ベンチャーキャピタルの仕事に就いてみたい?【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.5.20

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: peshkova / 123RF

ベンチャーキャピタル(VC)の仕事に就く方法をアドバイスするブログ投稿を、最近はあまり見かけなくなったように思う。あるいは、より多くのことに私が気を取られてしまっているだけかもしれないが。

最近関心のあるテーマの一つは、自分の投資判断基準を披露し、VC ファンドの注目を惹くスタートアップの、サンプルとなる投資メモを書いてみるというものだ。これは悪いアドバイスではない。仮説に基づいた投資メモを作成することは、投資機会に対して批判的に考える能力だけでなく、市場に対する投資命題を慎重に考える能力を示すことができる。

しかし、私は少なくともヨーロッパ人の視点から、VC のキャリアを始める上での最も効果的な方法について、少し違った見方をしている。

ヨーロッパの VC に共通した誤解は、新しい投資を検討するために多くの時間を費やすということだ。いくつかの巨大投資ファンド(フランスの Kima Ventures が思い浮かぶ)がこの考え方を支持し、立派なことに、投資プロセスを効率的なものへと導いた。しかし、ヨーロッパの VC ファンドの多くは、毎年パートナー毎に比較的限られた数の新会社に投資してるのが現実だ。

もちろん、新しいディール毎にその裏では絞り込みがなされ、おそらく、数百ものピッチデッキに目が通され、数十回におよぶミーティングがなされている。それでも、メジャーな VC の投資パートナーは、他の活動よりポートフォリオ企業の支援に多くの時間を費やしていると私は推測している。

私は自分のポートフォリオ企業一社あたり、個人的には1週間あたり半日から1日を費やしている。人々はそれは多い方だというが、我々はディールをリードし、常に投資の中で積極的な取締役としてのポジションを取ってきた。それには一定のレベルのコミットメントと責任が伴う。

したがって、VC としての主な活動がポートフォリオ企業の支援である場合、VC での仕事の志望者に対して、この側面に対する貢献は私にとって最も興味深いものだ。

仕事ができる VC であるためには、たいていの場合、投資がさまざまな障害を克服できるよう、多様な才能を発揮する必要がある。私はそれを経験、英断、謙虚さという3つの組み合わせで考えるのが好きだ。

経験

あなたは会社を立ち上げたことがあるか? 小規模な事業を大規模な事業へと拡大したことがあるか? 我々の投資分野に関連して、あなたのバックグラウンドには、業界の専門知識があるか? 明確なドメイン知識以外にも、多様な視点を育んできた経験があるか? 極端な不確実な状況下で、意思決定を経験したことがあるか? 心地よくないことに対して、心地よくいられるか?

英断

経営陣に対して、どのようにメッセージを伝えるだろう? 必要な場合には、あなたには正式にはモノを言う権限はあまり無いものの、経営陣に対して説得力を持てるか? ポートフォリオ企業の CEO とそのような難しい会話をするとき、あなたの話には正当性があるか? あなたのポートフォリオ企業の、〝最も給料をもらっていない営業担当者〟になれているか? 外面的な優しさに隠された厳しさを持つことができるか?

謙虚さ

VC とは自分がヒーローなわけではなく、ヒーローを創り出す存在だ。あなたは、この役割を果たそうとしているだろうか? あるいは、自ら栄光を手にしたいか? フィクサー(訳注:映画の「フィクサー」の主人公を意味するが、トラブルシューターの意)になり、混乱を取り除き、競合との戦いを和らげ、厄介な訴訟を処理し、ポートフォリオ企業に代わってマイケル・クレイトン(「フィクサー」の主人公)の役割を演じているか? 知的好奇心を持って、頻繁にそのことを認識して喜んでいるか? 専門家ではないか? 議論が好きか、それともむしろ好奇心旺盛か? 学問的な理論に縛られているか、それともむしろ、実践的であり、物事をシンプルに進めたいと考える方か?

VC 業界は変化しつつあり、それには疑う余地はない(ヨーロッパでははるかにゆっくりと進行しているが、私は進化していると明言できる)。 新しいモデルも登場している。「経験豊富な起業家だけが VC になることができる」とか「お金がある家に生まれないと、ジャーナリストや弁護士にはなれない」といった普遍的な真実もない。

それどころか、実際には誰でも VC になることができる。今日では、これまで以上に簡単だ(もちろん、あなたが女性や未成年でなければということだが、それはそれでまた別の問題)。 最近では〝self-annointed VC(仮訳:自任型 VC)〟の普及も見られる。しかし、私は、VC になること自体を目標にすべきではないと言いたい。あなたの目標は、自分のポートフォリオ企業に対し、無私で支援し、価値を追加し、自分の投資家の資本を守るために、役割を十分に果たすことであるべきだ。

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