リクルート「TECH LAB PAAK」のデモデイが開催、最終輩出チームとなる第12期参加スタートアップが半年間の成果を披露

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.6.16

リクルートホールディングス(東証:6098。以下、リクルートと略す)が東京・渋谷で展開するスタートアップアクセラレータ「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」は15日、第12期のデモデイを開催した。

11チームがそれぞれ3分間ピッチでプログラム参加からの半年間の成果を披露したほか、審査員による評価対象ではないが、1分間ピッチには6チームが登壇し(1チームは欠席)、総計17チームが登壇する一大ピッチイベントとなった。

入賞したチームの顔ぶれを中心に、TECH LAB PAAK からどのようなサービスが生まれたか、生まれようとしているかをみてみたい。なお、デモデイのピッチにおいて、入賞者の審査を行ったのは次の方々だ。

  • 500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏
  • 日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 澤円氏
  • IT ジャーナリスト/元TechCrunch Japan 編集長 西村賢氏
  • ProtoStar COO 山口豪志氏
  • Amazon Web Services スタートアップ事業開発部 プリンシパルマネージャー 畑浩史氏
  • TECH LAB PAAK 所長 岩本亜弓氏

また、2014年12月にオープンした TECH LAB PAAK は約3年半にわたって運営されたが、2018年6月末にクローズする。アクセラレータプログラムについても今回の第12期で終了予定。また、TECH LAB PAAK の設立に深く関与した初代所長の麻生要一氏は、今年4月にリクルートを離れ、アルファドライブとゲノムクリニックという2つの新規事業を設立している。

【TECH LAB PAAK 賞】宇宙居住施設 by Outsense

副賞:AppleStore ギフトカード 3万円分

Outsense は、三次元展開構造物という折り紙技術を用いて、宇宙で家を作る技術の開発に特化している。世界的に宇宙開発が進む中で、2030年頃には月面での有人活動が始まることが予想されており、これを見据えて、月面居住施設の設計、モックアップ作成、ビジネス開発などを行なっている。

これまでの月面居住施設には屋根がついていないものが多かったが、屋根をつける技術コンセプトを考案し、現在特許を申請しているという。生命を維持するだけでなく、快適な生活をする空間としての月面居住施設の機能向上を目指している。

【Microsoft 賞】Kazamidori

副賞:タラバガニ 姿 1.5kg

Kazamidori は、幼児教育全般に関するソリューションを提供するスタートアップだ。生まれた環境や生い立ちに関係なく、誰もが適切な教育機会を得られるよう、データ・ドリブンで社会実装可能な幼児教育メソッドの研究開発を行う。幼児教育に対しては、家庭での対応へのアドバイス、保育所や幼稚園における業務改善、政治や行政への働きかけを通じた制度面での改革の3つの方面からアプローチ。研究については、事業本体から切り離し NPO 法人で活動する予定だ。

近日中に幼児教育メディアをリリース予定。最終的には、すべての事業から得られた知見を集めた自前の保育園運営を目標に据えているが、テーマが大きく手がける事業が多岐にわたるため、すべての事業をまとめてイグジットさせることは難しいと考えており、事業一つ一つをイグジットさせながら投資家にリターンしていく方法を考えているという。

【500 Startups Japan 賞】TOLETTA by ハチたま

副賞:松坂牛・神戸牛 食べ比べセット

ハチたまは、猫の泌尿器疾患を解決できる IoT トイレ「TOLETTA(トレッタ)」を開発している。自動でウンチを掃除し、画像認識で猫を見分け、体重・尿量・排尿・排便回数を測定し記録する。猫の健康異常が見つかれば、その情報をアプリに通知してくれるというものだ。デバイスやスマートフォンアプリ、認定オーガニックフードの定期購買、オンライン相談という3つの要素でマネタイズしている。

猫の最大の死亡要因は腎不全で、その初期症状である多尿や体重減少を飼い主がいち早く察知し、適切な医療措置を施すことで猫の健康寿命を延ばすことを意図している。偶然にも、今週シャープが猫用スマートトイレを発売したところだが、ハチたまでは TOLETTA のデバイス販売だけでなく、ペットフード大手や保険会社との提携と、飼い主や猫のデータベースを元にした多角的な営業戦略により、競合優位な立ち位置を目指すとしている。

