DeNA、武田薬品や第一三共と共同でデジタルヘルス・スタートアップのピッチイベント「D2T」を開催

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本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


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(文中写真は、いずれも DeNA 提供)

今日、デジタルヘルスは、健康管理、予防医療、創薬などに応用できることから注目を集めている。ゲーム業界大手の DeNA(東証:2432)は7月24日、製薬大手の第一三共(東証:4568)や武田薬品工業(東証:4502)と共同で、デジタルヘルスに特化したミートアップ・イベント「D2T」を開催した。このミートアップの目的は、デジタルヘルスの分野で将来有望なスタートアップの発掘に関わるだけでなく、この業界のさらなる活性化のために、さまざまな企業間での協業や提携を促進しようというものだ。

D2T にはスタートアップ10社が登壇し、渋谷の DeNA 本社の会場に集まった、医療機器メーカーや製薬関連企業から ICT / eデータスタートアップまでさまざまな企業からの参加者に、サービス内容をアピールした。ベンチャーキャピタリストや通信会社の社員など聴衆の数は総勢100人を超え、プレゼンテーションルームは満員だった。DeNA 会長の南場智子氏は、D2T が、参加するスタートアップだけでなく、デジタルヘルス業界における人脈形成や活性化に大いに貢献できるかもしれないと述べた。

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DeNA 会長 南場智子氏

プレゼンテーションを行ったスタートアップのうち、以下にいくつかを挙げる。

  • iCARE……健康アドバイザリーサービス「carely」を提供
  • クオリア…栄養情報サービス「カロナビ」を提供
  • Kids Public…小児科関連のアドバイスをオンラインで提供
  • メドケア…予防医療サービスを提供
  • リーズンホワイ…医療従事者特化型のプロフェッショナルネットワーキングサービス「Whytlink」を提供
  • キュアアップ…健康を改善する治療促進アプリを提供
  • H2L…セルフケアを実現する電気治療器「PossessedHand」を提供
  • ウンログ…腸内フローラ最適化サービスを提供
  • エルピクセル…医療画像分析を提供
  • PREVENT…名古屋大学からスピンオフしたスタートアップで、インターネットを使った生活習慣の改善を提案

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ピッチ登壇社の中には、日本や世界の医療の現状に疑問を感じ、自ら事業を始めた医師によるスタートアップもいた。このような意見は、幸運にも最近、多くの非医療企業が参入してきているヘルスケア業界に関わる多くの人々に受け入れられやすくなっている。デジタルネットワークがもたらした社会変化は、健康に関連する供給システムから問題を取り除くのに必要な変化をもたらすだけでなく、確実に新しいビジネス機会へのドアを開き始めているのだ。

安全性やセキュリティに細心の注意が払われるべきことも事実だが、武田薬品(世界的な展望を持つことの表れとして、ドイツ人 CEO が経営の指揮をとっている)や、将来を見越した合併から誕生した第一三共など、先進的な考えを持つ大企業が参加しているのは良い兆候だ。本業のゲーム関連事業に加え、個人向けの遺伝子検査キット「MYCODE」や健康レコメンデーションメディア「KenCoM」をグループ企業が提供する DeNA とあわせ、今回参加した新しいプレーヤーの活動は注目に値するだろう。

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興味深いことに、現在会長を務める南場氏が創業した DeNA は、創業当初 DNA 検査などに関与していたわけではないが、その社名は DNA に由来する。以前は経営コンサルタントをしていた南場氏は、社長として DeNA を成功に導いたのち、ヘルスケアの世界にビジネス的関心を持つようになった。DeNA は近年、ヘルスケア業界に進出しただけでなく、旅行サービスなどで経営を多角化するとともに、横浜のプロ野球チームも保有している。

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