「好きだから一緒にやる」ーー総額140万円の支援を集めた”喋るTシャツ”、ミレニアル世代流のクラウドファンディングとは

by SuzukiSekiko SuzukiSekiko on 2017.11.30

2016年度の国内クラウドファンディングの市場規模は745億5100万円にも拡大している。実際にクラウドファンディングを使って個人がパーカーを作って販売したり、有志のチームがプロジェクトの運用資金を調達するというケースも多くなってきた。

個人でも共感する人たちから支援を受けたり、資金を調達しやすくなった今、どんな人が何を考えてプロジェクトを作っているのか。

今回は11月26日にCAMPFIREで「感謝がテーマのTシャツでTHANKSの連鎖を作りたい! ! 」というプロジェクトを公開したミレニアル世代の2人、稲沼竣氏と峯尾雄介氏に話を聞いてみた。

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THANKS Tシャツを着る2人

今回のプロジェクトは面と向かって言えない感謝を着ているTシャツで表現しようという企画。一口3939円から10万円までの支援枠で、いずれも支援をすると「THANKS」とプリントされたTシャツがリターンとしてもらえる。支援により調達した資金はTシャツの制作や配送に使われる。このTシャツを着る人を増やすことで、コミュニケーションを活性化することが目的だ。

彼らが作った「THANKS Tシャツ」。写真を見て、なぜこのTシャツがTHANKSなのか気づくだろうか。このTシャツ、プリントの部分ではなく隙間の部分を見ることで文字が浮き上がって見える。

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拡大すると「T」の文字がはっきり見える

「ありがとう」とわかりやすくプリントされたTシャツではなく、普段着ることができるデザイン性の高い「背中で語る」ためのTシャツ。コンセプトは稲沼氏がアメリカに留学していた時に感じた、「Don’t be shy!(シャイになるな!)」から、日本人のコミュニケーションの機会を活性化させようというところからきている。

「このプロジェクトを知ってくれること自体が、感謝の気持ちを伝えるきっかけになると思っています。自分たちも普段感謝を伝えるのが気恥ずかしい母親や父親に対して感謝を伝えるきっかけにもなりました」(峯尾氏)。

THANKS Tシャツは彼らが立ち上げた「喋るTシャツプロジェクト」の第二弾。第一弾では、全国47都道府県名をローマ字化したものを逆さまにしたプリントの「出身地Tシャツ」を制作し、クラウドファンディングによる全プロジェクトの総計で約140万円の資金調達を成功させている。彼らは伝えるテーマに沿ったTシャツを制作し、着る人の思いを伝えやすくするための取り組みを続けている。

第一回目のクラウドファンディングではプロジェクトの実施途中、稲沼氏の「全国に届けない?」という一言から支援者全員に手渡しで全国配送を実施した。「支援だけでも全員に手渡しするくらい感動したのに、コンセプトに共感してくれた直接関わりがない人からの支援も多く、非常に驚いた」そうだ。

クラウドファンディングを使うのはコミュニケーションを生むきっかけだから

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第一弾の出身地Tシャツでは47種類の洋服の型を作らなければならない、という費用面からクラウドファンディングを使い始めた2人。実施してみた結果、資金を集める以外にもクラウドファンディング自体がプロジェクトを盛り上げたり、多くの人の目に触れるきっかけになることを実感した。

2回目のプロジェクトはただの予約販売でなく、支援者がコミュニケーションをとれる仕組みづくりがされている。Tシャツ1枚分を支援すると支援者が身近な人に感謝を伝えるためのプレゼント用Tシャツがもう1枚ついてくるのだ。つまり、支援をすることで自然に「Tシャツを誰かにあげよう」という状況が作られる。

「喋るTシャツ」は働き方やライフスタイルも違う2人の表現活動

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高校の同級生の稲沼竣氏と峯尾雄介氏

高校の同級生の稲沼氏と峯尾氏。稲沼氏は自身でデザイン関連の事業を展開する合同会社IMAGINALを経営、対して峯尾氏は企業で働くサラリーマンだ。学生時代は学年で一番面白いヤツ(稲沼氏)と学年で一番すべているヤツ(峯尾氏)だった二人は、学内でも目立つ存在だった。

デザインして販売するだけであれば、稲沼氏の会社でプロジェクトとして運営することが可能なように思える。なぜクラウドファンディングで峯尾氏と実施するのか。稲沼氏に聞いてみたところ下記のように答えてくれた。

「喋るTシャツのようなプロジェクトは僕自身の表現活動として実施しています。なので、会社で実施する制作ではお金を生んで、世界初・日本初の面白いものを表現として作ることを自分のコンセプトにしているんです。この表現活動は誰かとやる、と決めていて喋るTシャツのコミュニケーションというキーワードから峯尾とやることを思いつきました」(稲沼氏)。

また学生時代に学生団体などを立ち上げていた峯尾氏も、こういった活動に携わりながら企業で働くことに対しては「勉強になることが多く好き」と前向きだ。

「僕がこのプロジェクトに携わる根源を考えてみると、ただのサラリーマンでいたくない。というのがあるかもしれません。DJしてみたり、喋るTシャツを作ってみたり、とにかく僕は高校生から目立ちたいという思いがあって(笑)。かといって経営者になりたいわけでも自分ですごいことをしたい、というわけでもないので好きな仲間と良いと思ったものをやっていくことにモチベーションを感じているんだと思います」(峯尾氏)。

小さな思いの発信者と共感した人たちの支援が小さな経済圏を生み出していく。仕事とは違った個人の活動の部分でも、人やお金は動きやすくなっている。

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