ヤフーの再発明は可能かーー社内ベンチャー制度「スター育成プログラム」キックオフに潜入してきた

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社内ベンチャーという制度も今の「爆速」ヤフーが打ち出せば何か生まれるかもしれない、そう期待をしてしまう。

7月9日にヤフーとMOVIDA JAPANが共同で発表した社内ベンチャー制度「スター育成プログラム」の選抜イベントとなる「Hack Day」キックオフの会場には、ざっと見渡す限り200人ほどのヤフー社員が集まり、パネルに参加した起業家たちの声に耳を傾けていた。

スター育成プログラムはヤフー社員が現在の業務から完全に離れて新しいビジネスプランに挑戦することのできるプログラムで、MOVIDA JAPANがインキュベーションオフィスの提供やその他の起業支援サポートを実施する。

会社員でありながら、企業内起業家としてスタートアップすることが可能な内容になっている。Hack Dayで選抜された第一期となるチームは9月からプログラム入りすることとなる。

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後に続く人たちに体験をシェアする

将来のスター候補生を前に、登壇したのはMOVIDA JAPAN代表取締役社長の孫泰蔵氏だ。Yahoo! Japan誕生に大きく関与した孫氏は、米Yahoo創立者で若干25、6歳だったジェリー・ヤン氏とデビッド・ファイロ氏との会話を引き合いに「次世代のヤフーを担うプロジェクトをやろう」と語りかける。

(創立者たちが)Yahoo!というのはニュートンの前にリンゴを落とす仕事だと話してくれたんですね。ニュートンはリンゴが落ちるのをみて万有引力を発見したと言われる。リンゴが落ちなければニュートンは重力をみつけられなかったかもしれない。いつかは誰かが発見するかもしれないけど、物理学も電気も自動車も出現はもっと遅れる可能性があった。

インターネットは当時まだ軍事施設をつなぐネットワーク技術だった。でもいつかはすべての人類がここに繋がり、全ての英知がここに集まる。でも検索ができなければ、たとえニュートンのような人がいたとしても、その情報が目の前になければ莫大な損失になる。彼らに(自分たちは)これを最高のものに発展させる義務と責任があると言われた。

ここにいるヤフー社員はその遺伝子を受け継いでいる。自分たちでアプリを作れば世界に出せる、こんな環境はインターネットが始まって以来の出来事だ。ーー社内ベンチャー制度という「セーフティーネット」を頼りに、「さすがの私もこれは無理だろうというモノを作ってきてください」と、次世代ヤフーの卵に語りかけていた。

The Startup DOJOというインキュベーション施設

今回のプログラムで起業支援側に回るのがシードアクセラレーターのMOVIDA JAPANだ。現在第四期生となる14社のスタートアップが新たに設置されたインキュベーションオフィス「The Startup DOJO」に入居している。

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「この場所で密なコミュニケーションを取りつつ、3カ月という期間を決めてサービスをリリースするのが目標です。半年後には新しい場所を見つけて卒業を目指してもらいます」。(MOVIDA JAPANチーフアクセラレーターの伊藤健吾氏)

伊藤氏によれば、これまで3期までのプログラムを振り返り「もう少しスタートアップをそばに置いて一気にやろう」とこの場所を用意したという。「一般的なメディアも起業家特集をするなど、スタートアップすることが際物でなくなりつつある」(伊藤氏)。この場所で14社のスタートアップと共にヤフーの社内ベンチャー制度も実施される。

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驚きのあるサービスはウィキペディア?

