薄型テレビへ挑戦するLoopーーコミュニケーションの側面からテレビの再発明を狙うその手法とは

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2017.11.28

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大型4Kテレビも私たちの手の届く価格帯になりました。

2017年には小売大手のドンキホーテがプライベードブランド「情熱価格PLUS」から「 50V型 ULTRAHD TV 4K液晶テレビ 」を5万円台で発売し、話題になったのも記憶に新しいです。

経済産業省のデータによれば 、平成16年には薄型テレビがブラウン菅テレビの出荷台数を抜きました。また、平成24年には薄型テレビの普及率が95%を超えたと 発表されています

しかし、大画面薄型テレビは本当に家庭に適した大きさなのでしょうか? 単に「大きさ」だけが取り柄のテレビがもてはやされているのは良い傾向なのでしょうか? スマートテレビ機能の普及も進む中、Skypeのようなコミュニケーションアプリがテレビ・ディスプレイ上で使えるようになりましたが、薄型テレビはコミュニケーションをする上で最適なソリューションなのでしょうか?

今回紹介する Loop は、既存のテレビ製造業に対して「コミュニケーション」を軸に戦いを挑むスタートアップです。

「TVは家族になれるのか?」

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Loopはレトロをテーマにした小型液晶ディスプレイ。薄型ではないですが親しみやすいブラウン菅をイメージしたデザインで、デバイス側面に付いている調節ネジを回すだけで簡単に操作可能。家族間でInstagramやDropbox、Facebookにアップロードした写真や動画を鑑賞できたり、Skypeなどのアプリを通じて動画チャットを楽しめます。

筆者がLoopの創業者「 Brian Gannon(以後Brian氏) 」に初めて会ったのは2016年。まだ実機販売直前だったと記憶しています。開口一番、Brian氏が家庭内におけるテレビのあり方・理想像を語っていた姿を鮮明に覚えています。曰く、「テレビに向かって自然と人々が話している姿を目指したい」とのこと。

スマートフォンやタブレットが普及した現代、「ディスプレイ端末」の価値はコモディティ化しました。また、YouTube TVやNetflix、Huluに代表されるOTT(オーバー・ザ・トップ)市場の急激な成長と共に、コンテンツ消費はテレビ画面を通じずとも行えるようになりました。

では現代社会におけるテレビの存在意味とは何なのでしょうか? Brian氏の哲学では「家庭内、もしくは離れた家族とのコミュニケーション媒体」と位置付けているようです。例えば、実家にいる祖父母と違和感なくテレビ越しに話せるのかどうかがこれからのテレビ像を語る上で大切な要因となります。

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元々Brian氏はサムソンの薄型テレビの開発部門出身で、Skypeのようなアプリを通じたコミュニケーション体験の設計担当をしていました。

しかしサムソンを含む大手家電メーカーは、大型薄型テレビ開発に躍起になる一方、本当に自分達が開発しているテレビがコミュニケーションに適した形なのか疑問に思ったそう。

そこで、かつて販売されていたブラウン菅テレビのデザインを踏襲しつつ、高齢者を含め誰もが簡単に操作可能な小型ディスプレイの開発に至ります。

確かに、大型テレビは大画面の迫力で映画を見たりすることに向きますが、遠方とのコミュニケーション向けに作られていないことには納得がいきます。画面一杯に家族の顔が映し出されて、大声で談笑する消費者の姿を想像するのは難しいでしょう。

また、手持ちのスマートフォンでコンテンツ視聴には事足りるという消費者ニーズの高まりから、コミュニケーションを軸に据えて「テレビの再発明」をすべきタイミングであるという考えにも共感できました。

実機を触らせてもらうと、リビングやキッチンなど家庭の各シーンで手軽に利用できる洗練されたUXが特徴であると感じました。ちょうど私も実家の両親を残して一人で長くアメリカに住んでいたこともあり、製品に対して非常に魅力を感じのを覚えています。特にアメリカでは、大学卒業後には実家を離れて東海岸から西海岸へ移住して独り立ちする習慣もあり、ニーズの高さも伺えました。

「ボット社会を見据えて」

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Loopが目指すのは家族が自然と触れ合えるきっかけを作ることですが、特徴はそれだけではありません。機械学習を使った音響デバイスというポジショニング確立も目指しています。

音響デバイス市場の成長ポテンシャルは高く、Amazon AlexaやGoogle Homeの出荷台数は2017年で2,400万台に及ぶと 試算されており 、2016年度比で3倍に及びます。また、Google検索の20%が音声経由であるとも 報じられています

Brian氏は音響デバイス向けのサービスをアプリではなく「ボット」と呼んでいますが、今後は各種ボットとの連携網を拡大していく予定です。例えば先日Amazon Alexa対応をした レシピ動画サービス「Kurashiru」 もLoopを通じて手軽にコンテンツをキッチンで楽しめる世界を目指しているわけです。

また、ボットを通じてデバイス周辺の環境を人工知能が理解をして、各シーンに合わせた最適なコンテンツをその都度発信できる機能も今後追加していくとのこと。Kurashiruの例を再度用いると、キッチンで使われているとLoopが判断した場合、 TastemadeTasty のような料理関連ボットを提案する具合です。

最終的に目指すのは、家族間のやり取りの障壁を下げ、ボット網の拡大によってテレビをコミュニケーションデバイスとして再発明すること。この点、競争は熾烈を極めそうですが、AmazonやGoogleの音響デバイスとは切り口が違うので差別化できていると感じました。また、高齢者を利用シーンに含めた開発プロセスも大手とは一線を画している点でしょう。

値段は$249からとなっています。

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