第3回ジャパン・ビジネスモデル・コンペティションが開催、コオロギで養殖漁業をディスラプトする「New Food Cycle System」が優勝

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2016.3.3

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2月28日、都内で第3回目となるジャパン・ビジネスモデル・コンペティション(JBMC)が開催された。2014年にスタートしたこのイニシアティブは多摩大学大学院と JBMC 実行委員会により年に一度運営されており、 ビジネスモデルワークショップ、文部科学省による EDGE プログラム(グローバルアントレプレナー育成促進事業)、大学の起業講座などを通じてエントリできる。アイデアの良し悪しを評価するビジネスモデル・コンテストや、財務諸表の提出などを求められるビジネスプラン・コンテストとは異なり、顧客獲得とエグゼキューションの可能性に重点を置いて評価される。

JBMC は、ハーバード、スタンフォード、ブラガムヤングの各大学が共催する International Business Model Competition(IBMC) の日本における地域予選を兼ねており、ESPRIEX Business Model Competition ASEANMekong Challenge などアジアからの予選通過チームと肩を並べ、本戦で結果を競い合うことになる。昨年の IBMC には15カ国276校から3,832チームが参加し、総額644,500ドルに上る賞金が入賞チームに提供された。

JBMC では、次の6つのポイントに焦点を当てて評価される。

  1. ビジネスモデルは顧客や社会の問題を解決しているか?
  2. ビジネスモデルは仮説を明確にしているか?
  3. 顧客、供給先などの外部からフィードバックを十分得たか?
  4. 巧みにに仮説検証をこない、適切にビジネスモデルを修正したか?
  5. 成長性が高く、イノベーティブか?
  6. 事業化する実力と熱意があるか?

審査員を務めたのは次の方々だ。

  • 大江建氏(JBMC 実行委員会委員長、総合コンサルテイングオアシス 代表取締役、早稲田大学 研究推進部 参与)
  • 平松庚三氏(小僧com 代表取締役、Global InstaBiz 代表取締役)
  • 飯村愼一氏(光陽電気工事 代表取締役社長)
  • 砂金信一郎氏(日本マイクロソフト Microsoft Ventures Tokyo 代表)
  • 本荘修二氏(本荘事務所 代表、多摩大学大学院 MBA 客員教授)
  • 河野龍太氏(インサイトリンク 代表取締役、多摩大学大学院教授)

JBMC 決勝では10チームがファイナリストとしてピッチしたが、本稿では入賞した4チームについて取り上げる(サービスとしては未リリースのものが多いため、関連ウェブサイトへのリンクが少ない点については容赦いただきたい)。

【優勝】Establishing New Food Cycle System by Utilizing Insect Feed

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<副賞>

  • Microsoft アメリカ本社で開催される、International Business Competition への日本代表としての参加をサポート
  • InstaBiz 英会話 ビジネス3ヶ月コース 短期集中講座(Global InstaBiz 提供)
  • 事業化支援プロジェクト権利(Amidus 提供)
  • Universal Fordable Keyboard GU5-00014(日本マイクロソフト 提供)
  • Microsoft アメリカ本社勤務・石坂誠氏による Microsoft 本社ツアー、シーフードディナー招待

3rd-jmbc-insect-1養殖産業においては、費用の約7割をエサ代が占めていると言われる。しかし、近年、エサとして使われる魚粉の値段が高騰しており、養殖業者の経営を圧迫している。このチームが提案するのは、コオロギを養殖魚のエサとして活用しようというものだ。コオロギは栄養価が高く、養殖魚のエサとして受け入れられるまでに時間を要したとしても、爬虫類のエサとしての需要があるのでコオロギを選んだのだそうだ。

コオロギは廃棄野菜などを使って容易に繁殖が可能であるが、安全性を考慮して、実運用では流通しない規格外の野菜をコオロギのエサにすることを想定。また、当初はコオロギを擦り潰して粉末で供給することを想定していたが、養殖業者との試験運用などを通じて、魚が食べやすく海を汚さないようにするにはペレットの方がよいことがわかり、今後はコオロギ粉末をペレット加工して提供することを計画している。