説明会後半ではヤフー執行役員でCMO(チーフモバイルオフィサー)の村上臣氏のモデレートで、芸者東京エンターテインメント代表取締役の田中泰生氏、コウゾウ代表取締役の山田進太郎氏、コミュニティファクトリー代表取締役の松本龍祐氏、Y!Jキャピタル取締役COOの小澤隆生氏、MOVIDA JAPAN代表取締役社長の孫泰蔵氏によるパネルディスカッションでサービスアイデアのヒントとなる話題が提供された。

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左からコミュニティファクトリー代表取締役の松本龍祐氏、Y!Jキャピタル取締役COOの小澤隆生氏、ヤフー執行役員でCMO(チーフモバイルオフィサー)の村上臣氏

田中:(回答を用意してこなかったことで会場がささやかな笑いに包まれる)うーん。びっくりするようなサービスは…。私異常に忘れ物するんですよ。忘れ物を防ぐためにタグをつけてっていうのがあるじゃないですか。びっくりじゃないけどあのチップ欲しいですね。

山田:去年は海外にいっててネットに接続してなかったんです。帰ってきて驚いたのはGithub。URLを渡せばコードを共有できる。いままで可視化されてなかったものが見えるようになった。

孫:サンフランシスコで使って便利だったのはUBER。どこにいても三分以内に来てくれる。ヒッチハイクみたいなのをオフィシャルにできる。一週間ずっとUBER使ってた。

小澤:びっくりし続けてるんですよ。

村上:自分がサラリーマンになったこと?

小澤:いや違いますね。いままでできなかったことができるようになった。ウィキペディアにびっくりしつづけて、会議で偉そうに話しているひとを調べてみると、たしかに偉い。とか、ね。

村上:一般人ができるようになった

小澤:例えばタスクラビット。犬の散歩を5ドルでやりますとか。広告をださなきゃできなかったことがタダでできるようになった。これはいいですね。

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キーワードは「面倒くさい」ーーハードウェアにみる未来

松本:人はめんどくさがり。楽にするサービスがでるといいなと思います。サイトを作らなくてもブログで情報発信できるようになり、長文を書かなくてもTwitterで短くなった。文字を書くのも面倒になったので写真だけでも伝えられる。こうやって省力化することで新しいジャンルが生まれている。Fitbit Flexなんかもそうですよね。着けてるだけでログを収集してくれる。

田中:ご飯食べて写真を撮るの、めんどくさいんですよね。グーグルグラスだとこう「場の流れ」が切れない。だからヤフーグラスつくってください。

村上:ネットにはいつでもどこでも繋がるようになったけど、まだ(スマートフォンの画面)パネルにしばられてる。私、スマホ見て歩いてるとガードレールに当たるんですよね。

小澤:だからヘルメットになるんですよ。ぶつかっても大丈夫だから。ヤフーのウェアラブルはヘルメットでいきますから。

村上:半分賛成。(ヘルメットに映す)アバターがビジネスになるなと。リアルな顔がいらなくなる。でも残念ながら私がぶつかってるのは下半身なんですね。

孫:ウェアラブルはめちゃくちゃ来ると思ってます。Fitbitもよく売れたしGoProは1カ月で300万台売れて1000億円の評価額が付いているそう。ネットワークに繋がるタイプのデバイスはブルーオーシャン。

村上:日本は製造業で成功したが、実はディストリビューションがものすごく強かった。だから作ったら売れる。アルドゥイーノなどの話題は極めてインターネット的。3Dのデータを共有したり。マスプロでどーんという感じよりは、最初に小さな問題を解決してステップを踏んでいく。

孫:例えばあるアルドゥイーノ同好会の札幌ユーザーは炊飯器に蒸気センサーとWifiをつけて、ご飯が炊けたら教えてくれるものを作って見せてくれたんですね。そんなにご飯が炊けたの知りたいか?って。でも結構楽しかった。

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左からMOVIDA JAPAN代表取締役社長の孫泰蔵氏、芸者東京エンターテインメント代表取締役の田中泰生氏、コウゾウ代表取締役の山田進太郎氏

最後に孫氏は「ヤフーにはありとあらゆるリソースが大量にある。ヤフオク!やYahoo!ニュースなど、ヤフーのサービスを再発明して欲しい。来年の春にはこの中から(そのサービスの)社長になる人が出てきて欲しい」と締めくくった。

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