ZOZOMARKETで小規模アパレルは本当に「売れる」のか?ーー光本氏インタビュー

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.12.3

ZOZOTOWNとSTORES.jpがようやく動き出した。既報の通り、スタートトゥデイとブラケットは共同事業として1月15日、モール型のマーケットプレース「ZOZOMARKET」を発表した。

オーソドックスといえばそれまでだが、もう少し詳しく戦略について聞いてみたくなった私は、移転後初めてブラケットのオフィスを訪ねた。

「街の工務店にやってもらったんです」と、社名の「B」をかたどった電飾看板のかかるオフィスでブラケット代表取締役の:光本勇介氏が待ちかまえる。買収時のインタビューから切り出した。

ーースタートトゥデイに買収された際のインタビューで、前澤さんに「ZOZOTOWNから導線を張るのか」と聞いたら差別化が難しいので別のサービスを考えると言われてました。これがそうだったんですね。

(買収が1カ月ほどでスピーディーに決まったので)正直なにも決まってませんでしたね。ここ数カ月で形になっていきました。

STORES.jpが新しいモールを始める、というよりはB2Cの事業で年間約1000億円を扱ってきたZOZOTOWNがC2C(小規模なB2C)に参入する、といった方が正しいかもしれない。

ただ、この分野はすでに激戦区になりつつある。

古参ではショッピーズ、スタートアップからはFril、メルカリをはじめ、コンセプトやターゲットが微妙に違う「バリエーション」がずらりと並ぶ。

大手からはサイバーエージェントも本体(毎日フリマ)、子会社(パシャオク)、出資先(BASE)と四方八方から展開するし、ミクシィもこの戦場に降り立った。そしてヤフーも無料化を発表して一気にこの分野の覇権取りにやってきている。

販売手法はフリマや無料コマースなど様々だが、共通しているのは個人や小規模な事業者をターゲットにしたマイクロコマースともいえる市場を開拓していることにある。

さてZOZOTOWNとSTORES.jp連合はどう攻めるのか。

ーー具体的にどういう方々がZOZOMARKETの出店ターゲットとなるのですか?

ちょうどこのイメージのピラミッドのトップにある2000のブランド、ユナイテッドアローズやナノユニバースのようなおなじみのものですね。これらがZOZOで扱ってきたものです。この下に中小のアパレルブランドが狙いです。

例えばVOUSETESは青山の骨董通りにお店を持っている小さなブランドです。でもここも10年以上続いているんですよ。

T/L/Aさんは去年立ち上がったばかりのインディーズブランドで、オンラインだけで販売されています。店舗がないパターンですね。

個人で立ち上げて趣味で洋服づくりをしている方もいらっしゃいますね。


VOUSETESの展開するアパレル

ーーなるほど。一方で、アパレルのように定性的なアイテムはキーワード検索が効きにくいですよね。ブランドの指名買いであれば問題ありませんが、今回チャレンジするのはブランド名も知られない、しかも小さく全国に散らばる小規模店舗の商品の販売です。どうやって導線を貼るのですか?

指名買いの問題ですよね。そこは確かに認識しています。まず、基本的にZOZOTOWNからの導線は作ります。

ただ、今聞かれてるのは、渋谷とか歩いてるとウィンドウショッピングできるから、ある程度の気づきがある、そういった類のものですよね。

ーーそうです。キーワード検索では私が見も知らない小さなブランドを見つけることはできません。PinterestやFancyといったザッピングできるインターフェースであればある程度はパラパラとめくれますが、効率はよくないです。

この箇所はやりながら模索していく、とだけ答えさせてください。

ただ、考えてることはもちろんあります。Etsyも第2下層ぐらいまではキュレーション(編集部でセレクトしたアイテムを掲載する)してコントロールしていると聞きますので、その方向はひとつあると思っています。

また他の人がいい、と感じたものをレコメンドするソーシャルコマースの考え方もあるでしょうね。


ブラケット代表取締役の:光本勇介氏

ーー大量の商品が並ぶことになるんですよね。

元々STORES.jpの70%がアパレル関連商品でした。スイッチをONにすればZOZOMARKETに出品できます。つまりこの商材をZOZOMARKETに出すことになります。

ーーレガシーな考え方であればモールに広告を掲載して導線を貼りましょう、という安易な方法もありますが。

広告の類は提供しません。

ーーたしか外部のEC検索に対して商品を掲出するサービスを展開してましたよね。結果はどうでしたか?

広告導線についてはパフォーマンスはよかったですが、流通額としては各店舗による独自のマーケティング経由の方が多いですね。

光本氏の話からも分かるとおり、1月の公開時は「まずは立ち上げてみる」というステージと考えていいだろう。一方で、ソーシャルコマースのようなアイデアもあるという。

最後にこのあたりをもう少し詳しく聞いてみよう。

ーーGunosyの木村さんにインタビューした時、これからはすべてのデジタルコンテンツはレコメンドされる時代になると仰っておられました。テスト段階でCVRも高く、こういった定性的な商品については従来型のSEO導線よりも相性がよいかもしれません。このシフトをどう捉えてますか?

例えばAというブランドを買おうとしてZOZOTOWNにやってきたとします。

ZOZOTOWNというのはウェアハウスのモデルですから、倉庫に大量の在庫を持っているわけです。逆に言えば、ブランドが倉庫に在庫を入れてなければ売れない。つまり、ネットでお客さんが指名買いでやってきても「買えてない」っていう機会損失が生まれている。

実はこれ、結構大量にあるんです。もったいないでしょう。

一方で、今回のZOZOMARKETの取り組みって全国の小規模アパレルのどこにどの在庫があるかを把握できるとも言い換えられるんです。じゃあZOZOTOWNで売り切れていたとしても、札幌の事業者が実はその在庫を持っていたら、それを代わりにレコメンドすることができる。

ーーなるほど。ZOZOTOWNにやってくる指名買いをキーに他の店舗をオススメする。

まだまだEC市場は急成長期にあります。特にアパレルカテゴリはまだまだ伸びています。でも一方で(アパレル)業界自体は縮小傾向なんですね。

結局ブランドがあればビジネスができるけど、小規模な方々はダメージしか受けていない。オンラインであれば販売する機会を増やすことができる。

なるほど。ZOZOTOWNはスタートトゥデイという企業がリアルな倉庫を構えて展開したウェアハウスビジネスだ。

一方でブラケットはSTORES.jpで集めた小さな事業者を「仮想的なアパレル在庫」とみなし、それに近い展開をしようとしている。アプローチは違うが、両方とも集客と管理を効率化することで勝機を掴むモデルだ。これもリアルビジネスの仮想化事例といえるだろう。

ただ、今回のインタビューでは肝心の大量の商品をどうやって発見するか、という疑問についてはクリアにはならなかった。彼らがこの先の運営で何を見つけるのか。引き続き追いかけたいと思う。

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