「デジタルで、デジタルを学ぶ」ーー新しいIT教育を実施するコードアカデミー高等学校が登場

by Junya Mori Junya Mori on 2013.11.1

Some rights reserved by cype_applejuice私たちの生活には、デジタルが溢れてきている。急速に拡大するデジタルなものに対して、その作り手の供給や人々の理解は追い付いていない。世界では、テクノロジー業界ではコンピュータ科学の教育を拡大する大掛かりな運動がいくつも動き出している。

日本でもようやくこうした教育がスタートしようとしている。本日、「デジタルで学ぶ」「デジタルを学ぶ」をコンセプトとする、コード教育を施す新しい普通科通信制高校のキックオフシンポジウムが開催された。学校の名前は、コードアカデミー高等学校キャスタリアと学校法人信学会の協力によって生まれる、新しい学校だ。

このコードアカデミー高等学校と呼ばれる新しい通信制高校についてのこのシンポジウムは、同学校のプロジェクト全体をデザインしている松村太郎氏が司会を務め、中村伊知哉教授などがゲストとして登壇した。そのシンポジウムでの内容を紹介していく。

コードアカデミー高等学校って?

code

コードアカデミー高等学校は、現在、設置認可申請中の通信制高校だ。通信制高校の学習は、これまで紙と郵送で行われてきたが、コードアカデミーでは、その学習をGoogle Appsで再デザインした。Google Appsを利用することで、クラウドをキャンパスとしており、どこにいても学習に参加することができ、一緒に学ぶ環境を実現しているという。

この新しい通信制高校のミッションは、コードが書ける人を育てるというものだ。「読み、書き、算盤、コード」と謳っているように、プログラミングを、新しい学びの中心として捉えていきたいと彼らは考えている。コードを学ぶことで、普段触れているテクノロジーが理解できるようになり、コードが書けるようになることによって、それが問題解決の方法を手にすることができる。デジタルを通じて、デジタルを学ぶことになるのがコードアカデミー高等学校だ。

設置認可の申請が通れば、卒業後は、高校の卒業資格を得ることができる。

デジタルをポジティブに

コードアカデミー高等学校キックオフシンポジウム

仮に、コードを学校のカリキュラムに組み込んでいったとしたら、科目はどうなるのだろうか。コードアカデミー高等学校の概要について紹介してた松村氏は、「技術科目は3Dプリンターを使った制作が行われるようになるかもしれないし、音楽科目は初音ミクを使って楽曲を制作するようになるかもしれない。」とコードによる既存授業の変化の可能性について語った。

また、コードアカデミー高等学校のカリキュラムはオープンソースにするという。そのため、同カリキュラムは日本中の学校で使うことができる。

Google Apps For Educationを利用

コードの学習はもちろん、共通科目の授業においても、Google Apps for Educationを活用した授業形式となる。

Google Apps for Educationを活用することで、生徒は様々な形態でのコミュニケーション、コラボレーションが可能になる。先生と生徒のコミュニケーションにGmailを活用したり、組織の中でチャットやハングアウトを活用したコミュニケーション。簡単なテストをGoogle Docsを用いて行い、回答もDocs上で実施したり、Google Calendarを利用して、学校の行事やイベントのスケジュールを確認するなどだ。

Google Apps for Educationと、スマートフォンやタブレットを活用して、時間や場所にとらわれない学習環境を実現させようとしている。授業は一方的に教師が解説をするだけの一方的なものではなく、学習内容を予習しておき、授業ではできるだけディスカッションに時間を割く「反転授業」と呼ばれるスタイルを取り入れるという。

反転授業では、生徒たちは授業の映像を視聴して予習し、実際の授業では従来の講義は行わず、逆にこれまでは宿題とされていた課題について、教師が個々の生徒に合わせた指導を与えたり、生徒同士が協働しながら課題に取り組むという形態の授業だ。

”コード脳”

コードアカデミー高等学校キックオフシンポジウム

実施されるカリキュラムについての紹介は、株式会社メルカリのエンジニア、大庭慎一郎氏から行われた。

コードアカデミー高等学校のカリキュラムでは、問題解決力、たとえば、大きな問題を適切なサイズに分解する力、間違うことをためらわず間違いを直せる力の育成を行う。

プログラミングは特殊な技能ではなく、プログラミング言語にとらわれない力です。言語には、プログラミング言語の「Sunaba」を選びました。Sunabaは、低機能・低抽象度で、覚えることは最小限。日本語でも英語でも書くことができ、おまじないやごまかしがない言語のため、扱いやすい言語です。

単に、プログラムの書き方を学ぶのではなく、大きな目標を小さな目標に分割していくなど、「書き方」の学習ではなく、「考え方」の学習を行うことになる。こうした考え方を「コード脳」と大庭氏は呼んでいた。

エッジの聞いた教育を

コードアカデミー高等学校キックオフシンポジウム

キャスタリアとともにこのプロジェクトを実施している学校法人信学会の理事、小林経明氏は、

エッジのきいた高校を作りたい。そのために、エッジのきいた教育を生み出すキャスタリアと手を組みました。上田を拠点にしているのは、上田がサマーウォーズの舞台だから。

と、小林氏は非常にパッションを感じさせるコメントをしていた。

コードアカデミー高等学校キックオフシンポジウム

中村教授が講演で話していたように、インド、ウルグアイなど、世界の国では子どもたちにタブレット端末や安価なパソコンを配布し、デジタルでの教育を進め始めている。韓国では、来年には全員がデジタルで教育を受けられるようにするとし、教材はすべてクラウドにあり、どんな端末でも講義を受けられるデバイスフリーの状態になるという事例を紹介してくれた。

日本は2020年までにガジェットの配布を終える予定だと発表しているとのことだが、それでは遅いと中村教授は語っていた。このコードアカデミー高等学校の動きにより、日本の教育におけるデジタル事情が大きく変わることに期待したい。

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