Baidu(百度)は「中国版Google」に過ぎないのか? CEOのRobin Li(李彦宏)氏が語るBaiduとGoogleの最大の違い

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中国の検索エンジンBaidu(百度)は、Googleが中国市場から撤退するずっと以前から長いこと中国の検索ツールの中で他の追随を許さない存在であった。しかし、Baiduがそのサービスや、特に初期の段階においての外観がGoogleに似ていることが指摘されてから両者はしばしば比較されている。海外メディアにおいてBaiduは「中国版Google」と呼ばれたり、Googleのコピーキャットであると明からさまに非難されていた。

しかし、Baiduの創立者でCEOのRobin Li(李彦宏)氏は、自社とアメリカの検索大手Googleとの違いをどう見ているのだろうか?数ヶ月前に行われたBaiduのQ&AセッションでLi氏が質問に答えているが、そのときの口述記録が公開された。

Li氏は次のように語っている(Tech in Asia 翻訳による):

BaiduとGoogleの違いは、2段階で語れます。PCベースの検索に主眼が置かれていた初期の頃にBaiduが主に行ったGoogleと異なる点は、UGC(ユーザ生成コンテンツ)です。UGCはアメリカで理解されている「検索」とは少し違っています。私たちは開発段階で、すでにウェブ上に存在したコンテンツから受動的にインデックスを作成しただけではなく、中国人ユーザが新しいコンテンツを作成するよう仕向けたのです。例えばBaidu Tiebaですが、中国語を使った最大のフォーラムで、毎日実際に1億人が利用しています。Baidu Tiebaでのコメント投稿が始まったのは2003年12月です。コメントは残らずBaiduがインデックス化し、検索できるようにしました。その少し後のBaidu Knows(百度知道)やBaidu Wiki(百度百科)、その他のサービスはすべてこのコンセプトから生まれています。ユーザによるポータルやコンテンツの作成を可能にし、その後、検索技術を使ってインデックス化しました。PC検索時代のBaidu発展時期において、BaiduとGoogleのアプローチはそこが大きく違っています。

モバイル検索の時代になると、BaiduとGoogleのサービスの違いは非常に大きく、哲学という点から見るとその違いはさらに大きくなります。GoogleはAndroidのエコシステムやアプリの開発、無人自動車や健康に焦点を当てたハードウェアといった、今後20年で大きな成長が見込める分野により多くのエネルギーを注いでいます。

Baiduにとっては情報をつなぐだけでなくサービスをつなぐことも大事です。例えばBaiduを開いて「映画」と入力すると、半径1.1km内の映画館、映画の開始時間、購入できる座席が表示されますが、そこで座席を選んで直接支払うこともできます。こうした一連の作業をBaidu検索からすべて行えるのです。Googleはこうしたサービスを提供していません。自分たちの役割と思っていないのです。「ウェブ上にあるもののインデックスは作成するから、それで十分でしょう」というスタンスです。私たちからすると、こうしたサービスを提供する義務がBaiduにあるか否かについては中国のウェブユーザは特に気にしていません。中国のユーザの関心は、Baidu検索で欲しいものを手に入れられるかどうかなのです。

初期の頃、この考え方を受け入れるのに私は少し苦労しました。例えばBaiduで検索した人が、検索がうまくいかず、結果に表示されたサイトで詐欺にあったとします。その情報はBaiduのものではなくインデックスに載せただけです。最初は「私たちの問題ではない」と考えました。しかし後になってから次のように悟りました。他の人たちが「それはあなたの問題だよ」と捉えれば自分たちの問題になるのです。だから解決する方法を見つける必要がある、と。そこで保険のような安全保証プランを作りました。Baiduで見つけたサイトで詐欺に遭ったら、詐欺をはたらいたのはBaiduではありませんがそれでもBaiduが補償するというものです。それから徐々に「検索ワードに関する事実が重要なのではなく、実際に人々が考えていることが重要である。人々が考えていることについて、それを解決する手段を見つけなければならない」というコンセプトになっていきました。

モバイル時代に学んだことは、「映画」と検索すると上映中の映画のタイトルを見つけるだけが究極の目的ではなく、実際に映画館に行って鑑賞するのが目的だということです。なのでそうした人たちを満足させる方法を考えました。ユーザが情報を得るだけでなく、実際に探しているサービスを使えるようにしたいのです。その方がもっと便利でしょう。幸いなことに、中国経済の急速な発展のおかげで伝統ある産業がとてもオープンになっていて、インターネット関連企業に喜んで協力してくれます。こうして、映画館と私たちITシステムの統合が可能になっているのです。これこそがモバイル時代における当社とGoogleの最大の違いです。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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