<参考文献>

【準優勝】GoFiture

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世界では、年間1,100万人以上の人々が安心できる医療サービスを求めて海外に渡航しており、中国だけを見てみても富裕層約300万人がトップクラスの医療サービスへのアクセスを求めている。中国人富裕層の実に78%(約270万人)が日本の医療サービスを世界トップだと考えているのにもかかわらず、実際に医療サービスを受けに日本にやってきているのは5,000人程度。この理想と現実の隔たりを生み出している原因は、医療情報の不足、アレンジ事業者の提供するサービスが高価である、仲介サービスの品質に不安がある、言語が異なるためコミュニケーションに問題がある、などだ。

3rd-jbmc-gofiture-1GoFiture はメディカルツーリズムを支援するプラットフォームで、病院予約、多言語対応はもとより、旅行プランの選定、通訳の手配、保険の加入、利用者のレビュー、ビザの手配などの一連のサービスを提供。日本のメディカルツーリズムは175億円規模と言われ、そのうちの50億円を取りに行くことが GoFiture の目標。武漢、上海、北京、大阪の旅行会社、がん検診で使われる PET-CT を持つクリニック5社と提携し、医療通訳者10名を擁している。2015年の Kobe Global Startup Gateway で優勝

【3位】ワンタップダイエット

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既存のダイエットアプリは、毎日三食何を食べたかを入力したり、検索したりしないといけないので面倒くさい。このプロセスを簡略化してダイエットを促すアプローチをとれないかと考えたのが「ワンタップダイエット」だ。

3rd-jbmc-one-tap-diet-1体重が変化していないときは、エネルギー代謝量と摂取エネルギー量がほぼ同じであり、消費したカロリーは計算式により導きだせるので、ここから逆算すると 1キログラム太るのに 7,200kcal 摂取する必要があることがわかる。摂取した食品を入力したり検索したりすることなく、だいたいでよいので摂取したカロリーがわかればいい、というニーズが多かった。

ワンタップダイエットでは食事の量だけを記録し、それを可視化し、記録を続けることでカロリー計算の精度が高まる機能が実装されている。13歳〜30歳の女性、ゆる〜くダイエットがしたい人や、他のダイエットアプリをあきらめた人がターゲットだということだ。顔認識技術を使った部分痩せコースなどでマネタイズする可能性を模索中。

【審査員特別賞(優秀賞)】マタニティビーコン

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<副賞>

  • オフショア開発1ヶ月分(プライムスタイル提供)

一見してそうは見えない妊婦が、周囲からサポートを受けるれるようにと開発されたマタニティマークだが、親切を受け取れるチャンスがある反面、実際にはトラブルを受ける事例がたびたび報告されている。このため、妊婦の中にはマタニティマークをつけたがらない人も少なくない。

3rd-jbmc-maternity-beacon-1マタニティビーコンは、親切な人にだけ見えるマタニティーマークだ。妊婦がビーコンデバイスを身につけることで、対応するアプリを持ったユーザのみから妊婦の存在が見えるしくみ。例えば、電車の中で席を譲るなどの行動がしやすくなる。しかし、ビーコンではだいたいの位置しかわからないので、この状態だとユーザはお腹の大きな妊婦しか見つけることができない。そこで、ビーコンをキーホルダー型などユーザが妊婦の存在が見つけやすいものに改良した。

妊婦の存在を周囲に明らかにするのか、限られた人にしか見せないのか、という点では、ピボットの過程でコンセプトに揺らぎが見受けられた。しかし、鉄道会社、自治体、知育系の出版社などから、販路を開拓する上での支援を得る賛同を既に取り付けているという。本来は妊婦にトラブルを与えるような社会をどうにかすべきだが、問題へのパブリック・アウェアネスを高める上での切り札になるかもしれない。

<参考文献>

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“summercamp"/

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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