Fintech はホットな分野だからだ。ZUU が今年末ないしは来年明けに公開するとしている新サービスが、今から楽しみにで仕方が無い。

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