シンガポールにまた新たなクラウドファンディングサイトが誕生した。同サービスはスタートアップの成功を支援することを目指している。シンガポールに拠点を置くCrowdonomicは先日正式にローンチし、6社がそれぞれ3万シンガポールドル(2万4000米ドル)の資金調達を目指すプロジェクトを掲載して、サービスが開始された。
プロジェクトを掲載した6社はシンガポールのスタートアップエコシステムではお馴染みのチームだ。例えば、ピアツーピアの仕事マーケットプレイス「FlagAHero」、車のレンタルサービスプラットフォーム「iCarsClub」、そして家族の交流を助長するソフトを開発をする「QualityTime Lab」などだ。Crowdonomicは将来的にアジア全域にサービスを拡大することを目指している。
目標金額が固定されている一方で、資金調達者はその目標が達成されなくても集めたお金を手にすることができる。その他のクラウドファンディングサイトと同様に、資金調達者は一定額のお金を支援した人には何らかのお礼をしなくてはならない。同サービスは、最終的に集まった金額をもとに9.5%の管理費を利用者に請求するが、目標額が達成された場合には、管理費が6.5%となる。
Crowdonomicは、アジアのクラウドファンディング業界を充実させようとする数多くの同様のプラットフォームの1つだ。インドネシアや日本、そして、それほどではないにしてもその他の国々では数多くの資金調達キャンペーンが成功しているが、これらの資金調達の金額は一般的に米ドルで5桁ほどの規模だ。
だから、Crowdonomicがエンジェル投資家やVC企業から資金を調達した(詳細はあまり明らかにされていない)とは言え、その資金の活用には慎重になる必要があるだろう。というのも、同社が新しい形の資金調達において市場を育成しようとしているからだ。アジアにおけるクラウドファンディングがアメリカのように膨大な規模にまで達するかどうかを示すものは全くない。
アジアにおけるクラウドファンディングの状況をざっと見ると、すでにプラットフォームがありすぎることに気付くだろう。おそらく、同市場はこれらすべてのサービスを維持できるほどには成長するかもしれないが、それでも、アジアのクラウドファンディングサービスは、同地域でトラクションを獲得しているグローバルサービスのIndiegogoと競争しなければならなくなるだろう。Indiegogoは、すでにインディーカフェのThe Pigeonholeや、ISGloves、Innove Technologyなど数社のシンガポールスタートアップの資金調達に活用されている。
今、東南アジアのスタートアップにシード投資がそんなに必要なのかと私は不思議に思う。アジア全域において、本当に欠けているものはベンチャーキャピタルのように思える。おそらく、クラウドファンディングプラットフォームはそのニーズにも応えることができるだろうが、それはマスマーケットの認識と革新的なアイディアが必要最低限あればの話だ。
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