世界の大手自動車メーカーが、イスラエルのテック企業に注目する理由

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著者のDennis Mitzner氏は、テルアビブに拠点を置くジャーナリスト。イスラエルと北欧に重点を置きながら、スタートアップやテクノロジーのトレンドについて執筆している。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Andrew Duthie“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

Uber が6億8000万ドルで自律走行トラック企業のOttoを買収したという最近のニュースは、大手自動車・輸送企業が急成長しつつあるイスラエルの自律走行車テクノロジー業界の一部を得ようとしている動きを促進するものだ。(更新:Uberの広報担当者によれば、Ottoはイスラエル系アメリカ人起業家のLior Ron氏が創業したが、米国に拠点があるとのこと。)

5月にはUberの競合のGett Inc.(イスラエルで創業した企業)が欧州最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンから3億ドルを資金調達した。この投資によって、フォルクスワーゲンはライドシェアリング、オンデマンド輸送、自律走行車への取り組みを強化していく。

サービス提供者もハードウェアに追随する。BMWとFordも先例にならって、イスラエル企業への投資を最近行った。視覚に基づくドライバー支援システムを開発するMobileyeはエルサレムに本社を置いているが、BMWとIntelと提携をし、無人走行車を2021年までに製造する予定であることを発表した。

数日前には、Fordはイスラエル拠点のコンピュータビジョン・機械学習企業のSAIPSを買収した。「人工知能の専門技術を強化し、コンピュータビジョンを改善することが目的である」とプレスリリースでは述べられている。

今回のFordによる買収は、GMがイスラエルの研究開発センターの規模を倍増すると4月に発表してから、数ヶ月後のことだ。「この拡大は、自律走行車のアイデアに投資する上で主軸となる要素だ」とGeneral Motors IsraelのCEO、Gi Golan氏はGlobesに述べた

イスラエルの技術に注目し、開発拠点を拡大することはGMにとって理にかなった選択だ。GMは自動車類を開発するスタートアップに投資するために、2010年にGeneral Motors Ventureを立ち上げた。このファンドを通して、GMはすでに二つのイスラエル自動車テック企業 PowermatSital Technologyに投資をした。

イスラエルには自国の市場がないため、自国の需要を主に満たそうとしているグローバル企業にとってサービス拠点となっていると、Vertex VenturesのTimorは私に話してくれた。Timorは次にように語った。

イスラエルの企業は多分野にわたるアプローチを取るのに長けています。そのため、業界に関わらず、非常にすばやく行動することができます。イスラエルにおけるスマート自動車のイノベーションの背後には、コンピュータービジョン、リアルタイムのノウハウだけでなく、3Dセンサー、動画・画像処理技術といったスマート自動車の開発に必要とされる要素が存在します。ここの企業は、すべてを統合して一つのソリューションを生み出す能力を持ち合わせているのです。

MobileyeがBMWやIntelと提携を発表する数ヶ月前には、イーロン・マスク氏がMobileyeを訪問するために内密にイスラエルを訪れている。また、数多くの投資家が参加したInnoviz TechnologiesのシリーズAラウンドの900万ドルの資金調達も今月初めに完了した。この二つの出来事は、イスラエルのスマート自動車業界が享受している世界の関心レベルの高さを際立たせるものだ。

(本記事は抄訳です。)

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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