6年目を迎えた11期KDDI ∞ Labo、最優秀は心疾患の自動診断アシストデバイス「超聴診器」ーー継続支援先には初となる支援期間中出資も

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KDDIは5月18日、KDDI ∞ LaboのDemoDayを開催した。新たに採択された4社の内、3カ月のプログラムを経てKDDI ∞ Labo賞を獲得したのが超聴診器を開発中のAMI、オーディエンス賞を獲得したのが「warrantee」に決定した。以下に11期から採択された4社のプレゼンテーションをまとめる。※見出しはサービス名(社名が違う場合はカッコ内)と代表者名

WATCHA/代表・朴台訓(パク・テフン)氏

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凸版印刷とKDDIが支援した韓国発のスタートアップがWatcha(왓챠)。エンタメコンテンツの検索課題に挑戦している。

<参考記事>

韓国発の映画レビューアプリ「Watcha」が、装いを新たに日本市場向けにサービスを正式リリース

既存の検索方法ではエンタメコンテンツはオススメ情報か広告、レビュー、クエリ検索がメインになっている。これに対してWATCHAでは機械学習とタグ分析を活用してレコメンドを提供する。ユーザーのレーティング(評価)データで好みの程度を分析し、機械学習用のパターンを作成。コンテンツのあらすじからタグを抽出してこれと合わせることで高い精度でのレコメンドを実現した。

プログラムに入ることで重要なレーティング投稿が6倍になるなどの成果もあった。6月1日からKDDIの提供するビデオパスにレーティングデータを導入することが決まっている。

超聴診器(AMI)/代表・小川晋平氏

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KDDI ∞ Labo賞を獲得したのが超聴診器を開発中のAMIだ。凸版印刷とKDDIが支援した。代表の小川氏は熊本県出身の現役医者。同社では自動診断アシスト機能のついた聴診器を開発中。心音をデジタル化して解析し、心電図と組み合わせることで特定の心疾患について判断できるデバイスを目指している。

震災現場や遠隔医療では高度な医療機器はない。こういう場合に役立つのがどこにでもある聴診器で、フランスで200年前に生まれてから大きな進化をしていない。ここに注目して在宅医療や遠隔医療、予防医療に役立つデバイス連動の医療サービス構築を目指している。現在は実証実験を重ね、各種医療関連と協議中。

TeNKYU/代表・菅英規氏

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ソフトフロントホールディングス、電通、日立製作所、KDDIが支援した。

電球型デバイスで天気などのオンライン情報を電球を光らせることで自動的に教えてくれる。人感センサーとカラーLEDで雨がこれから降るかどうかを色で光って教えてくれる。天気以外にも花粉や為替、ゴミの日、ラッキーカラーなどをアプリで切り替えて教えてくれるので、スマートフォンなどの汎用デバイスで情報を検索して知る、という行為が必要なくなる。

VRize/代表・正田英之氏

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Supership、大日本印刷、日本マイクロソフト、KDDIが支援したのがVRize。VRプラットフォーム対応のアプリケーションを開発するためのCMS(コンテンツマネジメントシステム)で、360°動画や2D動画の再生ができるVRアプリを配信できる。通常3カ月かかる工程を10分の1程度に効率化してくれる。

<参考記事>

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プログラム期間中に航空会社のラウンジでVRビデオのテスト導入を実施したところ、9割以上の利用客が今後も試したいと回答したそうだ。6月には代理店販売を開始し、同じく提供予定の広告プラットフォームと併せて事業展開していく。

10期からの継続企業には出資も

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10期生のアクセルスペース、XSHELL、笑農和、MAMORIOについては継続支援ということでパートナー連合企業との実証実験などが半年間に渡り実施された。

衛星画像を提供するアクセルスペースでは、KDDIと共同で衛星画像に対してディープラーニングなどを導入し、ビジネス活用可能な「意味のあるデータ」にすべくビジネス実証実験を続けた。例えば三井不動産とは衛星から撮影した駐車場の画像を分析し、駐車場料金の設定に必要なリサーチデータとして活用する実験を実施している。

IoTデバイス開発・運用をウェブのように取り扱うことができるプラットフォーム「XSHELL」については出資も決定した。同プログラム実施期間中の出資は初めてとなる。

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このようにスタートアップと連携して事業開発を進めるパートナー連合企業は次のプログラムとなる12期からTDKと西武鉄道が加わり36社の規模になる。第12期は今年の8月から2018年7月末までの1年間で、エントリー募集(一次)は5月18日から6月19日。それ以降も通年応募が可能だが支援期間が短くなる場合もある。

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