ハチたまは2015年の設立(設立当時の社名は、ペットボードヘルスケア)。2016年に「GREEN FUNDING」でクラウドファンディングキャンペーンを成功させ、ゼロワンブースターが運営支援する森永アクセラレータ2016、TOKYO アクセラレータ(第一勧業信用組合)に採択された。2017年2月には、森永製菓、かんしん未来ファンド(運営は第一勧業信用組合)、アクトコール、ゼロワンブースターからの出資と、日本政策金融公庫から資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)で合計4,000万円を調達したことを明らかにしている。

今年3月には、Monozukuri Hardware Cup で優勝(Hardware Cup 世界大会の日本予選を兼ねる)し、5月にピッツバーグで開催された Hardware Cup 2018 世界大会にファイナリストとして参加した。

【ProtoStar 賞】【オーディエンス賞】Kimakuri by BloomScheme

ProtoStar 賞副賞:キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ 2名
オーディエンス副賞:シャンパン「テタンジェ」6,000ml

BloomSheme が開発する Kimakuri は、ユーザが簡単に気に入った洋服をオンライン上で試着体験できる仮想サービスだ。ファッション雑誌では自分の顔や体型に合うかどうかわからない、ショップに試着にいくのは面倒、EC サイトで注文しても試着までに時間がかかる、などの問題を解決する。

ユーザは予め、Kimakuri 上に自分の顔写真をアップロードし体型を入力しておく。顔写真は 3D モデル化され、ユーザが気に入った洋服の「試着」ボタンを押すと、自分の顔で体型にフィットした形での試着イメージが表示される。コーディネイト固定ではないアイテム毎の選択、試着イメージの360度回転にも対応予定。

試着イメージは、そのままソーシャルメディア上シェアできるほか、そこから EC サイトにダイレクトに飛んで商品を購入することもできる。エンドユーザは無料で利用でき、ファッション事業者側から商用アカウント利用料、コーディネイト掲載料、自社サイト誘導料などでマネタイズする考え。将来的には、スタイリストにコーディネイトを提案してもらうプレミアム機能の追加なども検討中。

特許出願中。6月末には、クローズドベータ版をリリース予定。

【西村賞】ダチョウ抗体フードサイエンス by VitaLonga

副賞:東京・品川 屋形船 3名 飲み物付き食事乗合船

VitaLonga は、ダチョウから取れる抗体を食品に入れるための技術を研究開発している nutraceuticals(ニュートラシューティカルズ=nutrition(栄養)+ pharmaceuticals(医薬品))分野のスタートアップだ。ダチョウ抗体は、一般的な抗体に比べ、コストが圧倒的に安く、熱に強く、酸やアルカリに強いため、食品に添加することが容易だ。例えば、花粉症やインフルエンザに対するダチョウ抗体の食品への導入により、さまざまな疾患の予防が期待できるという。

侵襲性のある形での体内投与の場合、抗体も薬などと同じ扱いになり治験などのプロセスが必要になるが、食品に添加することで、あくまで口で摂取してから便となって体外に排出されるまでの抗体として機能するため、市場投入までのハードルが比較的低いことが期待される。抗体の媒介物はダチョウの卵黄であるため、副作用は考えにくいという。食品から着手し、将来的には、保健機能食品や医薬品への応用も検討しているという。

<参考記事>

【AWS 賞】 防犯カメラ解析 AI by VAAK

副賞:Amazon ギフトカード 3万円分

VAAK は、防犯カメラの映像を人工知能で解析することで、犯罪を未然に防ぐソリューションを開発している。損害金額が世界で年間13兆円、日本国内だけでも5,000億円に上ると言われる万引き行為は、G メンや防犯ゲートの導入だけでは本格的に解決できていない。既存の防犯カメラやデジタルビデオレコーダを活用し、安価で効果の高い対策を提供する。

表情が険しい、キョロキョロしている、など、過去の犯行データや来店パターンから行動シナリオを推測し、管理者には犯罪が起きそうな60秒前などに事前通知される。万引き防止のほか、不審者対策、人身事故の防止にも応用可能なほか、同じ技術を使ってレジなしの自動決済サービスも提供可能だ。VAAK は今年4月、名称非開示のベンチャーキャピタルから、5,000万円を資金調達していることを明らかにしている。

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