Uberの社内政治は想像以上にめちゃくちゃな状況

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Image credit: moovstock / 123RF

Uber 取締役会メンバー内の論争があまりにもお粗末だったので、HP の CEO である Meg Whitman 氏に逃げられてしまい、不祥事で CEO を辞任した設立者 Travis Kalanick 氏の後任を見つける同社の試みは暗礁に乗り上げてしまったようだ、と週末(7月第5週末)のニュースで2紙が報じている。

それぞれのニュースでニュアンスや細かい点に違いがあるが、大事なポイントは一致している。まず、取締役会は複数の派閥に分裂してしまい、その一部はいまだに Kalanick 氏に忠誠を誓っていること。ソフトバンクへの株式売却可能性によって取締役会の力学が複雑になったこと。そして最後に、一連のセクハラ問題を受けて会社を追われた Kalanick 氏が、何らかの形での復帰を画策しているということだ。

これが映画ならポップコーンがいくらあっても足りないかもしれない。

ニュースの一つは New York Times で、何週にも渡る内輪モメとリークを経て Uber 取締役会は「これ以上マイナスイメージでメディアに取り上げられることを避けるべく、停戦協定に達した」と大げさな書き方で報じている。取締役会メンバー間の「中傷」と不和は大量のリークを生む事態となり、先週(7月第5週)には Uber の次期 CEO になるつもりはないと Whitman 氏が公に発表することとなった

より詳しい話を Recode が報じている。それによれば、Whitman 氏は自分を本命候補として検討するか否か48時間以内に意思決定するよう Uber 取締役会に対して求めたという。また、日を改めて同氏と取締役会メンバー数名の面会も予定されていた。しかし、48時間内に返答がなかった時点で同氏は手を引いた、とのことだ。

両ニュースとも、Kalanick 氏が何らかの形で Uber に復帰できるよう画策している点では一致しているが、Recode はより踏み込んで、同氏が再び CEO 返り咲きを目論んでいることをほのめかしている。具体的には次の部分だ。

Kalanick 氏は辞職後たくさんの人(自身の後任候補のうちの少なくとも1人を含む)に、「自分は Steve Jobs 氏と同じ道をたどっているんです」と話しており、一度は追い出されるも後になって復帰した伝説的 Apple 創業者を意識していることが明らかだ。

あきれた話である。

全体を複雑にしているのはソフトバンクによる投資の可能性だ。明らかに取締役会は協議を継続するかどうかで割れており(今さら当然だが!)、Uber は資金を必要としていないという一派や、他にもソフトバンクの孫正義氏が関与してくると Kalanick 氏の強力な後ろ盾になり得ると気を揉む者もいる。その一方で、ソフトバンクはアジアにおける Uber の競合企業に投資してきているので、ソフトバンクを閉め出すこと自体が問題を引き起こす可能性があると考える一派もいる。

ともかく、両ニュースとも CEO 候補は4人残っているとする点で一致しているが、具体的な候補者名としては GE の CEO を退任予定の Jeffrey Immelt 氏のみ言及している。新 CEO は今後数週間のうちに発表される見通しだが、2年間も CFO が空席で Kalanick 氏の辞任前から COO を求人中だったような同社が、すぐに発表できる運びにはなりそうにもない。

この点を除けば Uber は普段通りである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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