ウェディング業界に風穴を開けるアウトサイダー、「crazy wedding」の山川咲さん【前編】

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Patagonia-Saki-Yamakawa

「やっぱりわたしは、この世界を変える、人生を変えるウェディングがしたい。」

ウェディング業界に風穴を開ける、完全オーダーメイドのオリジナルウェディングを手がけるプロデュースチーム「crazy wedding」。全力投球で駆け抜けた会社員時代を経て、オーストラリア一人旅で転機を迎え、自ら立ち上げたcrazy weddingのブランドマネジャーとして活躍する山川咲さん。

その眩しい笑顔と幸せのオーラは、本人が意図せずとも周囲に伝染する。一度は自分を見失ったと話してくれた咲さんが、いまの自分にたどり着くまでのお話、そして彼女の今をお伝えします。

アウトサイダーとして飛び込んだウェディング業界

長い間、人事の責任者を経て、企業の研修や採用のコンサルティングをしていた咲さん。例えば、新卒学生に向けた会社説明の設計。企業の強み、求める人材を把握した上で、そこに適した人材が集まるようなコンセプトに落とし込み、ビジュアルとコンテンツを作り込む。

彼女が組み立てた会社説明会に参加すると、参加した学生誰もがその企業に入りたくて仕方がなくなってしまう。そんなウェディングとはかけ離れた仕事から、唯一無二のウェディングをデザインする現職に彼女がたどり着いたのは2年ほど前のこと。現在は、crazy weddingのウェディング事業の代表として、多数のウェディングをディレクションしている。

会社を立ち上げた当初はまったくのアウトサイダーで、ウェディング業界の知識やネットワークは一切持っていなかった。まずはウェディングを自分たちの手に任せてもらい、まずは実績を作ることだと考えて、最低でも半年かかるウェディングプランニングをたったの10万円という価格で引き受けたことも。

結婚が決まったら、ウェディング雑誌を読んで、会場を選び、その会場のパッケージに沿ってプランニングを進めるという、この業界のセオリーを彼女は一新した。新郎新婦に合ったコンセプト作りをしてから会場を提案し、コンテンツ・料理・装飾までをプロデュースするという、業界では斬新な手法がお客様から受け入れられ、メディア取材などが徐々に増えていった。

1年半ほどで、毎日のようにプランニングの問い合わせが来て、説明会を開催すれば50人がすぐ集まるほどのブランドに成長して今に至る。

パッケージ化された結婚式しかない世界を変える

Crazy-Wedding-Bride一見きらびやかに見えるウェディングの世界。

ところが、ふたを開けてみると実際は式場や専門誌メディアが主導権を握る、ここ30年間進化のない古い構造の業界。

パッケージの制約が多く自由にできる点が極端に少ない事、持ち込み料や高額なマージンなど、一般消費者の立場で見た業界に、彼女は率直に違和感を感じたという。

「日本の平均でも400万円程の金額を出して、たった2時間のパーティーをすることは長い人生できっと結婚式だけ。それなのに、何も知らないで契約をして、夢を持っている人たちがあれもこれもできないといわれることに私は単純に納得できなかったんです。時代は大きく変わっているのに、この業界は変化をしていないと思ったんです」。

そんな違和感から、起業前にこの業界で働く人たちにインタビューをして回ったときのことが、印象的だったと咲さんは話す。みんな結婚式が好きで働いているけれど、なんとなく肩身を狭くして妥協を受け入れて働いているように見えた。

ほとんどの人が、「変わらなくては行けない。でもしょうがない」と話したからだ。このウェディング業界の仕組み自体に咲さんは使命感を持った。これまでの当たり前を覆し、世界を変える・人生を変えるウェディングの実現を目指して立ち上げたcrazy wedding。

 「私がこの事業をやるならシンプルにもっと関わる人、お二人・ゲストはもちろん、プランナー・クリエイターが心から喜べる事業をしたい。そもそも業界で無理とされている大抵の事が、本当にできないのかということを確かめたいという気持ちだった」。

 この違和感に共感し、変化が必要だと感じる人たちが咲さんの背中を押してくれた。会社を立ち上げた当初、業界の大御所たちに会いに行った時のこと。

 「ウェディング業界でこんなことをやりたいんですって話をしたら、皆さんがいいじゃんって背中を押してくれて。咲はパワーもあるし、あなたならできるんじゃない?って。

最後に、この人に“いける”ってGO出してもらえたら絶対やってやろうって思っている方にお会いして。その方の「いいと思うよ、できると思う」で決心が固まりました」。

人材コンサルティングの経験を活かして作る唯一無二の晴れ舞台

 crazy weddingの強みは、何より提案力。新郎新婦とコミュニケーションをとり、その2人だけのコンセプトストーリーやビジュアルイメージを提案書にまとめる。これまでも桜ウェディングやハワイといったテイスト基準のオリジナリティの出し方はあったけれど、結婚という瞬間はもちろんのこと、2人がこれから共に歩む人生をもイメージしたコンセプトを編み出す。

 ここには、会社立ち上げ前のコンサルティング職で培ったスキルやノウハウが活かされていると話す咲さん。ウェディングのコンセプトを紡ぎ、ストーリーを紡ぎ、それをコンテンツとビジュアルに落とし込んで行く。その基本スペックを持ち備えていたことは大きかった。

実際、チーム作りに際してもウェディング業界の人は一人もおらず、広告やコンサルティングなどビジネスとクリエイティブができる人たちを積極的に採用。そこがcrazy weddingチームと他のウェディングプロデュース会社との最大にして最強の差別化。

でも、同社の何よりの強みは、業界を知らず、30年間をかけて染み付いた業界の常識に無知だったこと。それが、「できないはずがない」という原動力になった。

 現在20名のメンバーから成るcrazy weddingに集まるのは情熱的なメンバーたち。全員が世界を変える仕事をすることを願って同社に参加している。

そんな情熱的なメンバーの多くは知り合い採用なものの、前職の仲間もいれば、Facebook経由で参加した人、はたまた創業時の世界旅行でたまたまバスで隣に座った人など幅広い。crazy weddingでどうしても働きたい、と出待ちまでしてやっと参加したようなメンバーもいるんだとか。

 咲さん率いる女性中心のチームがウェディングプロデューサーとしての事業を担当し、事業や経営、マーケティングなどは咲さんの夫を筆頭とする男性陣が受け持つ。でも、その役割分担に関わらず、みんなに共通しているのが「世界を変えるような偉大な仕事をしてから死にたい」という揺るぎない思い。

20代を突っ走って、人生なんてこんなものかなと斜に構えてみたけれど、やっぱり諦められない。高い思考力と自分の人生を賭ける覚悟を持った仲間がそこにはいる。

Crazy-Wedding

後編につづく。

*山川咲さん(crazy weddingブランドマネージャー)のプロフィール*