全てのブランドがECを持てる世界を作るーーZOZOTOWNの前澤氏とSTORES.jpの光本氏に聞くファッションECの「近未来」

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Maezawa&Mitsumoto20130716

2012年8月末公開、3カ月で1万店舗突破、公開約半年後には3万店舗突破。その後、次々と提携や施策を打ち続け、一気にスタートトゥデイ子会社化へと突き進んだSTORES.jp運営元のブラケット。

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ZOZOTOWNとSTORES.jpはどのような連携をとって今後のEC勢力図を変えようとしているのか。

子会社化を発表したブラケット代表取締役の光本勇介氏およびスタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏の両者に聞いた。

突然の買収劇に驚きました。まずは経緯から教えていただけますか?

光本:前澤さんとは二、三年前からお付き合いはありました。STORES.jpの課題はどう規模感を出していくか。どうやって販売する導線を作るかです。特にSTORES.jpではファッション関連の販売割合が多く、シナジーを考えやすかったのが今回の子会社化を考えたきっかけです。

前澤:(事業提携の)話自体は今から1カ月ほど前ですね。

小さいブランドさんとどうお付き合いするか、というのはずっと課題でした。このサービスを見たとき、あ、これで接点を持てる、という印象を持てたのがあります。

私たちもECについてはB2Bでご提供しているものもありますが、それは数十億、数百億という規模感の話です。小規模な件についてはずっとお断りしていた経緯があったんです。

光本:ZOZOTOWNに出店していて自社のECをお持ちでない方にも積極的に提案していきます。

今回、業務提携などをすっとばして一気に子会社化まで持ってきた意図は?

前澤:お互いやりたいことがはっきりしていたので、ちょこちょこ増資とかそういうことをやるより一気にファミリーとして一緒にやろうよ、というお互いの合意ですね。

具体的なシナジーについて教えてください。どういう連携を考えているのでしょうか。

前澤:取り急ぎファッションの分野には注力していきます。全てのブランドがECを持てるようにしたい。その中から優良なブランドについてはZOZOTOWNへの出店なども提案していきます。

元々ZOZOTOWNには出店基準などを高く設定してあり、小規模のブランドについては敷居が高いという課題がありました。STORES.jpとの連携でこの課題を解決できるのが大きいです。

光本:露出だったり、売れるという導線づくりは単独よりも圧倒的に一緒にやった方が作ることができる。これが競合との大きな差別化になると考えています。

ではZOZOTOWNからSTORES.jpに導線を作ってしまうこともあるのですか?

前澤:ZOZOTOWNから導線を作ってしまえば、(二つのサービスの)何が違うの?ということになってしまいます。なので、別のサービスから検討することになると思います。

ブラケットではSTORES.jp以外にもサービスがありますがこれはどうなるのでしょうか?

光本:今年はシューズオブプレイとSTORES.jpに集中してきました。

前澤:相談しながら決めていくといった感じになるでしょう。

競合となるサービスでもポータル的なインターフェースを用意しましたが、今後その考えは?

光本:ポータルはすぐに考えていることはありません。ただ、この市場(インスタントなEC)は完全な需要や利用形態が完全に把握されているわけではありません。あらゆる可能性を考えていきます。

ここ数カ月、矢継ぎ早にリリースを重ねてきました。でも公開企業の一員となる以上、これまでのようなスピード感が失われる恐れもあると思うのですが

前澤:内容によりますね。

少し質問を変えますね。EC化率というのは長らくの時間を経て、まだ10%以下、比較数字によればもっと下がると思います。今回の連携でこれは変わるでしょうか?

前澤:(ファッション関連の)EC化が進まない理由のひとつに実店舗の売り上げを下げたくない、というものがあったと思うんです。でもこれからはSTORES.jpを使って初めからオンラインで商売をしました、という方が増えてくる可能性が出てくる。

そうなってくるとリアル店舗の売り上げがどうこうという話ではなくなるんですよ。ウェブでどんどん売っていけば、EC化率はこれから伸びるんじゃないでしょうか。

世界観が変わるという

前澤:初めての直営店は「オンライン」でした、という世界観ですね。

光本:オンラインがオフラインを奪う、という対立構造改でした。でもこの仕組みではオンライン上で売れたら店舗に返ってくるわけです。誰かが誰かのビジネスを奪うことにはならないわけです。

最後に。今回の連携で光本さんが一番重要と考えたのはどのポイントですか?

光本:起業家として個人的に実現したいと思っていたのは自分で新しい市場を作る、ということです。この目標に対して共感してもらい、さらにシナジーを最大化できると判断したことが一番考えたことですね。

ありがとうございました。

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